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相手を知ろうとするのではなく答を求める人〜頭が固まった人たち

「これからも今のところに住んでいたい?」
初対面のおじさんは単刀直入に聞く。
「この先は分かりませんが、私は今の住まいが好きです。」
パートナーがいない時に未来の居住地を聞かれても回答しようがない。困惑した私を前にそれでもおじさんは、
「今の住まいがいいのは、絶対?」
と聞く。私は黙った。
「りりいさんはこのまま出世していく感じ?」
「出世するかは働いていかないとわからないです。」
お茶で手を温める私に、
「それは絶対?仕事は絶対辞めない?ドバイには一緒に来ないということ?」
嫌がる相手を問い詰める。
初対面で、ホテルのラウンジ指定をカフェに変更した48歳男性は、周りの目も気にせず、一々、聞く。「絶対か?」と。

私はわずか1時間が、呼吸を止められたように長く長く感じた。思わずため息が出そうになるのを、
「手が冷えたから。」
と、手に息を吹きかけ、誤魔化した。

⋯⋯⋯⋯
会話は面接ではない。もっとも例え、面接だったとしても、相手を殺せば、選ばれはしない。面接官でも、面接される方でも。ならば、面接ではない婚活では尚更だろう。人を活かす会話をするのは。そのためには、見抜くことが必要で、「絶対」と相手を追い詰めていくことは求められていない。

そもそも、他人に回答を求める、それは人と人との会話ではない。AIへの問い合わせだろう。

確かに、職業や年齢は聞くのが早くて正確ではある。しかしそれは、ステータスで変えられない事実である。人の意識という対人関係の中で流動する感情は、相手を知りたいという姿勢で接するから見抜ける。問い合わせで判明するものではない。
⋯⋯⋯⋯
別のお見合い。
37歳100キロ超えのおじさんは、
「子供は絶対2人か、3人。りりいさん、合意できます?」
巨漢故に椅子が沈む。その軋む音を聞きながら、あなたとは無理です。と心の中で呟いた。

私の周りにいる女性、二十代も含め、子供は夫の家事能力と自分の体力次第と話す。何より、命に関わることは、欲しいけど強制されたくないという。当たり前だ。愛情ある夫に対してさえ、言われたくない「産んでくれ」の言葉。

ただのデブリンに執拗にされると、NOと言いたくなる。

「体力次第なので⋯なってみないと分かりません。」

「俺が家事やる。」

「⋯」

「周りの女の子に聞いたから、俺の家事能力の解像度は高い。」

「男性の健康状態にもよるので⋯」

「俺は体重あるけど、健康値は正常。健康に対する解像度は凄いから。」

いやいやいや、生理的にあなたとは無理。私は言葉を飲んだ。それから長い長い、解像度取得過程の独演会が始まり、
「2人か3人、いける?」
という。
「初対面なので、そうゆう話は⋯」
「俺、子育ての解像度高いから。」
この人、私をロボットと思っている。私は立ち上がった。
⋯⋯⋯⋯
勿論、婚活においては、話すべきことは話し、聞くべきことは聞かなければならないだろう。借金や、心身の健康などは、既に既成事実があることで、教えてもらうべきことではある。

しかし、どこに住むか、子供は何人か、仕事はどうするか、それは相手との関係で流動する価値感で、追求し、答えを出させるものではない。

相手との関係でどうしていきたいか、歩み寄って、話して、行き着く場所でしかない。きっと、オジサマ方は、探しているのだろう。条件通りの家政婦ロボを。それは人間界には存在しないのに。

彼らは今まで人とどう生きてきたのだろうと疑問が湧く。問い合わせでは判明しないことや、問い合わせしてはいけないことがあるのを知らないのだから。
⋯⋯⋯⋯
先の48歳カフェおじさんは、ドバイに行く可能性があるから、女性たちが結婚してくれないと嘆く。

相手の心を追い詰めていくその言動が原因だよ。私は思ったが、おじさんの頭にはドバイしかないため、それには気づかないのだろう。

固まった頭は、出会った相手に理想の回答を求め続け、初対面から圧迫面接を始める。圧迫面接で心を殺される生活を誰が望むだろう。そんな女性いるのだろうか。この令和に。

48歳になっても子どもレベルの当たり前に気が付かない彼は言う。
「ねー、ドバイに来ないのは、絶対?」
私たち、初対面ですが、私はあなたがもう無理です。
「お時間なので。」
小さな手土産を渡し、私はそこから走って逃げた。
自分は、こうなるまいと、強く思う。

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あやとりりい とても嬉しいので、嬉しいことに使わせて下さい(^^)