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【妄想小説】マッチングアプリ

昨日、私は何を思ったかマッチングアプリに登録した。48歳、既婚、子持ちの主婦で家庭に何ら不満はない。不満は無いのに、なぜそんなものに登録するのか?そこに理由はない。人間には多面性があって、周りからは善良な人だと認識されつつも、裏ではとんでもない事をしている人もいる。恐らく、それをするかしないかは「衝動」。理性で抑えられない何かがあるとしたら「衝動」1点のみ。

ウダウダと言っているがただ暇だっただけだ。暇だから登録した、他に理由は無い。ただそれだけ。

マッチして会うことになったのは32歳の自称フリーエンジニア。
待ち合わせ場所は、なぜか都立公園で行われているフードフェス会場。

イマドキのマッチングアプリの待ち合わせってこんなもんなのか?
私はいい歳こいたオバハンだけど、なんで32歳の男と会うんだよ、我ながらアホかと思いながらも待ち合わせ場所に向かった。

ゲ!!!

あれかよ。
あのダボダボのTシャツ着たデブかよ!
軽く100キロは超えてんじゃねーか?
ってか、写真と全然ちげーじゃん。角度って大事。いや、本当に角度って大事。

でも私、変に律儀だからここで逃げる訳にはいかないと思い「こんにちはー」なんて挨拶なんかしちゃったりして。すると32歳のデブが、

「こんにちは。夏生さんですか?」

と聞いてきたから

「夏生です」

と答えた。我ながらハンドルネームに作家の桐野夏生先生を使ってしまう自分が怖い。怖いけど仕方がない。

「夏生さん、今日はよろしくお願いします。ふんわりです」

ってか、ふんわりってなんだよ。
おめーどう見てもふんわりどころじゃねーじゃん!と思ったけど、

「あはは。ふんわりさん、今日はよろしくお願いします」

とりあえずフードフェス会場まで歩くことにした。

それにしても、季節は8月のお盆を過ぎてもまだまだ暑い。
フードフェス会場まで2キロくらいありそうだ。
て言うか、なんでこんなに見るからに「ふんわり」を超えてる輩と歩かなきゃなんないんだよ。なんかの罰ゲームか?

あまりにも暑すぎて暑すぎて仕方がなかったので、私は何を思ったか

「ちょっとトイレに寄っていいですか?」

と言って、そこでノーパンになった。

はっきり言って気持ちいい

一度ノーパンの味を覚えてしまってからはもうノーパンにならずにはいられない。夏のノーパンは、冬のおでんと同じくらい風情がある。そう、趣かざること風のごとし。私はひっそりと、脱いだパンツをバッグにしまった。

「すみません。お待たせしまして」

私は、お尻がひんやりしながらもふんわりにやんわりと笑顔を向けた。

「別にいいですよ。涼しくなりました?」

え?
何言ってんのこいつ。
私がノーパンになったのわかって言ってんのか?

私達は全く会話が弾まず、フードフェス会場に着いた。

とりあえずその辺の椅子に座ってビールを1杯飲んで、適当に話をして帰ろうと心に決めた。

「私、ちょっとこの後用事があるのでこの辺で失礼します」

と言うと、

「夏生さん・・・ホテル行きませんか?」

はぁ?
何言ってんの?
アホなの?
バカなの?
トンマなの?
おめー大丈夫かよ!

と思ったけど、

「何言ってんのかわかんないですけど」

と、サンドウィッチマン風に言ってのけたらふんわりがいきなり自分のポケットから、

「これ晒されたくなかったら、ホテル行きましょうよ」

と言って出してきたのが・・・

さっき脱いだ私のパンツ!!!

ってか、おめーなんでそんなの持ってんだよ!おかしいだろ!パンツが瞬間移動でもしたのか?

「夏生さん、あなたが今ノーパンだってこと、この会場で晒してもいいんですか?このパンツを脱いだってこと、晒してもいんですか?」

ちょっと!!!
いっちょ前に脅迫してんじゃねーよ。
このデブいい加減にしろよ!!!

「あなたが48歳で夫も子どももいる主婦なのにマッチングアプリしてること、ここで晒してもいいんですか?私、今からあそこにある拡声器で大声で叫んでもいいんですよ」

ちょっと・・・
これって、いわゆる無敵の人なのかしら・・・
それでも私は、

「お前とホテルなんて行くかよボケ!このデブいいかげんにしろよ!」

すると、ふんわりがいきなり自分のポケットからナイフを取り出した。

(°∀°)ヒィィィィ

「夏生さん、このパンツ切り裂いてもいいんですか?いっちゃってもいいんですか?」

や、やめてー!

そして、さらにふんわりはポケットからスプレー缶のようなものを取り出した。

おめーのポケットはドラえもんかよ!
なんでそんなのが入ってるんだよ。

ふんわりはスプレーを私に吹き付けてきた。

ぎ、ギヤーーーー

私は大声で叫ぶと辺りは騒然となった。
すると、すぐに近くにいた屈強な男性にふんわりは押さえつけられて、会場に居た警備員が警察を呼び、ふんわりは呆気なく連行された。そして、私も事情聴取をされに警察に行くことになった。

やべ、どうしよう

家族がいるのに、ちょっと出かけると言って出てきただけなのに・・・

しかも私、ノーパンだよ。
警察官が重要参考物として、ビニールに入れたパンツ持ってるけど今更「それ私のです」とか言えないよ。

ああ、どうしよう
やっぱり、マッチングアプリになんかに手を出さなきゃよかった。

ああ、どうしよう

私は警察官が乗る車に一緒に乗った。
皮のシートに座ると、お尻がひんやりしてスースーした。







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