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お菓子の中で働いていたい


自分は『この物語はフィクションです』によって少なからず安心感を得る。この人生も最期にはそう一言添えて終わらせられたら、どんなにいいか。


1/
ひょんなことから大きな仕事が決まった。単純に誰かの喜ぶ顔や嬉しそうな顔が好きで、それが見られるなら「やります」。
楽観的に即答すると歓迎されて、その場に笑顔が溢れ、広がっていく、幸せ(えっ、未経験で大丈夫か、自分。深く考えていないぞ。いいや、新しい世界に飛び込んでみよう)。


2/
実際、しゃもじにへばり付いた米のような緊張は時間の経過に伴って上手く解けた。
そんなイリュージョンはともかく。帰宅時、雨の中、夜道に迷う。
勘弁してくれ。地図を確認した筈なのに、いつの間にか住宅街を抜けて車通りの激しい場所にいた。
瞬間移動ができる訳でもなく。しょんぼりとして歩き続け、知っているコンビニエンスストアの看板を見つけた時の感動といったら!


3/
束の間の休日、リラックスタイム。でも実は、やるべきことが山積みでどこから手をつければ……ひとつずつ片付けていこう。申し込みより1、2週間待つ手続きに逸早く取り掛かって良かった。
あの子が選んで買ってきてくれたポテトチップスを食べながら雨の音を聴いている。呼吸との三重奏。


4/
ひとりで担う仕事の量がハンパない。かと言って途方に暮れる暇もなし。残業が板についた、残業のプロである。このままではまずいが、逆に申し訳なくなるレベルで職場の人々が優しすぎて救われた。中身の見えないパフェを掻き混ぜてみて、パフェは単独では成り立たず、仕事も同じだと気付く。


5/
学生時代にスポーツをやっていなかったので今日の見事な連携ぶり、チームプレーで涙腺が緩む。目の蛇口を締めてもぽたぽた垂れるようになり、決壊しないように保つ。結局、これだから人が嫌いで好きなのだ。あの優しさを当たり前だと思った途端に手から零れ落ちてしまいがちなこと、ありがとうの気持ち。


6/
休みの午後。『だるまさんがころんだ』で遊ぶ声が聞こえる。近所の子供たち、なかなかいいチョイスだが、今まで何の疑問も感じていなかった。ダルマさんが転んだから何なのか。そこを気にしてしまうともう、永遠に動きがピタリと止まるも、ある意味でははじめの一歩。


7/
余裕を持って働き、ほぼ残業なく終わる。だいぶ慣れてきた。
と同時に周囲がよく見えて、単に視野が狭かったのだと知る。作業をこなすのに精一杯で、俯いてばかりいた。見たかった人の笑顔で、改めて荒んだ心が癒される。
通勤を支える応援ソングがやたらと胸に響く(後々、いつも通りワイヤレスイヤホンが鞄の中で行方不明になったとしても)。


★以上、日記風の創作物でした(どこかに共感できるような部分があれば良いのですが。毎日生きるあなたの姿は美しい、いつもお疲れ様です)。