私の推し②『奇奇怪怪』
私には推しがいる。
孫以外の推しだ。
推し②は心から愛する番組のパーソナリティのふたりだ。
6年前の第1回放送から、1回も欠かさず聴いている『奇奇怪怪』という podcast番組。
なんなら1回の放送を3回づつくらい聴いている。
『DosMonos』でラッパーをしているTaiTanと、『MONO NO AWARE』でギター、ボーカルを担当する玉置周啓、このふたりがパーソナリティを務めている。
コロナ禍に初まったこのpodcastは私の生活を一変させた。
その頃の私は持て余した時間をひとりポツンと過ごしていた。
息子たちの歳の差が7つあり、10代の頃からコロナ禍に至るまで私の子育ては続いていた。
若くして母親となった私は、当時若いというだけで馬鹿にされている様な気がして(被害妄想かもしれないが、実際にそういう経験もある)誰にも文句を言わせない様に、母親業を勤め上げる事を自分に課していた。
どんな疲れていても出来合いのものを食べさせたくないし、子供を預けて遊びに行く事にも罪悪感を感じる。
とにかく、『若くに子供を産むからだ』と他人に絶対に言わせない!そう心に決めていた。
今思えば、だからって子供にとっていい母親とは限らないし、それより何より『あなた自身は楽しいのか?』と当時の自分に問うてあげたい。
『楽しいかも!』と自分が思いそうな事を自ら遠ざけてきた気すらする。
そして、次男が大学生になりに家を出て一人暮らしをはじめる時期が来た頃、
私は『あれ〜?』となったのだ。
『私って何したら楽しんだろう…?』
子供が巣立ったのちに陥ってしまうアレだ。
私の場合、『子供が離れて寂しい』というわけではなく、今まで子育てに費やしてきた時間をどう使っていいのか全く分からなかった。
かろうじて好きなアーティストはいて(私の推し①参照)その人の曲を聴いたりはしていたが、余った時間を埋め切ることは出来なかった。
そんな時、長男が『面白いpodcastあるよ』と教えてくれたのが、冒頭の『奇奇怪怪』だ。(当時の番組名は『奇奇怪怪明解事典』だった)
TaiTanと周啓くん(そう呼ばせてください) は私の長男よりも若い。
そんな彼らの会話は、なぜか私にはとても心地良く感じられた。
時々みせる口の悪さも、決して特定の誰かを傷付けたりはしない。
奇奇怪怪の魅力を語る大半の人々は彼らのクリエイティブな部分に惹かれていると思うのだが、私が彼らに最初に惹かれた理由は『この人達優しい…』だった。
ひとりポツンと過ごしていた可処分時間が、このpodcastを聴いている間は彼らと一緒に過ごしている様に感じられた。
そしてとにかく面白い。
(私の語彙力ではこの番組の面白さは伝えきれないので、是非、聴いていただきたい。)
そして、彼らが紹介する書籍、映画、音楽、コンテンツ全てに興味が湧いた。
これは今までに経験した事がない感情だった。
何かに興味を持つってめっちゃ楽しい。
『今頃気づいたんですか?』と言われそうなこの事実に私は感動していた。
そして今や私には持て余すほどの時間がある。
仕事が終わればずーっと本が読めるし、子供の時には想像もしていなかったNetflixでいつでも映画が観れる。
その小さな『楽しい〜』を続けた結果、とても初歩的な事に気が付いた。
『えっ?今まで一番好きだった推しのライブ行けばいいじゃん』と。(私の推し①参照)
彼らのpodcastはそんな当たり前の事を気付かせてくれるきっかけになった。
そして大袈裟ではなく私の生活になくてはならないものとなったのだ。
野良のpodcast番組と彼らは奇奇怪怪のことを言っていたが、野良のpodcastであるが為に番組が急に終わったりしてしまっては私は困る。もう奇奇怪怪を聴かないと生きていけない。
私は今まで全く興味が無かった推し活をはじめた。
彼らがこの番組を続けていく為に、少しでも足しになればと、Tシャツやポスターや書籍などを購入し、品品団地と言う有料コミュニティーにも入居している。
私は見事に推し活にハマってしまった。
今では彼らのぬいぐるみやフィギュア、そして推し①のアーティストのグッズで私の部屋は埋め尽くされている。
その後、ロッテから発売されたTaiTanがプロデュースを務める『THEDAY』という飲料水を大量購入した時などは、
次男から『母さん、その水いくらするの?』と変な宗教にハマっていないか心配されたりもした。
今やもう野良番組などではない。
TaiTanはあのロッテとタッグを組んで商品を創り出しているのだ。
その後TaiTanは進化するクリエイター経済と題したForbes JAPANにも掲載されている。
その随分前から、彼らはTBSラジオでも番組を持つほどになっていた。
番組名は『脳盗』。
コンセプトは『可処分時間猫糞ラジオ』だ。
私の可処分時間を猫糞してくれて本当にありがとう。
私はこの感謝の気持ちをTaiTanと周啓くんにどうしても伝えたくて、初めてラジオ番組に手紙を書いた。
以前、脳盗では『不要になったCDをコメントと共に送ってください。』というコーナーがあった。
そのCDの中から自分で選んだ曲を番組で流してくれる。
私は長男にまつわるCDを、TaiTanと周啓くんを紹介してくれてありがとうという気持ちを込めて手紙と共に番組へ送った。
その手紙が番組で読まれ、曲が流れ終わる時、周啓くんが、
『いや〜今なんか曲聴きながらちょっと思ってたのはこのラジオ聴いてる人いるんだなっていう実感というか、毎回聴いてくれてる人が居て、その人が送ってくれたCDを今かけたんだなっていう…本当にそこに居る感じがしてすごい感謝が芽生えたっていうか、ここにTaiTanと俺だけが居る訳じゃないんだっていう事がすごい感じられた』と言って番組が終わった。
彼らの番組を聴いて、
『ここに私がひとりポツンと居るわけではないんだ』そう、感じられたのは私の方だ。
感謝を伝えたくて送った手紙に感謝してくれるなんて...
やっぱり彼らは変わらずいつまでも優しい。
だから私は彼らが大好きで、これからもずっと応援していきたいと願うのだ。
