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夫の覚悟がキマりすぎている

結婚なんて紙ペラ一枚だと思っていた。だから、とっととすればいいのにと思っていた。

実際、5年以上同棲しているような状態で入籍したとて、何も生活は変わらなかった。

いつもの家、いつもの食事、いつもの仕事、いつもの家事。生活も、関係性も、なんら変わらない。そのはずなのだけど……

夫が、夫だけ、覚悟がキマりすぎている。

そもそも、プロポーズのタイミングもそうだった。私が開業届を出した年の年末。不安定な個人事業主の0年目。共働きが前提の私たちの結婚で、こんな不安定な状態の人間にプロポーズしてくれるということに驚いた。驚き過ぎて、「ありがとう」とかではなく「えっ!?今なの??」と言ってしまったくらい。当時の彼氏(いまの夫)は、「そういうタイミングだからなおさら結婚するんでしょ」と当たり前に言ってのけた。なんなんだ……。

それから1年後、正式プロポーズということで指輪交換したときにくれた手紙もすごかった。手紙には「自分では歩めない人生を隣で見られることは、結婚という決断をするうえで大きな後押しとなりました」と書いてあった。え? なんだこの名文?? ゼクシィなの??? 私はもはやライターとして悔しい。こんな名文を書ける人材が隣にいるんなんて。

本(同人誌・ZINE)を書く勇気をくれたのも夫だった。「同人で好きなもの書いているazumiもきっといい顔してると思うから、いつか見てみたいな~」と寝る前にぽろっと言ってきた。あまりに嬉しくてこっそり泣いた。その後、実際に本を作って文フリに参加するに至った。文フリで本が売れるのか不安だった私に夫は、「余ったら全部買い取るわ」とか言ってきた。なんなんだその謎の頼もしさは……。

ちなみに、私はちゃらんぽらんというか、同人誌を書くくらいには、稼ぐ気のない人間だ。(注:すべてのリソースをクライアントワークに投じて激務を乗りこなすフリーランスもいっぱいいると思っているので。)そのわりに、前職の同期や後輩や周りのフリーランスと比べてみては、「ぜんぜん稼げてない」「私は経済的に役立ってない」「低収入で破滅するのでは」などとしょげしょげしている。

そのたびに助けてくれるのは、夫の「俺がいるからなんとかなるっしょ」の言葉だ。会社を辞めて個人事業主になった日にも言ってくれた。事あるごとに言ってくれる。

なお、夫は(残念ながら?)別に私より膨大に稼いでいるわけではない。経済力があるから余裕があって言っているわけではない。経済の話じゃなくて、精神の話なんだ。

ただ、ただひたすらに、覚悟が決まっているのだ。

「なんでそんなに覚悟が決まってるの?」と聞いたことがある。「結婚ってそういうものでしょ」と言われた。そうだったんだ……。

結婚を「紙ペラ一枚」と認識していた私とはあまりにも違う。そんな私は常日頃から、「結婚しよ♡」と求婚しまくっていた。いま考えると紙ペラ人間の逆プロポーズをあっさり受けてくれなくてよかったと思っている。私がそんなペラペラした態度をとるたびに、「覚悟が見えねえんだよな……」としぶっていた理由がよく分かる。あなたの覚悟レベルがすごいんだわ。夫として、私が30になるタイミングで「覚悟」を決め、プロポーズしてくれたのだろう。それでよかった。

一方の私は、指輪交換の際の手紙に「私と結婚するメリットなど見当たりませんが」と書いている。う~んまだ見当たらない。ここまで覚悟のキマっている夫に、見合うだけのメリットが。

とりあえず、こんなSSRなパートナーを手放さないように、裏切らないようにだけはしたいと思う。

夫がふと「azumiとは離婚するイメージが湧かないな~」言ってくれた。ずっとイメージが湧かないようにいれたらいいなと思う。そんな、ただののろけ。

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