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【詩】その先の世界で

その先の世界で

主治医は
目のそらし方を知っている
合わせる瞬間も

人間は忘れる生き物だ
あれほど辛くて
二度と受けまいと決めた治療なのに
生きたいという気持ちに背を押され
またその苦しさへ戻っていく

尊厳の縁を
指先でたぐるように
手段が残されている限り
生の気配に触れていたい

いつか
押し込めた思いは
焦燥に姿を変え
心の襞から滲み出てきた

感情は許しを待たずに
溢れてくる
ありがたいと感じながら
翳りが同居していてもいい

残りを数え始めそうになるたび
呼吸を整える

未完成のまま
足りないまま
それでも
何かが欠けているわけではない

やがて
私がいなくなった世界で
温もりが
大切な人たちに残る

喪失と
新しい時間の始まりは
少し重なっている





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