血液型亜型の基礎知識 ― ABOの「ちょっと変わった」血液型たち
はじめに
「血液型は何型ですか?」と聞かれて、A・B・O・ABのいずれかで答える方がほとんどだと思います。
ところが輸血検査の現場では、ときどき「ふつうのA型・B型ではない」血液に出会うことがあります。
が今回のテーマ、血液型亜型(subgroup) です。
亜型は決して珍しい病気ではありませんが、知らないまま輸血すると思わぬトラブルにつながることもあります。
今回は、医療従事者の方にも一般の方にもわかるように、亜型の基本をやさしく整理してみます。
1. そもそも亜型とは?
ABO血液型は、赤血球表面にある A抗原・B抗原 の有無で決まります。
亜型というのは、このA抗原やB抗原の 量や反応の強さが通常と違う タイプのこと。代表的なのは次のようなものです。

日本人ではA2型は欧米より少ないですが、Ax・Bxなどの弱い亜型はときどき経験します。
2. なぜ亜型が問題になるのか
亜型がやっかいなのは、オモテ検査(赤血球側)とウラ検査(血清側)が一致しない ことが多い点です。
たとえばAxの方を検査すると、
オモテ検査:抗A試薬と弱く反応 → 一見O型に見えることもある
ウラ検査:A1赤血球と反応する抗A1抗体を持つことがある
そのまま「O型」と判定して輸血してしまうと、本当はA型であるにもかかわらず O型赤血球を入れることになったり、逆にA型赤血球を入れて軽い反応が起こったりする可能性があります。
亜型の判定には、
反応強度の確認(4+〜w+などで記録)
吸着解離試験
唾液中の血液型物質検査
必要に応じて遺伝子検査
など、少し手間のかかる検査が必要になります。
3. 現場で亜型を疑うサイン
検査をしていて「あれ?」と思うポイントはいくつかあります。
オモテとウラが合わない(オモテ・ウラ不一致)
抗A・抗Bの反応が弱い、または部分凝集に見える
過去の血液型と今回の判定が違う
家族にも珍しい血液型がいる
こういう場合はあわてて型を決めず、反応を再確認 → 追加検査 → 必要なら専門施設に相談 という流れで進めます。
輸血が急ぐ場合は、安全側に振って O型赤血球+AB型FFP といった選択をすることもあります。
まとめ
血液型亜型は、ABO血液型の「個性的な仲間たち」です。
頻度こそ多くありませんが、見落とすと輸血の安全性に直結するため、検査室では常に「不一致サイン」に気を配っています。
患者さんの立場からすると、「血液型がはっきりしない」と言われると不安になるかもしれませんが、それは検査技師がより安全な輸血のために慎重に確認している証拠でもあります。
亜型という存在を知っておくと、輸血医療の奥深さが少しだけ見えてくるかもしれません。
📝 この記事を書いた人
あずう🩸|認定輸血検査技師
臨床検査技師として輸血・免疫検査に従事。輸血医療の正しい知識を広めるため、noteで情報発信中。
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