表現の自由が守られているあいだに
恐らく私が一番好きな作家さんは桐野夏生先生だと思います。
江戸川乱歩賞作品の「顔に降りかかる雨」から始まって、テレビドラマでも問題作となった「アウト」、東電OL殺人事件をモチーフにした「グロテスク」、新潟少女監禁事件を参考にした「残虐記」、浅間山荘事件に関わった人物のその後の様子を描いた「夜の谷を行く」など、センセーショナルで絶望的で救いようがない物語を書かせたら一級品、桐野夏生先生以外いないと言っても過言ではないと思います。垣間見えるフェミ思想とその美貌も全て含めて、私は彼女の魅力に翻弄され続けてその殆どの著書を網羅しています。
桐野夏生「日没」を読みました。
これをSFと捉えるか、近未来と捉えるか、私はただただ恐ろしく感じました。
少しだけネタバレしますが「表現の自由がない世界」を書いた作品です。エログロ小説家であるマッツ夢井は、ある日彼女の書いた作品が「公序良俗に反する」という読者からの告発で収容所に召喚されます。そこでは一切の自由を奪われる刑務所以下の生活を強いられ、自分の意志に反する思想を植え付けられ、「作文」と称してただただ大衆ウケを狙った駄文のみを書かされます。そのうち作家自身の魂は奪われ、そして・・・
これをSFと捉えるか?近未来と捉えるか?
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つい先日、ある児童書が一斉回収されました。理由は「不適切な表現」があったとの事です。中身を見てみると「この程度で?」というものでした。恐らく子ども向けの本なので、配慮の上に配慮を重ねた上での一斉回収だったのだと。このような事は氷山の一角で世間に知られてないだけで沢山あると思います。
今は、ちょっとテレビを付けると「お店側に許可を取ってます」とか「出演者に許可を取ってます」とか、はっきり言ってクソどうでもいいテロップが流れます。これもクレーム対策のためでしょう。
いやはや、そんなテロップなんか流さなくてもわかるでしょ。だいたいわかるでしょ。いや、わからないんです。そこまでしないとわからないんです。
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小説の話に戻りますが、物語の中で「ヘイトスピーチ禁止法」があることを盾にして「表現の自由」を断罪します。
「ヘイトスピーチ」は一言で言うと「差別的発言」と言う意味なのですが、それをどうにもこうにも曲解して、お得意のゼロ百理論かわかりませんが「ヘイトスピーチがダメなんだから、エロやグロの小説もダメだ!」という極論に繋げてしまいます。全くバカげた話です。
小説など全く読まないがために、想像力を鍛えてこなかった、また想像力を必要としない程度に鈍い人々が、あらかじめ決められた尺度でもって、作品を断じている。
これこれ。
昨今、文章の言葉尻を切り取って、ああでもないこうでもないとクレームを入れる人が増えています。Twitterなどのたった140字すらの文章も読めない人が沢山います。
なぜ?
と思いますがコレなんです。
文章を読まないから想像力がない
人間には色んな思想や考えがあるにも関わらず、「エロい文章を書いている人はそういう願望があるエロい人間だ」とか「グロい文章を書いている人は、人を切り刻んだりしたい人間だ」とか、そうじゃねーよと言いたいんです。人間は複雑で、決して同じ人というものが絶対に存在しないように、頭の中も哲学や脳科学や心理学やらで分類や分析できないものが無数あるのです。そんなに単純ではないのです。その人間が作り出すもの、とくに「想像力」をもって作り出すものは、決してAIには真似できないのです。
やべー、熱くなっちゃったwww
そんな私も、正直「小児性愛」とか「近親相関」とかを肯定的に書いている人は、ちょっとどうかと思ってしまうけど、物語の中に差し込んでくるのは否定しません。だって書いている本人はそれが書きたいんだもん。書きたくて書きたくて仕方がないんだもん。
誰しも頭の中や心の中で考えたり思ったりすることは自由で、それを表現することを奪うのは自由を奪うことと同じですから。
だったらどういうものが「良い作品」なのか?と、物語の中には出てきます。そして主人公のマッツ夢井はこう答えます。
「自分に正直な作品」
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数あるsnsの中で私はnoteを選んで良かったと思います。
このnoteは「文章を読める人」がいます。豊かな想像力があって、しっかりと文章を読める人がいるsnsだと思っています。
私の書く駄文は、ダラダラと長かったり、オチも弱かったり、情景描写も下手くそで、文章としては本当にイマイチだと自覚しています。それにも関わらず、読んでスキを押してくれたりコメントまで残してくれて本当にありがたいと思っています。
これからも私は自分に正直な文章を書きたいと思っています。
そして、皆様の作品も「自分に正直な作品」であって欲しいと心から願っています。
表現の自由が守られている限り、書きたいもの、描きたいものをかいてください。
私はそれを楽しみにしています。
