くも膜下出血で倒れた夫。生死の境から生還した彼が、病室で私に放ったあり得ない一言
13年前のある朝、風呂場で突然夫が倒れた。
くも膜下出血だった。
生死の境をさまよいなんとか生還したものの、
何もしゃべらない、体は動かない夫。
私は、毎日病院へ通いながら、
自営業をしていた夫の仕事先へ連絡し仕事の後処理をする日々。
この頃はまだ夫が私を裏切っていることなどつゆ知らず、
夫がこの先どうなってしまうのかと不安と心配でいっぱいだった。
けど、数か月後、私の不安と心配は、
夫への怒りと絶望へと変わっていく。
2回の手術
夫は2回手術をしている。
一度目は風呂場で倒れて救急車で急性期病院へ運ばれた後。
二度目は、急性期病院を退院し、
リハビリテーション病院へ入った3か月後。
リハビリテーション病院でのリハビリが順調に進んでいたある朝、
いつものように朝病室を訪れた私の目に飛び込んできたのは、
いつもと様子の違う夫だった。

すぐに医師に診察してもらい急性期病院へ連絡、
そして「すぐに来てください」といわれ病院へ向かうことに。
診察の結果、2回目の手術が決まった。
手術の日は忘れもしないバレンタインデー2月14日、
大雪が降った寒い日だった。
初めて見た夫の携帯電話
2度目の手術が終わり、順調に回復した後、
リハビリテーション病院へ戻ることになった。
冬から春へ季節が変わるころ、
少しずつ体が動くようになり歩く練習をはじめた。
そんな日が続いたある日、作業療法士の先生から
「ご主人の携帯電話、まだ残っていますか?」
と聞かれた。
夫は倒れる前、
携帯電話(ガラケー)とそのころ発売されて間もないスマホを持っていた。
夫は、くも膜下出血の後遺症で、
高次脳機能障害を患い記憶障害がある。
記憶をすることが困難なので、
携帯電話のメモ機能を使うことを覚えて
生活に活かしたいということだった。
私は夫が病気になるまで夫の携帯電話を見たことがない。
というか、夫を信じて疑わなかった。
携帯のあの文章を見るまでは…
見慣れないメールの下書き
自宅へ帰り夫の携帯電話を充電しながら、
初めて携帯電話の中身を見た。
特に変わったことはなく、
最後に仕事先からメールが届いていないかと確認をしたとき、
メールの下書きに何かが残っている。
「えっ?なにこれ?」

その下書きは、今はなんて書いてあったかはもう覚えてはいないが、
確実に仕事に関する文章ではない。
なんか、唄の歌詞のような一文で、
私が知っている夫が書いたとは思えないような文章。
けど、この時はまさか夫が不倫をしているなんて思わなかったので、
息子に見せてしまった。
「これ、何だと思う?」と
息子は「わからない」
W不倫を認めた夫
翌朝、不安な気持ちで夫の携帯を持って病院へ。
夫に携帯を手渡し、
「見てほしいのがあるんだけど、これ何?」
と疑惑の下書きメールを見せた。
一瞬、戸惑った様子を見せた夫だったが自分からすぐに
「浮気相手に送ろうと思って書いた」と。
拍子抜けするほど素直に、そして簡単に
自分が浮気をしていると認めてしまったのだ。
この瞬間、
今までの夫に対する信頼が爆発したように粉々になってしまった。
そして、暗証番号を入れないと見ることができなくしてある浮気相手の連絡先と、これまでのメールをすべて私に見せてくれた。
多分、もし夫の病気が「脳」でなければ、
疑惑の下書きメールをうまくごまかしたと思う。
けど、夫の脳は高次脳機能障害を患っているため、
思考が一般の人とは違う。
13年たった今は、だいぶ元に戻ってきているけど、
それでも「えっ?そこ?」と思うときが多々ある。
なのでこの頃はもっと重症だった。
病室で浮気相手に連絡
素直に自分から浮気を認めた夫。
知ってしまった以上、黙っていられない私は、
リハビリが始まるまでまだ時間があることを確認した後、
夫に浮気相手に電話を掛けるように指示。
4人部屋の病室、
大きい声を出すことができないので、
絞り出すように低い声で話していたのが夫は怖かったのかもしれない。
すぐに浮気相手に電話をかけた夫、
電話はすぐにつながった。
「妻にバレた、電話代わる」
そして、私は浮気相手に「もしもし」と話しかけた。
浮気相手:「すみません。
でも、私から連絡したのではなくそちらからかかってきたんです」
私:「そんなことは、どうでもいい」
浮気相手:「何があったんですか?どこか悪いんですか?」
私:「くも膜下出血です。生死の境をさまよいました」
浮気相手:「……」
私:「もう、連絡しないでください」
浮気相手:「……でも…」
私:「連絡しないでください、二度と」
浮気相手:「…わかりました」
そして、電話を切った
その1分後、夫の電話が鳴った。
浮気相手からだった。
私は夫に「出て!」と指示をし夫は電話に出た。
私に代わってほしいと言っているらしい。
私:「もしもし」
浮気相手:「私、夫に言わなきゃいけないでしょうか」
私はこの時、相手に夫がいると初めて知ることになった。
私:「そんなことはどうでもいい、私には関係ない」
浮気相手の家庭の事情など本当にどうでもよかった。
浮気相手:「でも…」
私:「そちらで勝手に決めて」
浮気相手:「わかりました…すみません」
そしてそれ以来、浮気相手から電話が鳴ることはなかった。
W不倫発覚、その後
不倫がわかってから、不倫相手とのメールのやり取りを全部何回も見た。
約100件ほどメールや動画、写真などが残されていたが、
それらのほとんどは、浮気相手が送ったもの。
夫のメールは2件ほどしかなかった。
年数にすると多分3年くらいではないだろうかと思っている。
そしてその後、私の心と体は少しずつ壊れていき、
数年後に不安症を発症することになる。
この浮気で1番私を苦しめたのは、夫が退院してから。
当時、夫の頭の中ははっきりしておらず、
訳の分からないことを朝から言うことが多かった。
毎朝言うことは、
「○○は、今何してるんだろう…」
○○は浮気相手の名前、
普通の人ならそんなこと妻の前で言わないと思うけど
この頃の夫は普通ではなかった。
そして浮気相手のことを、
時には友達、時には浮気相手と思っている。
だから、面と向かって怒ることができなかった。

時がたつにつれて、夫は不倫相手の名前を言わなくなり、
少しずつだけど頭の中が整理され正常に近づいてきている。
13年たった今でも記憶障害があり、忘れることも多々あるけど
昔のように、私の前で不倫相手の名前を言うようなことはない。
ただ、テレビで不倫のドラマを私の前で平気で見ている。
そして、
「こいつひどいな」
と言っている。
「いやいやお前も同じだろ」
と言いたいが、胸にしまっている。
終わりに
振り返ってみると私は「バカなのか」と自分で思う。
裏切られ、病院を退院してからも苦しめられ、
それでもまだ一緒にいる。
それは、なぜか?
理由は、夫が私に感謝しているのと、
好きでいてくれるのがよくわかるから。
夫がたびたび口にするのは、
「あゆみがいたから今がある、
いなかったらどうなっていたかはわからない」と。
ただ私は今でも100%夫を信じていないというか、信じられない。
でも、捨てられないという気持ちは私の中で矛盾している。
今後、夫が浮気をしない限りは夫があの世に行くまで一緒にいると思うけど先のことはわからない。
ただ一つ言えることは、浮気をするなら離婚してからにしろ!
長文をお読みいただきありがとうございました。
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