娘のためにと作り始めた水風船に心が折れそうになった話
「今年はお祭りが中止なんだって」
地元の祭りが全て中止になった。
今年の夏は一度きり。
なのに
夏休みもほとんど外出すらしていない。
思い出のない夏。
そんなのありなのかな?
小さい頃、お祭りで買ってもらった水風船。

ゴムが伸びて縮んで
バシバシ
バシバシ
上に向けたり横に向けたり
バシバシ
バシバシ
なんてことない遊びなんだけど
祭りの思い出 水風船
祭りがない代わりに・・・
せめて家でできたらと
いそいそと買ってきた
はじめての【水風船】
慣れない手つきで水風船についてきた
小さなポンプを手に持つ。

(これがついてきたポンプ)
「説明書があればできる」
はず
シュコシュコ
ん??
まずは水がうまく入らない
コマンド「説明書を見る」

もう一度
シュコシュコ シュコシュコ
ん??
どうしても脇から空気が漏れてくる
コマンド「説明書を見る」
そうか
もっと奥まで風船をはめないといけないのか
シュコシュコ
(お!空気が入ってきた!よっしゃ)
シュコシュコ シュコシュコ
プシュー
バブシューーー!!
激しい音とともに
風船が飛んでいく
水をまき散らしながら

風船を膨らませた時
「うっかり」手を離すと飛んでいく
ように
水風船も「うっかり」手を離すと
飛ぶ。
しかも水をまき散らしながら。
(当たり前)
風船と水風船。
似ているようだが、
【反撃力】が大きく異なる。
水風船は【水が襲ってくる】のだ。

「うっかり」が【命取り】なのである。
(実に大げさなのである)
部屋中が水浸しになりながらの
水風船作り。
(なぜこんなことを始めてしまったのだろう)
のっけからつまづいてばかりだ。
しかし
キラキラとした瞳で
「〇〇ちゃん風船で遊びたい」
4歳の娘からのラブコール。
応えないわけにはいかないのだ。

(娘ではありません。似てるけど)
何度も何度も水風船に挑む。
風船のゴムを持つ部分に少しでも隙間があると
空気どころか
水がブシューっと漏れ出す。
水風船とはかなり難易度が高いもの。
(単なる不器用)
あれやこれや
娘のためにと
必死に挑む水風船。
どうにかこうにか
風船に空気が入ってきた
いける
今回はいける
そぅ~っと風船を口からはずして・・・
ポン
という音と共に
ポンプの口がいきなり外れ
水風船と共に宙に舞い
壁にドンっとぶつかる
水をまき散らしながら
(ひでぶっ)
衝撃の一撃。

ただ子どもの笑顔が見たいだけなのに
なぜ神は私にこんな試練を与えたもうた
(もうやめようか)
(しかしここで諦めていいのか?)
4歳のたった一度きりの夏。
水風船というものをあまり知らない娘が
「風船で遊びたい」
と切望しているではないか。
いいのか。
ここでやめていいのか。
否。
今この
「水風船を作る」ということは
私に課せられた【使命】なのだ。
これを全うできないで
生きている価値などあるのか。
否。
諦めない心。
40年間生きてきた人間の力は
こんなものじゃないはずだ。
私にはできるんだ。
そう、
できるんだ。
そう言い聞かせ
再び水風船に立ち向かう。

なんとか水風船を膨らませるも
弾き飛ばされ
水にまみれ
心を折られ
それでも
立ち向かう。
ようやく空気を入れていざ口を縛ろうとするも
口からブシューっと空気が漏れてきたり
どうにか口を縛り「形になった!」
喜んだのもつかの間
しばらくしたらまた空気が漏れてきたり
たった4個の水風船
にもてあそばれること
1時間・・・・。

できた。
私はやった。
やったぞぉぉぉぉ!!
子どもに意気揚々と報告する
「○○ちゃん風船できたよ」
「ありがとうママ」
にこりと笑う娘。
ただこの瞬間が見たくて
ひたすら水風船に挑んだ話。
こんなに必死になった1時間。
こんなに集中した1時間。
運動なんてしていない
何か演壇にたったわけでもない
なのに
ものすごく疲労困憊していたのは
事実だった。
不器用
それがここまで自分を疲弊させるとは。
しかし私にはこの1時間という貴重な時間の中で
新たなものを手に入れた。
それは
「水風船を作るスキル」

私もひとつ大人になりました。
以上、綺麗道でした。
特に意味にない話で失礼しました。
おしまい
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