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スケッチでひとり旅|1|トルコ・ベルガマ、いとしき古民家を描く

気に入った町に、住むように長く滞在したい。
ひとり暮らしに憧れて、22才の春、トルコへ。
今日は、そんな旅のお話し。
当時(1998年)のスケッチもアップしますので、
あわせて愉しんでいただけましたら、うれしいです。

さて、でも、憧れてって言っても、語学もわからんし、
知り合いもおらんし、
留学でも仕事でもない自分。
どうやったら、馴染めるだろう?
と、考えたとき、

「そうだ、絵を描こう♪」←なんて安直な
って、思ったんです。

20才、はじめてトルコを訪れたときに直感で
「ここに住んでみたい!」
と、心に刺さった町、ベルガマへ。
とりあえず、行けばなんとかなる。
大学卒業と同時に、ろくな準備もないまま向かいます。

トルコ西部エーゲ海沿岸の町、ベルガマ


ベルガマは丘の上にある古代ギリシアの遺跡が有名な町なのですが、
その麓に広がる民家が味わい深く、
人の営みのある古い建物が好きなわたしとしては、
遺跡よりも、民家やろ!
で、惚れこんだ町。

丘の上の遺跡に向かう道中にある民家

(約6ヶ月の滞在となるトルコでは大・小2冊のスケッチブックを持って行きました。原画はどこかに仕舞いこんでるようなので、原画をスキャンしてプリントしたものをさらに撮ってアップします。ややこしや)

やれた板壁とか絡む葉とか、あらゆるものが好き。

そんな家々のそばの安宿を拠点に、
スケッチブック片手に、うろうろ。
いま思えば、たんなる不審者です。
観光名所ならともかく、普通の家の前に座って
紙ひろげて、かたまる日本人。

どんどん人が集まって来ちゃって
囲まれちゃって、
前なんか見えないの。
見えないから、なにも描けないし。
よけい、謎。
なにしてるん?て。

それでも、滞在時間が1~2時間と無駄に長かったり、
何日も頻繁に同じ場所に現れるから、まわりも飽きちゃって。

いい具合に、スケッチができる環境が整うようになってきまして。
ありがたいことに。

この扉を描こうとしてるときの人の集まりは大変だった。なにも見えん!

スケッチっていうと「サササッて描く」イメージがあると思うし、
そうなのかもしらんけど、
とにかくわたしのは、遅い。

まず、鉛筆で下書き。
そこから、ペン入れ。
水彩で着色。

錆びた鉄の扉と、鮮やかだけど剥げて塗っての繰り返しの柱のペンキが渋い

はじめは、全然、描けない。
在学中は美大といえど、自分の好きな絵を描くような学科でもなく、
ひたすら、大好きな映画観て、音楽聴いて、ライブ行って、
旅行資金貯めるためにせっせとバイトなんぞしてるわけで。

絵を描いてた記憶がとんとない。
そりゃ、描けないわ。
でも、何枚か描いてるうちに、
なんとなく「こんなかな?」の感触をつかみつつ、
好きなように描けばいいのよ、の割り切りもあって、
旅の大半を「スケッチを描く」が占めていたように思います。

宿のそばにある食料雑貨店

ベルガマは、人の暮らす町の中にも「公園か?」みたいな佇まいで遺跡があったりして独特です。
遺跡なんで周囲を柵で囲ってはあっても、子どもたちは普通に遺跡のある敷地で遊んでるし、
じぶんはじぶんで、受付のおじちゃんから「絵、描くの?ならいいよ」
みたいなノリで、無料で入れてもらってたり。
なんて、自由な。
そんな、トルコがわたしは大好きでした。
(1998年当時のお話しです。いまは、違うと思うけど、変わらん部分は生き残っててほしい、そんな気持ち)

クズルアウルっていう巨大な廃墟のような遺跡。
紅いレンガ色の建造物で、夕陽に照らされる時間は、
より紅みを増して神々しい。
で、ここでキャーキャー子ども遊んでる姿の対比も面白くて。

これは、クズルアウルの建物の中から、遠くを見渡して描いたもの。
丘の上のペルガモン遺跡の一部を一緒に描いてます。
ペルガモン遺跡でも、なにか描いたなあ?
の記憶はおぼろげにあるんだけど、じゃあ、なにを?
正統派・観光名所より、自分で「よい」と感じるモノを描きたい。
そんな、旅だったように思います。

ベルガマで描いたスケッチで一番の思い出は、これ。
ちゃんとタイトルもついてて「黄色い家」っていいます。(まんまやん)

20才、はじめてトルコを訪れた際、
バスで揺られて丘の上の遺跡に向かう途中か、下りてくるときに
「はっっ!!!」と眼に留めたのが、この家だったのかもしれないんです。
で「これは描きたい!」って、そのときも思ったような。

だから、2年後に戻って来たんです、またトルコのベルガマに。
そのくらい愛着のわいた「家」なんです。

この家を描いているとき、ずっとそばにいた男の子がいるんです。
小学校に上がるか上がらんかくらいの幼さなんだけど、
すごく礼儀正しくて、人だかりができて、わたしがオロオロしてると
「どきなさい」とばかりに、周囲を制し
「かきなさい」と、わたしにうながす。

お互いの会話はトルコ語と日本語なんだけど、
なんかわかる。
ものすごい満ちる、大丈夫感。
そんな安心感に包まれて描いていた一枚。

彼を含め、ちょいちょい来ては見守ってくれた子どもたちがいて、そんな彼ら一人一人に、絵の完成時、スケッチの周囲に「サイン」を書いてもらいました。

えー、作品でしょ!?ぼくらが書いちゃっていいの?
な、空気があったけど、それもほほえましくて。
「大丈夫やでー」むしろ、書いてもらいたいんだわー、
の気持ちを伝えて。

そう気持ち。
言葉はたんなる記号。
伝えたければ、ちゃんと気持ちは伝わるねん。
6ヶ月の旅の道中、そればかり身に沁みて。
いま思い返しても、本当に良すぎる旅でした。

スケッチは、まだありますんで、またの機会に。
また、アップしますねー。

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