見出し画像

乳がんになった私 #84「手術当日③-術後すぐにレディオヘッド-」

無事に手術は終了。

看護師さんに声をかけられ麻酔から目覚めたが、まだ意識は朦朧とした状態。

ベッドごと入院部屋へと運ばれる。
(ぼんやりと断片的に覚えている…)

点滴、酸素マスク、心電図、尿道カテーテルなどたくさんの管が繋がれ、そして、右胸あたりからドレーンが飛び出ている。
(ドレーン:手術後に皮下にたまる出血や浸出液を体外に排出するための管のこと)


しばらくして、主治医のS先生が病室にやってきた、と思う。

手術は無事に終わったが、予定より時間が長くなったため面会時間が終わってしまい、今日中の家族の面会は無理になった、というような説明を受けたと思う。(コロナによる制限でそもそも病院での待機はNG)

先生の言葉に反応しようと思ったが、気管挿管をしていたせいか、声がかすれて思うように返事が出来なかった。喉もカラカラ。

全摘した右胸あたりが少しズキズキと痛い気がした。

だがそれよりも、腕の関節がかたまっていて痛かった。手術中、寝たきりでずっと動かせないせいだろうか。

痛み止めを点滴から入れてもらった。


また1時間後、再びS先生が様子を見に来た。諸々の数値を確認。問題なし。

S先生「また1時間後に来ますね。」


そのあとすぐ、ウチダが部屋に入ってきた。

面会時間が過ぎてしまったため無理とのことだったが、入院病棟に電話をしてお願いしたら、なんとか許可をもらえたそうだ。

ウチダ「良かった…良かった…!」

手を握り、呟いた。声と表情から、かなり心配していたであろうことが伝わった。そして、安堵。

ウチダ「なんか想像してたよりも10倍大丈夫そうだ…!」

私「そう〜?」

この頃にはもう意識がハッキリとして、笑顔を返すくらい余裕があった。(痛み止めのおかげ)

やたらとたくさん差し入れを買ってきてくれたようで、それらを冷蔵庫に入れて帰って行った。
(プリンをお願いしていたのだが、明らかに1人で食べる量じゃなかった。笑)

入れ替わりで母が入って来た。涙ぐんでいる。

母「がんばったねえ…痛い?」

私「ちょっとズキズキするけど、大丈夫。」

まだ声は出づらいのであまり話せなかったが、術後当日に家族に会えて、安心させられて良かった。

心配をしながら、まだか、まだかと待っている家族の方がきっとしんどかっただろう。(当の本人は全身麻酔で気を失っているわけなので)

母と入れ替わりで看護師さんがバイタルの確認をしに来た。大丈夫そうだ。

そしてそのあとすぐ、今度はS先生が来た。

S先生「森さん痛みどう?」

私「大丈夫です、薬入れてもらったので。」

S先生「痛み止め切れてきたら痛いかもしれないからね。」

私「傷よりも腕の関節が固まって痛い感じで…少し動かしていいですかね?」

S先生「肘から下だったらいいよ。じゃあ、今日は僕はもう帰るので、ゆっくり休んでね。」

帰ろうとした先生に、私は、全身麻酔で意識を失う直前の話をした。

私「手術室でZARDが流れてて、びっくりしました。」

S先生「あぁ〜、あれね!◯◯先生が好きでCDかけてるんだけどね、僕も世代的にはもちろん知ってて普通に聴いてはいたけど…」

私「昨日、S先生は暗い音楽が好きって言ってたのに、あれ?!って思いましたもん。笑」

(※声はまだ出づらくガサガサのかすれた弱々しい声で話しています)

S先生「うん、そうなんだよ。僕はね、イギリスのロックとかが好きで…」

私「え、私も好きですよ〜。」

頭の中に、レディオヘッドが浮かんだ。

S先生「そうなの?!僕はたとえば、レディオヘッドとか…」

私「え、私もです、好きです!今、言おうと思いましたもん!」

S先生「えーっ!そうなのー?!僕ねえ、OKコンピューターとかほんと好きで…」

私「私はリアルタイムで聴いてたわけじゃなくて後からなんですけど…最高ですよね。」

S先生「僕はまさにリアルタイムでライブに行ったんだよ…名古屋の…えっと、ダイアモンドホールに。」

私「え!ダイアモンドホール!私もライブしたことありますよ〜、ダイアでレディヘ!?」

S先生「や〜、もうね、僕が大学生の頃でね、泣きながら観ててね〜…!」

私「やばいですね…!」

S先生「OKコンピューターとKID Aが最高でね。」

私「ですよね。」

S先生「けど、KID Aは当時、物議を醸してね。僕も楽しみに手に取って初めて聴いた時は、え、期待してたのと違う…!って思ったんだけどね。OKコンピューターからの変わりようがすごくて。けど、何度も聴くうちに、おや?かっこいいぞ…ってなって…いやあああ、そうかあ、森さんも好きだとは〜…最近のは僕は知らないから…また、教えてね。…じゃあ、また明日。」

これまで見たことのない、テンション爆上がりのS先生だった。

このやりとり、もちろん私はベッドの上で様々な管に繋がれた術後ホヤホヤの状態、仰向けで身動きは取れず、か細く震えた声での会話なのだが、気持ち的には大声で叫んでいた。笑

なんておもしろい日だ。


先生とこんな話が出来たのも、テレビの取材を受けて少し音楽の話をしたおかげかもしれない。


だんだん傷がズキズキ痛くなってきたので、ナースコールを押した。

術後3時間を経過したので、上体を起こして良いとのことで、まずはうがいし、ロキソニンを水で流し込んだ。

ごはんも少し食べられそうだ。
この日の病院のご飯は、エビチリ、春巻きだった。そしてウチダが必死に届けてくれたプリンを1つ食べた。

右手が使えないため、左手で食事をし、左手で歯磨きをし、連絡が来ていた友人知人に返信をしたり、SNSを更新などした。

寝る前に抗生剤の点滴。

消灯時間が来た。全身麻酔で意識を失っていたせいか、全く眠くなかった。

※2023年11月30日のことです

(#85へ続く)
---------------------------------

S先生がレディオヘッドを観たという会場、名古屋ダイアモンドホールでワンマンライブをします☺️
今現在、私は再発してしまったのですが、ライブするぞー✌️🔥

𝗤𝗮𝗶𝗷𝗳𝗳 𝗼𝗻𝗲-𝗺𝗮𝗻 𝗹𝗶𝘃𝗲 “𝗘𝘁𝗵𝗼𝘀”
𝗦𝘂𝗽𝗽𝗼𝗿𝘁𝗲𝗱 𝗯𝘆 𝗭𝗜𝗣-𝗙𝗠

🗓️2026.10.23(金)
📍名古屋DIAMOND HALL
🕢18:15/19:00
🎟️チケット発売中👇

いいなと思ったら応援しよう!