AI研究開発(R&A)事業開始:ドキュメンタリー001
上海から帰国して社内メンバーたちとMTGを重ねた結果、AI開発会社を個人事業で設立することになった。
初期費用は有志個人たちから1000万借りて用意した。 開発者2名には開発システムが完成するまでの間、年間500万×2の1000万を貸し付けることにした。
一年後資本金が無くなる。一年で開発は完結しない。まだまだ開発時間が必要になるということでまた有志から1000万借りて開発者に500万×2の1000万を貸し付けることにした。
この開発がいつまで掛かるか見えない。しかし完成まで貸し続けようということになった。 税務や税金はどうなるのか?を考えてみた。
「税金が掛かるお金」と「税金が掛からないお金」を最初に完全に切り分けることが大切だ。
結論、今回の2,000万円の借入そのものに所得税が掛かるわけではない。むしろ問題は、開発者2名に渡した1,000万円を税務上どういう取引として処理するか、そして完成までの開発費をいつ経費にするかだ。
なお、個人事業の場合は「資本金」という概念は法人ほどない。ここはかなり重要になる。
お金の流れを整理する。そのまま数字にすると、
① 有志個人から1,000万円を借りる
借入金 1,000万円
現金預金 +1,000万円
② 開発者2名に各500万円、合計1,000万円を渡す
ここが最大のポイント。
もし本当に、
「これは開発者への貸付金であり、将来返してもらう」
という契約なら、
貸付金 1,000万円
現金預金 ▲1,000万円
になる。
つまり経費ではない。
帳簿上は、
借入金1,000万円
↓
開発者への貸付金1,000万円
となる。
したがって、この時点では所得税を減らす「必要経費」にはならない。
③ さらに1,000万円を借りる
その後、
「まだ完成しない。もう1,000万円必要だ」
ということで、さらに1,000万円を借りた。
すると、
借入金合計 2,000万円
です。
ここでも、
借入金=売上ではないので、借りた2,000万円そのものには所得税は掛かからない。
これは非常に大事。
ここで一度立ち止まった。
今回、一番危ないのは、
「開発者2名への500万円×2が、本当に貸付なのか?」
だ。ここを曖昧にしてはいけない。
実態が、「AIシステムを開発のために、それぞれ500万円を支払った」
のであれば、これは「貸付金」ではなく、開発委託費・人件費等として処理すべき可能性がある。
逆に、
「500万円を貸した。システム完成後も返済義務がある」
なら貸付金だ。
税務では契約書のタイトルより実態が重要です。
そして、AI開発では「完成前」が一番ややこしい
ここが今回の核心になる。
例えば、
開発者A 500万円
開発者B 500万円
追加開発費 1,000万円
合計2,000万円を開発に投入したとする。
これを全部、「今年のAI開発費2,000万円!」
として一気に必要経費にできるとは限らない。
自社利用ソフトウェアなどについては、製作のための原材料費・労務費・経費などを取得価額に算入する考え方がある。国税庁も自己製作ソフトウェアについて、その製作に要した費用を取得価額として扱う考え方を示している。
つまり、
完成して事業に使えるソフトウェアなのか、研究開発段階なのか、販売用なのか、自社利用なのか
によって処理が変わる。
もう一つ重要なのが「研究開発」なのか「ソフトウェア製作」なのか
例えば、
A
「新しいAI技術そのものを研究している」
のであれば、研究開発費として扱える部分が出てきます。
一方、
B
「すでに仕様が決まっていて、商品として使えるAIシステムを作っている」
なら、ソフトウェアの取得価額として処理する部分が出てくる可能性がある。
国税庁の取扱いでも、自己製作ソフトウェアについて、研究開発費の一部を取得価額に含めないことができる場合などが定められている。
したがって、
「AI開発費だから全部経費」
と考えないほうが安全になる。
そして個人事業最大の問題は「利益が出ていないのに税金が発生する」こと
例えば今年、
売上 500万円
経費 300万円
なら、
利益 200万円
になる。
この200万円が所得税等の計算対象になる。
ところが、
売上 500万円
開発関連支出 1,500万円
だったとしても、
その1,500万円がすべて今年の必要経費になるとは限らない。
ここを間違えると、
「お金は2,000万円借りている」
「手元にはほとんど残っていない」
「なのに税金が発生する」
という恐ろしい状況が起こり得る。
キャッシュフローと税務上の利益は別物。
さらに「借入金の利息」は別扱い
有志からの2,000万円の借入について利息を支払うのであれば、その利息については事業との関係性などを確認したうえで必要経費になる可能性がある。
しかし、
元本返済は経費ではない。
例えば、
2,000万円借りる
↓
100万円返済する
なら、
「100万円の経費」
ではありません。
単純に、
借入金残高が2,000万円→1,900万円
になるだけ。
そして「個人から借りた」というところも書類を残す
ここは絶対にやっておく。
有志の方々から1,000万円、さらに1,000万円を借りたのであれば、
金銭消費貸借契約書
をそれぞれ作る。
最低限、
貸主
借主
借入金額
貸付日
返済期限
返済方法
利息の有無
利息がある場合の利率
遅延時の扱い
を明記する。
そして、
現金手渡しではなく銀行振込
にする。
これだけで証拠能力が全然違う。
開発者2名への1,000万円も同じ
ここが特に重要。
本当に「貸付」だから、
金銭消費貸借契約書
を作る。
例えば、
開発者Aに500万円貸付
開発者Bに500万円貸付
として、
返済期限や利息、返済方法を明確にする。
そして帳簿上は、
貸付金1,000万円
として残す。
もし実際には「開発報酬」なら話が変わる
例えば、
Aさんに500万円
Bさんに500万円
AIシステムを完成させるための報酬
という実態なら、貸付金にしてはいけない。
その場合は、
開発委託契約 → 請求書 → 支払い → 開発費等の会計処理
という流れにする必要がある。
さらに相手が個人なのか法人なのか、雇用関係があるのか、外注なのかによって、源泉徴収などの論点も変わる。
消費税も忘れてはいけない
個人事業者の場合、原則として基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら免税事業者となりますが、特定期間の判定やインボイス登録などによって課税事業者になる場合があります。
そして面白いのが、
借入金2,000万円は売上ではない
ということ。
消費税の1,000万円判定も基本的には「課税売上高」を基準にします。
したがって、
2,000万円借りた
↓
売上2,000万円になった
ということではない。
「法人化」を検討する。
個人事業として小さく始める段階を既に超えつつある
ように見えるらしい。
なぜなら、
外部から1,000万円借入
開発者2名に1,000万円
さらに1,000万円借入
AIシステムを開発
完成時期未定
今後さらに資金投入の可能性あり
だからだ。
つまり現在、
「個人事業主フジ」
が、
開発資金2,000万円規模のAI事業
を背負っている状態。
これは税金だけではなく、責任と資金調達の構造を考えたほうがいい。
特に「個人事業」だと借金もフジ個人の借金
ここが法人との大きな違いです。
個人事業なら、AI開発事業の借金
であっても、法律上は基本的に
フジ個人の債務
になる。
法人なら、
株式会社が借りる
↓
株式会社が返済する
という構造を作れる。
もちろん代表者保証など別の問題はあるが、事業の器を分ける意味は大きい。
もう一つ、かなり重要なこと
フジの場合、今後AIシステムが完成すると、
「このシステムの所有者は誰なのか?」
という問題が出てくる。

ここを今のうちに契約書で決める。
例えば、
ソースコードの所有権
著作権
学習データ
モデル
API
プロンプト
データベース
商標
特許・発明
開発途中の成果物
開発者が作った既存コード
開発終了時の権利
開発者が途中離脱した場合
になる。
税務より、むしろこっちのほうが将来大事故になりやすい。
今すぐやるべきこと
① 2,000万円の借入契約
「誰から、いつ、いくら借りたか」
② 開発者2名への1,000万円
「貸付なのか、開発報酬なのか」
③ AI開発費の会計処理
「研究開発費なのか、ソフトウェア資産なのか」
④ 完成前の費用
「どこまで今年の必要経費になるのか」
⑤ 完成後
「ソフトウェアとして何年で償却するのか」
⑥ 消費税
「免税・課税・インボイスのどれなのか」
⑦ 所得税
「開発途中で赤字になった場合の損失処理」
⑧ 法人化
「今法人化するのか、完成後に法人化するのか」
「資金繰り表」を税務とは別に作る。
項目金額第1回借入1,000万円
第2回借入1,000万円
借入総額2,000万円
開発者Aへの貸付▲500万円
開発者Bへの貸付▲500万円
手元資金1,000万円
開発継続資金▲1,000万円〜今後の追加借入未定
となる。
つまり現状は、
「2,000万円借りたから2,000万円使える」
ではなく、
「2,000万円借りたうち1,000万円が開発者への貸付金として外に出ており、手元には1,000万円。しかも開発完了時期が見えない」
という状態です。
これは税務問題であると同時に、かなり明確な資金管理問題です。
この事業では「借りたお金」「貸したお金」「開発に使ったお金」「完成したAIの資産価値」を絶対に混ぜないこと。
特に、開発者への1,000万円が「貸付」なのか「開発費」なのか
貸し付け。
綺麗な会計構造になってきた。
そして、開発が長期化する可能性があるなら、僕なら「個人事業のまま完成まで走る」ケースと「今、株式会社にして開発を移す」ケースの2パターンを数字で比較。
続く
フジ
JINSEN BOTTI
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