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経営悪化の本番1~親族借入~

「経営悪化の予兆」を経て、物語はいよいよ「本番」へと突入する。

営業赤字が続き、支払いが延滞し、銀行のリスケ(返済条件の変更)を行った。当然、金融機関からの追加融資は止まる。それにもかかわらず、固定費の削減に失敗し、売上不振から抜け出せない場合、会社はどうなるのか。

この段階に至ると、M&Aによる売却も難航を極める。借入が大きい場合は、客観的に見て、成約はほぼ不可能と言っていい。

売上に合わせた固定費まで会社をスリム化すること


本来であれば、経営者が真っ先に取り組むべきは「売上に合わせた固定費まで会社をスリム化すること」だ。

この段階の企業におけるスリム化は、単なる日常の節約レベルでは到底済まされない。固定資産の売却や不採算事業の廃止、さらには従業員の緊急解雇までもが含まれる厳しい決断である。

しかし、現実の経営者のほとんどは、崩れかけた現状維持にしがみついてしまう。

なぜか。経営者の頭の中が、完全に「借金」で埋め尽くされているからだ。

事業の将来や抜本的な構造改革を考える余裕など微塵もない。頭にあるのは「どうやって今日の支払いを乗り切るか」「どこから資金を工面するか」という目先のお金のことだけである。毎日のように押し寄せる支払いの波に対して、手元にはお金がない。壊れたレコードのように、資金繰りのことだけを考え続ける状態に陥るのだ。

そして、金融機関からの調達が途絶えた経営者が最後に手を出すのが、「親族や友人からの借入」である。

頭を下げて親族や知人を回り、お金を借り集める。しかし、それも長続きはしない。返済の当てがない金借りであることを周囲も見抜くため、次第に親族からも煙たがられ、連絡を絶たれ、最終的には完全な四面楚歌に陥る。

親族から借入をする前に潔く諦めるのも手のひとつ

このフェーズまで来れば、会社が潰れる確率は9割以上決定しているのだ。会社がなくなった後も、自身の人生や生活は続いていく。それなのに、会社の破綻と引き換えに親族全員から無視され、人間関係まで全滅するような状態だけは絶対に避けたい。

実は、この「親族借入」というどん底の手前に、経営者としての大きな分かれ道が存在する。

それは、「従業員や周りのために腹をくくった決断ができるかどうか」だ。

不採算事業の廃止


腹をくくったのであれば、不採算事業の廃止は一刻も早く進めなければならない。しかし、実態として「どの事業が不採算なのかすら把握できていない」という企業も少なくない。ここを見誤ってしまえば、会社を支える大事な収入源まで失うことになりかねず、正確で緻密な分析が不可欠となる。

また、不採算事業の整理に伴う「人」の解雇も避けては通れない重要課題だ。特に緊急解雇を行う場合、労働法上のルールや手続きを正しく確認しておかなければ、違法行為となり後々大きなトラブルへと発展する。

さらに見落としがちなのがタイムラグだ。解雇を決断した瞬間から、実際に人件費としての支出が下がるまでには一定の時間を要する。

加えて、廃止する事業であっても、そこにはこれまで付き合ってきた顧客が存在する。彼らの今後のフォローについても真摯に考えなければならない。

周りへの影響を最小限に抑えつつ、不採算事業を速やかに閉鎖し、「売上ー経費=黒字(粗利)」の正常な状態へと引き戻すこと。

まずはこの手立てを講じ、流血(赤字の垂れ流し)を止めることができれば、会社にはまだ復活への道が残されている。

数年前の支援実例~惣菜工場のケース~

当時、私はとある惣菜工場の立て直しに関わっていた。

その会社はまさにどん底の状況にあった。顧問税理士からは「もう廃業するしかない」と引導を渡され、社長の貯金は使い果たし、生命保険も解約して現金化。金融機関からの追加融資は完全に止まり、すでに親族からの借入にまで手を伸ばしている状態だった。

毎日朝から晩まで必死に働いているのに、何が悪いのかもわからない。どの事業が不採算なのかすら、もうわからないんです……

社長の奥さんは、私の目の前で崩れ落ちるように泣き伏した。

私は財務の専門家ではない。しかし、当時の会社には資金が一切なく、新たに財務コンサルタントなどの専門家を外部から呼び寄せる余裕など皆無だった。

「自分の労働時間を削るだけでこの会社を救えるのなら、やる価値はある

そう腹をくくった私は、会社のお金の流れを解き明かすため、机の上にうずたかく積まれていた大量の伝票と帳簿を一つひとつ細かくチェックし始めた。

破産という最終宣告を下す前に、まずは事業ごとの売上と利益を正確に整理・分析したのだ。

その結果、判明した事実は衝撃的なものだった。 展開していた4つの部門のうち、利益が出ていたのはわずか1部門のみ。残りの3部門はすべて赤字の不採算事業だったのだ。

だが、ここで問題が生じる。 ただちに不採算の3部門を切り捨てて唯一の採算事業だけに絞ると、会社の売上自体が半分以下に激減してしまう。そんな極端な一激縮小を行えば、一瞬でキャッシュが底をつき、即座に倒産してしまうリスクがあった。

そこで私は、まず「残った1つの採算事業を徹底的に伸ばす」という戦略をとった。

私は営業が得意だ。これまで所属してきたどの会社でもトップセールスを記録してきた自負がある。その強みを活かし、地域で最も大きな企業をターゲットに設定して営業を仕掛けた。

粘り強い交渉を重ねること3ヶ月。見事に、その唯一の採算事業における受託数量を大幅に伸ばすことに成功したのだ。

柱となる事業の売上基盤を強固にしたうえで、満を持して不採算事業の廃止へと舵を切った。経営陣の危機感も高く、廃止の決断と実行は迅速だった。

出血を止め、強みにリソースを集中させた結果——なんと1年後の決算で、会社は見事な最終黒字化を果たしたのである。

不採算事業の廃止はとても重要である。


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加藤裕子 記事をご覧いただきありがとうございます。私は今、霊視会を通じて多くの方の心を整えるお手伝いをしています。頂いたサポートは、より多くの方が集まれる場所作りや活動の維持に充てさせていただきます。皆様とのご縁に感謝し、さらに良い循環を作っていければ幸いです。応援よろしくお願いします!