父がベランダで転んだ
前回のつぶやきは壮大なネタ振りだったのかもしれない。
昨夜、83歳の父がベランダで転んだ。
夫が泊りのゴルフで不在、息子がワンオクのライブの為、娘と2人の夕飯をどうしようかと思っていた所、父から一緒にお寿司を食べようと言われたので宅配寿司をオーダーした。
階下の実家で、両親と娘、4人で和やかに夕飯を食べた後、3階の部屋に戻り、娘がリビングで勉強を始めたので、うるさくするのも悪いと思い、私は寝室の窓を大きく開けて、ベランダに足を投げ、雲り空に時折垣間見れるまん丸の月を見ていた。
ガタンっ
階下で物音がした。
何かあったのか?
私はすぐにベランダに出て、階下の様子を伺ってみるけど、何も見えない。
網戸でも外れたのだろうと思っていたら、
「あや~、助けてくれ、あや~」
蚊の鳴くような父の声がした。
私はすぐにベランダに出て、階下に向かって叫んだ。
「ちょっと待って!すぐに行くから!」
バタバタと階下に降りると、部屋には父がいない。大きく明け放れた窓の外、父がベランダで倒れていた。
「洗濯物を入れようとして」
こんなにもなってしまったのかと思った。
転んでも、1人で起き上がることも出来ない、こんな風になってしまったのかと思った。
私は手を貸し肩を貸し、父を起こした。
貧祖な身体で非力な私が渾身の力を込めなくても、父を起こすことが出来た。
父の身体は軽かった。
何ヶ所か血が出ている所に、私の部屋から大きなキズパワーパッドを持ってきて貼ってあげた。
こんなにも痩せてしまった父は、どうにか生きているという感じに見えた。
不謹慎にも、
さっきの寿司は最後の晩餐だったのかな
とか思ってしまった。
それにしても、もし私がベランダに足を投げ出していなければ、月を見ていなければ、父の異変に気付かずに、そのまま父はベランダで倒れたまま朝まで発見されずにいたと思う。
(ちなみに父は2階、母は1階で過ごしてるので父の異変に母が気付く事は無い)
もし昨日、夫がいて、娘がリビングで勉強していなければ、息子がワンオクのライブに行っていなければ、きっと父は朝までベランダで倒れていたと思う。
色んな偶然が重なっての事だった。
今朝も4時に電話で起こされて湿布を貼りに行った。歩けない、もうダメだと弱々しく話していたけれど、きっとまだ父は死なないだろうと思った。
色んな偶然が重なった事は、父にまだ生きてろということだと思う。
私は悲観はしない。
父が死に向かっている事を淡々と見送るだけだ。だから別に同情はいらない。
だって私はこんな事をネタにしてしまう位、どうしようもない不謹慎な人間だから。
