ポンコツ部下とサンドイッチ先輩
仕事でやらかした。
商品を2ケース発注したつもりが、
誤って48ケース発注してしまった。
大きな失敗。
小売業界ではよくあるミスなんだけど
それでも、私にとって、会社にとって
「あ~あ…やっちゃったねえええ…」
ってテンションになる感じのミス。
以前にも同僚が同じミスをやらかしていた。
そのときは
小さい倉庫に敷き詰められた商品のケースが
ぎっしり詰まっていて
翌日にはパートの人たちの
噂のトップニュースになっていた。
だれかが倉庫に行くたびに
「なにあの量のケース!?誰かやらかした!?♡」
と。
まってました!誰かの失敗!
くらいの楽しそうなテンションで聞いて
他のパートのひとが
「でしょ!?!?やばくね~!?
あれ〇〇さんがやらかしたんだよ~~~」
と。
そしてその同僚にまで直接言う。
「あんた、やらかしてるね~~~(笑)
どうするの!?あれ!!!!」
って。
なにも手伝わないのに。
その噂話の最新情報を掴みに来る
パパラッチみたいに。
その同僚は結局、
様々なパートの人とこの会話が何ターンか続いて
ぐったりしていた。
人の失敗を見つけると、
自分が優れているように感じるのは
少しだけ分かる。
私もそういう時期、少しあった。
でも、今はちがうんだ。
私だったら、
倉庫にいっぱいのケースを見つけたとき
心の中で思う。
”あ…そうだよね。そういうときもあるよね”
って。
話は戻って
その同僚と同じことを私はやらかした。
どうしよう、職場行きたくない。
同じように私も
その日の噂話トップニュースになっていて
いろんな人から
からかわれるように
声をかけられてしまうんだ
と。
ただ、私はこのミスを通して
人の温かさを知ることになる。
ミスが発覚した日、私は休日だった。
法事で休んでいた。
ミスに気付いたのは私の直属の上司で
今ここで名前を付けるとしたら
サンドイッチ先輩。
いつもサンドイッチを食べているから。
とりあえず、”サンドイッチ先輩”で話を進める。
サンドイッチ先輩はミスに気付いた瞬間
その商品を他のお店に譲れないか
交渉してくれていた。
サンドイッチ先輩のおかげで
他店に振り替えられることになった。
その交渉はメールだったが、
私は宛名に入っていなかった。
そのことについて
後日サンドイッチ先輩から言われた。
「ごめんね、メールに宛名入れなくって。
せっかくの休日に
自分のミスが分かるようなメール送って
あやさんが気付いたら
ショック受けるだろうなって思って。」
「気にしなくていいよ、僕にも責任あるよ。
だれにでもあるようなミスだからね、
ほら、僕もラムネの瓶。
たくさん仕入れちゃったじゃん。
全然売れなかった、ラムネの瓶(笑)」
「デート1回でチャラにしますよ~~~」
と冗談までかましてくれた。
心が温かくなった。
本当に温かく、ほっとした。
普段仕事上で感じることは
上司は「他責」ばかりだなってこと。
「〇〇がやってなかったから。」
「〇〇が勝手にやった」
とかそんなんばかりが飛び交う。
状況が険しいときは
とりあえず
自分じゃない誰かの名前が出てくる。
原因を他責して、
そのあとどうするかを考えずに
全部を擦り付ける。
そんな世の中。
でも、サンドイッチ先輩みたいな人もいたんだ。
私はこんな素敵な心の持ち主の下で
働いていたんだ。
サンドイッチ先輩の小さな気遣いと
サンドイッチ先輩が持っている
”失敗を許せる心”
と
他責で終わりではなく
”このあとどうしよっか!”
を考えられる前向きな姿勢は
部下として
必ず見習わなければいけない部分だった。
私もサンドイッチ先輩みたいに
後輩の失敗をカバーできる先輩に
なりたいと思った。
仕事を辞めようと思っていたけど、
サンドイッチ先輩と
もう少し仕事をしたいとも思った。
サンドイッチ先輩の役に立ちたいと。
昇格試験が全然うまくいかなくて、
10年以上勤めているのに
どんどん周りに追い抜かれていく。
そんなサンドイッチ先輩が
私にはだれよりもかっこよく見えたんだ。
だれよりも、輝いて、見えたんだ。
