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いつか出たいと考えながら歩いた文学フリマ&買った本の感想全部書く

やっと……やっと全部書けた。こんなに買って積読してしまったらどうしようと危惧してましたけど、やっぱりそれなりに積読してしまいました。

2024年12月1日の文学フリマ東京39に、お客さん側として行ってきた話と、買った本の感想をつらつらと書いていきます。

初めての文学フリマで感じたこと

生まれてはじめての同人即売会。当日、知ったことや感じたことをそのまんまXにてメモ代わりに投稿していたので再掲。

・だいたい500円
・あんまり本の分厚さは関係ない感じがした。お客さん側としては500円は払いやすかったのでむしろ300円よりうれしい
・コピー本でも興味があれば手に取る。本の体裁よりテーマのほうが気になる。テーマがぱっと見で分かるとうれしい
・結局接客力が問われるのかも。笑顔で声かけしてくれたり手に取った本の説明をしてくれるとすごくうれしい
・無言、無表情で座ってる人、突っ伏している人からは買いにくかった
・知り合い同士でワイワイしてる時間が長いブースも、なかなか近くに寄って見本を手に取れる空気ではなかった
・メイド服着てる人可愛かった。メイドじゃなくても目立つ服着てると目立つ、ニコニコしてるとなお目立つ(良い意味)
・物販をしてるブースも目立つ、キラキラしてたり、カラフルだったりすると足が止まった
・短歌ブースまじ混雑。世の中全体のブームを感じる
・趣味本のブースも混んでた。路上観察とか電車とか旅とか。分かりやすいから買いやすいのかも
・逆にファンタジー小説とかは空いてたかも
・児童書?のブースで出展者側の子ども、お客さん側の子どもが交流していてびっくりした。もう即売会デビューしてるのか、時代ね……
相互フォロワーさんに会えるとうれしいけど照れる。急にインターネットから人格が飛び出してしまった気がして、人見知りを発揮してしまう
・人多すぎて暑い!人酔いする!夏なら倒れていたかも!
・それでもお祭りみたいでたのしかった。知り合いがもっといたら楽しいような気もする。
つまりいつか出展側で参加してみたいなあって話

「うれしい」ことが4個もあったみたいで笑いました。よかったね、当日の自分。

メモの最後に書いてある通り、「出展側になれたらいいな」という思いをほんのり抱きながらのお客さんとしての参戦でした。需要はともかく、一応書くことが好きでライターやってて、noteやっているので、「これまで書いてきたことを紙媒体で残したい」みたいな気持ちがだんだん湧いてきてるんですよね。

だからこそ、どんな本を、どんな値段で、どんな格好で、どんな装飾で、どんな声かけで、どんなお客さんに売るのか、リアルな現場を見ておきたかったんです。「偵察」とか言うとおこがましいですが、本当にゼロからわかんないな~と思ったので。

その観点からの感想ですが、「結局問われるのは接客力では?」ということです。どんなに趣味として書いていても結局ね! 

同人だとしても、利益が出ないとしても、この現場においてはお店を構えてプチ商売をやっているようなもんで。その店番が無愛想か、ニコニコかで全然購買意欲が変わるなと思ってしまいました。どこまで行っても客商売だということですね。

もちろんどんなスタンスでZINEを作ってもよいと思うんですが、私だったら自分の本をたくさんの人に読んでもらいたいから、丁寧な接客や声かけをがんばりたい。それが、私みたいな即売会に初めて来た新参者にとって非常にありがたく、親切さが沁みたからです。

「即売会で一度も売ったことないヤツが何言ってんだ」って感じですが、新参者の勝手な感想でした。まずはね、本をね、つくりたいね。。。

#文学フリマで買った本

ここからは買った本の感想です。Xで小分けにして投稿していたので、見ていただいた方にとってはすべて既出の内容となります。長くなるので、読んだよってところは飛ばしてください。

一部、文学フリマで買ってないものの、近い時期に貰った本の感想も書きます(文フリで販売もされていた本です)。

『まちをたのしむ』ちぷたそ(井口エリ)著

大人気、大混雑のデイリーポータルZブースにあった一冊。井口さんがおもしろそうな本を作っていらっしゃるなーというのはTwitterで見ていたので、「やっと手に入れた」という感覚だった。

読んでみるとあっという間だった! 16ページだからというのもあるけれど、とにかく表現が優しく柔らかく「うんうんいいよね街歩き」って思っているあいだに終わった。読みやすすぎて、そうめんみたいだった。表紙の妙な魅力を放つタヌキ(豚)、まさかご近所蒲田のものだったなんて……。今度探してみよう。2〜3ページ目で使われている癖のあるフォントが個人的に好き。そうか、紙で本を作るというのはフォントで遊んだりもできるんだな。

『終電で終点へ』中尾拓彦著

見本コーナーで「うわこれ買いたい」と思った本。ジャケ買い。いや、中もパラパラと見たうえで、見やすさにも惚れて中身買い。

終電で終点駅に行き、朝まで過ごすというライフワークを、8年間のべ110駅やられている方。狂人すぎ。「終電で終点駅に行く」というところまではネタ記事を書く人なら一度は思いつきそうだけど、果たしてそれを8年も継続できるだろうか。やはり何かカタチとして出すなら、執念が必要なんだなと考えさせられる。

中身はとてもポップ。私の地元、「終電で終点駅」をすると山すぎてやばいので、まさにその路線が紹介されたページはニヤニヤしてしまった。知ってる駅が多ければ多いほど楽しい。

Twitterで調べると放送作家さんとのことで、企画力、リサーチ力、まとめ力はさすがプロだなと。このライフワークがいつか番組になる未来もあるんだろうか。

『三菱東京UFJカズヨシ銀行』ヤスノリ著

正真正銘、文学フリマで最初に買った本。人でごった返す会場に驚き、まずは知っている人のもとへと、散歩メディア「サンポー」でお世話になっているヤスノリさんのブースに向かった。

「人生初の文フリで、これが初めて買う本で……」と、気持ち悪い謎の告白をしてしまったことをちょっと恥じている。「もっと高尚な本あるのに〜これでいいんですか」とヤスノリさんは笑ってくれたけど、いいんです!

8編の短編小説集。ぜんぶWebで読んでいるようないい意味のライトさがあって、それでいて本格的だった。ひとつ読むたびに、あとがきにあたる「解題」の章を見にいって、そういうことかとニヤニヤした。「二万通りの彼女」では、自分がよく使う京急品川駅のホームをイメージして読んでいたのだけど、「解題」によるとヤスノリさんのモチーフも京急品川駅だったよう。知ってる人が書いた小説で、その人と思考がリンクする現象、なんかゾクゾクして恥ずかしいな。「知ってる人が書いた小説」に出会う機会がこれまでなかったもので、初めての体験すぎた。

『歌詞をたよりに集まる』あわうみ・電車待ちに読むブログ著

「Web記事を本にしたらどんな感じになるんだろう?」、という好奇心から購入した一冊。実はこの記事、公開されたタイミングに楽しく読ませてもらっていたので、履修済みの状態だ。

結果、買ってよかった! 私もきっとZINEを出すのなら、Web記事を紙記事に変換するという作業があるだろうから、その観点でかなり勉強になった。Web記事でありがちな画像の多用とか文字の変化とかは、紙の場合ないほうが読みやすい。どこをどう削ってどうレイアウトするか、ありものの記事を本にするにしても、結構頭を悩ませることになりそうだ。ちゃんと準備せねば。

また、座談会やあとがきという、本だけのコンテンツがあったのもファンサービスが効いていてよかった。なんか、街歩きの企画記事って孤独に黙々と頑張るイメージだったけど、これ読んで「仲間っていいな……」ってちょっと思った。

『教養としてのお冷』つるたちかこ著

「教養としての」というタイトルがぴったりの一冊。単なる趣味本、写真集ではなく、アンケートやインタビューまで繋げることで一気に学問になっていくのが面白い。「好き」を詰め込んだ自分視点の本ではなく、第三者視点を感じた。それでもやっぱり、お冷が好きすぎてインタビューで自我が出まくる感じが人間らしくていい。

権利の問題でお冷の写真を出すのが難しいと聞いたけれど、私だったらその時点で本作りを諦めてしまうかもしれないと思った。本当は著者のInstagramのような、たくさんのお冷写真を載せた本ができたら良いのかもしれないけれど、それ以外の方向性に舵を切って、本にまとめたのはすごい。実際、他の人が出したお冷写真集とははっきりと差別化ができている。

いろんな配慮や経験、人脈、スキルのうえに成り立つ、「唯一無二」を感じた。ここまでできてやっと、「名刺代わりの一冊」だと言えるのだろうか。

『負けて生きる〜健全なギャンブラー夫婦入門〜』つるたちかこ著

タイトル的にエッセイ要素が強いのかな?と思いきや、同じ著者の代表作『教養としてのお冷』に通ずる「タメになる本」だった! 唯一無二のギャンブル×夫婦の生き方ハウツー本。「勝ち方」には一切触れていないのがポイント。自分の生活の中から、よくこの切り口を見つけられたなぁ。

ギャンブルの知識ゼロの私にとって、「スロットには台の状況が分かるグラフがついている」とか、「1ぱちのような表記が付いてない場合は1玉4円となる」とか、ゼロから勉強になることが結構あった。これもしかして……『教養としてのギャンブル』笑??

本当に、自分の好きなことを冷静に分解して、第三者視点で書くことがお上手なんだと思う。私は結構主観を出しまくってしまうのだけれど、興味のない人を含め、大衆に良さを知ってもらうには、こういう構成のほうがいいのかもしれないと感じる一冊だった。

『エッセイ集』佐伯著

「コピー本というものを買ってみたい」と思っていた私にぴったりの物体が、デイリーポータルZブースの片隅にあった。明らかにメモ帳をコピーしたような物体だ。「本」の概念を超越しているような気がするから、なんか物体と呼びたい。「デイリーの佐伯さんの書く記事がもともと好き」という理由がないと、なかなか初見では圧が強くて手に取れないかもしれない。知っててよかった。

中身は12編の短編エッセイ集。全部手書き。もはや手書きの味も含めた詩集といってもいいのかも。全部身近なテーマで、でも全部湿っ気があってよかった。本当のところは、どこからどこまで本当の話なんだろうか。

「楽だから」とか「作りやすいから」とかを超越したコピー本だったな。この文章の湿度はこの手書きだから成せる技なのかも。真似できない天然のかっこよさだ。身近なことを語っているはずの佐伯さんを、遠くに感じた。

『あのエネオスは元々どのブランドだったのか』電車待ちに読むブログ著

電車待ちに読むブログさんの傑作選。街歩きのなかでも、ここまで「店舗観察のプロ」と言える人はなかなかいないんじゃないかな。ある章は足掛け7年と書いてあってゾッとしてしまった。好きゆえの執念だ……。文中にある「なんとなく尺足らずの看板に出会ったら、それは元々違うブランドだった可能性がある」という視点、当たり前なはずなのにハッとさせられてしまった。こういう人に視点を学びながら、散歩というエンタメは豊かになっていくんだろうなぁ。

紙媒体にするにあたって、細かく「これ(左ページ上の写真)」みたいな補足が入っているのがとても丁寧でよかった。そして、電車待ちさんの作る、さっぱりした図表や写真は、そもそも白黒の紙媒体と相性がいいと感じた。紙で読むなら、あんまり華美じゃない、さっぱりした画像がいいのかも。

また箸休め的に入る、桃を切るだけのエッセイも好きだ。私自身がどうしても街歩き記事ばかり興味を惹かれてしまう性分だけど、作者のエッセイの一面もあることを知れてよかった。傑作選を作るなら、チョイスする記事のバランスのよさも大事なのだと教えてもらった。

『リニアの新時代へ 南北線品川延伸計画』新砂通信著

なんだか波長が合ってぐるぐると回遊してしまった電車系ZINEのコーナー。なかでも人だかりができていたのが「新砂通信」さんのブース。パッと目に入ったこの本、興味のあるテーマだったし、京急線ユーザーとして身近な話題だったのでジャケ買いした。

ジャケ買いするほどの綺麗な表紙もさることながら、中身も教科書のようなきちんとした内容&材質で驚き。「マニア向けの本だから分からないことばかりかも」と懸念していたが、「品川駅のなりたち」から具体的な解説がスタートしてびっくり。たぶん誰でも読める。文体は簡潔でさっぱり、内容は同人制作と思えないほど細かく丁寧で、やっぱり「教科書」としか言い表せない。

あとがきを見るに3人で作られたらしいが、こんなの、一体どうやって……。あとがきでは各々の人物像が見えたし、本文では書けなかった「推察」が語られている。結果的にそれが「信じるか信じないかはあなた次第」みたいな結びになっていて勝手にしびれた(そんなこと狙ってないと思うけど)。ZINEとしてのクオリティの最高到達点って感じ。

文フリの先輩たちに学ぶZINEづくりのポイント

ここまで、9冊の感想を書いてきました。普通に読書を楽しみつつ、「本づくりの先輩」という観点でも勝手に勉強させてもらっていました。

いつか自分が「書く側」になったときのために、感想のなかに登場したポイントをつらつらと箇条書きにしておきます。将来の自分、振り返って見てくれることを願う……!

・マニアな本でも初心者向けの入口から。個人の心情を盛り込み過ぎず、客観的視点で淡々と書いてあると読み進めやすい。
・ジャケ買いしたくなる本はデザインや紙質の良さだけではない。一瞬で理解できるタイトルのつけ方と、タイトルの読みやすさと、表紙のインパクトが重要。それができればコピー本でも手に取ってもらえる。
・企画はひねりすぎない。1ページで簡潔に説明できるレベルに。
記事をWeb→紙に変換するときそのままではNG。「この写真」みたいなこそあど言葉のところには、(右ページ上)みたいな注釈が必要。
・紙媒体の記事なら細かく書き込んだ絵より、シンプルな図表のほうが分かりやすい。写真はWebより多用しないほうが見やすい。
・もはや写真なしでも企画次第で趣味本は作れる。
・Web記事を本にするときは、+αのコラムやあとがきを入れてお得感を。
あとがきで自我を出すと読者側が親近感を持ちやすい。
・あとがきにQRコードを付けてnoteやXにリンクさせるのもアリ
・癖アリフォントをポイントで使って遊ぶのもアリ

……とまあ、いろいろ言いつつも、結局は自分が本当に好きなことを思いっきり詰め込んで好き勝手書きたいものですね!!!!

いつか出展者側で参戦できることを願って……。ではまた。

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