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私が今こそ映像化してほしい東野圭吾作品、初期の夢物語

こんにちは、映像ディレクターの別府です。
びっくりしました、東野圭吾さんの訃報。
今回の訃報に際し私の好きな作品をあげるとすれば「名探偵の呪縛」です。

松本清張さんを尊敬してやまないミステリー大好きの私ももちろん大ファンの作家さんである東野圭吾さん。まだまだ常に新作が発表されている、現役バリバリのイメージだったので大変ショックでした。

東野さんの作品といえば映像化を多くされたことも印象深いですよね。私も映像ディレクターという仕事柄、よく原作と映像化と比較し、多くを学ばせていただきました。初心者にも読みやすく、丁寧に感情を揺さぶる、一言で言うと「ハズレなし」の作家さん。当たり前のように彼の作品を数多く愛読してきた愛読者の一人です。

そんな東野作品の中でも『名探偵の呪縛』は、少し異色の作品です。そして今読むからこそ、この作品には「原点を忘れない」という大切なメッセージが込められているように感じます。

ミステリー作家、東野圭吾の誕生

東野圭吾さんは、会社員として働きながら小説を書き続け、1985年に『放課後』で江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としての道を歩み始めました。

しかし、すぐに大成功したわけではありません。

長い試行錯誤の時間を経て、『秘密』などの作品で多くの読者に知られる存在となり、現在まで数多くの名作を生み出してきました。

『名探偵の呪縛』は、そんな作家人生の途中に書かれた作品です。

私はこの作品に、売れっ子作家になる前の東野圭吾さん自身の「ミステリーが好きでたまらなかった頃」の熱量を感じました。

『名探偵の呪縛』が描く夢物語

物語の主人公は、中堅ミステリー作家。

ある日、不思議な町へ迷い込み、そこで「天下一」という名探偵として事件を解決していくことになります。

しかし、その町には本格推理小説が存在しません。

そこで起こる事件は、まさに昔ながらの、ド定番ミステリー。

密室殺人。
個性的すぎる登場人物。
嵐に閉ざされた館。
どこか懐かしい、本格推理小説のお約束。

読み進めるほど「今の東野圭吾さんが、こんな王道ミステリーを書くなんて」と思うほど、あえてベタな世界が広がります。

でも、そこにこそ意味がある。

これは、若い頃に夢中になってミステリーを書いていた自分自身との再会の物語なのだと思います。

セリフで読み解く、この作品に込めた想いを

物語の終盤、主人公は気づきます。

自分が迷い込んだ世界は、かつて自分が書いた小説の世界だったのだと。

昔夢中になって作った物語。
まだ未熟だったけれど、好きという気持ちだけで向き合った世界。
そこには、今の自分が忘れていた大切なものが残っていました。

人は経験を重ねるほど、技術を身につけるほど、効率や評価を意識するようになります。でも、最初に心が動いた瞬間。

「楽しい」
「好き」
「もっとやってみたい」

と思った気持ちは、きっとその人の根っこになる。この作品を読んで、私はそう感じました。

約40年のミステリー作家人生を猛スピードで駆け抜け亡くなった今、この愛らしい本格ミステリーの住人たちとその世界が、彼の原点にあったからこそ書き続けられたのではないかと、個人的には思うのです。

今こそ映像化希望!

実はこの名探偵天下一シリーズの『名探偵の掟』は、一度2009年に松田翔太さん、香椎由宇さん、キム兄で連続テレビドラマ化されています。

これまで東野圭吾さん原作、数多くの傑作ドラマが作られてきました。
しかし今、原点に戻るように年を重ねた松田翔太さん主役で是非とも映像化してほしいと、映像ディレクターとしてもいち東野圭吾ファンとしても思うのであります!

亡くなった彼の本棚の初期の作品に挟まっている、勿忘草。
忘れないで、大切な世界を。
そんな映像がもう私の脳内には出来ています!

私の映像ディレクターの原点

私にも、映像を作る原点があります。

小学生の頃、家族旅行ではいつもビデオカメラ担当でした。車の窓から見える景色を、ただひたすら撮っていたことがあります。今考えれば、見せる映像としては全然上手ではありません。

そして、高校時代の文化祭では、友人たちに出演してもらい、自分の好きな漫画をもとに自主制作映像を作りました。編集も今見ると未熟。
それでも、完成した映像を友人たちに見せた時、「めっちゃ良いやん!」と言ってもらえた瞬間の嬉しさは、今でも鮮明に覚えています。

あの時の気持ちが、今の私の仕事につながっています。

逆に今では色々な映像を見過ぎて、あまりに普通の展開の映像に飽きている自分がいます。
この本の言葉「こんな普通じゃ読者からクレームだ」というように、いつも映像を斜めからしか見られない嫌な大人になっているかもしれない、とも思うわけです。

誰にでもある、大切な原点

長く仕事をしていると、経験や知識が増えていきます。それは大きな財産です。

でも、ときには初心者だった頃の自分を思い出すことも大切なのかもしれません。まだ何も知らなかったけれど、ただ好きだった。夢中だった。
そんな時間が、今の自分を作っているからです。

『名探偵の呪縛』は、私にとってミステリー作品であると同時に、「あなたが最初に大切にしていたものを忘れないで」と語りかけてくれる作品でした。皆さんにも、今の仕事や人生につながる「原点」はありますか?

もし忙しい毎日の中で忘れかけているなら、少しだけ思い出してみてください。そこにはきっと、今の自分を作った大切な宝物があるはずです。

ベテランミステリー作家の東野圭吾さん。
過去にこのような作品を書かれていて人生の伏線回収を見事されたとしたら…その筆力はお見事。心からお悔やみ申し上げます。


ここまでお読みいただきありがとうございます。
コメント100%お返しします。楽しみにお待ちしています。
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別府 綾(べっちゃん) / 3児ママ映像ディレクター 記事がお役に立てましたらサポートお願いします🙇‍♀️ いただいたサポートは主に映画館で映画を見たり書籍購入など次の活動や記事に活かされます

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