【乳がん】見えない傷と生きる
鎖骨周りから脇を通り、腕の内側まで続くピリピリとした痛み。
気付けば、右手で服の上からそっとさすっている。
術後18日となる。
医師からは、「日にち薬だから」と言われた。
でも、本当にこの痛みは消えるのだろうか。
そんなことを思うようになってきた。
傷口そのものは、触っても痺れたようで感覚がほとんどない。
それよりも、その周りが痛い。
私はリンパ節郭清まではしておらず、生検のみだったので腕は動かせる。
郭清までした叔母の術後の話を聞くと、私はまだ軽い方なのだと思う。
それでも、この痛みが手術がどれほど体に大きな負担をかけたのかを物語っている。
買い物に出掛け、すれ違う人たちを見て、ふと思った。
笑って会話している人たち。
何気なく歩いている人たち。
外見からはわからない傷を抱えている人もいるのかもしれない。
今も、私と同じように痛みを抱えながら生活している人がいるのかもしれない。
自分が体験して、初めて気付けたことだった。
そう思ったとき、職場のパートさんたちのことを思い出した。
手術のために休みをいただくことを伝えたとき、「実は私も…」と、自分の病気や手術の経験を話してくれたパートさんが何人もいた。
それまで私は、その人たちを「いつも笑顔で元気な人」だと思って接していた。
まさか、そんな経験をしていたなんて思いもしなかった。
でも、それは私も同じ。
今、私とすれ違う人も、私が乳がんであることも、この痛みを抱えていることも知らない。
人は、自分から話さない限り、見えない傷には気付けない。
目の前の人にも、自分には見えていない何かがあるのかもしれない。
そんな想像ができる人でありたいと思う。
ーーー
私は今、カップ付きのタンクトップを着るだけで、中には何も入れていない。
もともとDカップなので、左右の差は多少ある。
でも、それが何だろう。
今の私にとって一番大切なのは、痛みを和らげること。
そして、傷に余計な負担をかけないこと。
だから私は、タンクトップ一枚で過ごしている。外出もする。
これが今の私。
傷が癒えてからも、このスタイルはきっと変わらない。
私が大切にしたいのは、人の目ではなく、自分の体。
この体と向き合いながら、自分らしく生きていきたい。
