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Tarkov の9x19mm弾を現実から見る 第1回:近代拳銃弾として生まれた“ちょうどよさ”

Escape from Tarkov には、多くの弾薬が登場します。

5.45x39mm、5.56x45mm、7.62x39mmのようなライフル弾に比べると、9x19mm Parabellum は少し地味に見えるかもしれません。

Tarkov の中では、9x19mm は主に拳銃やSMGで使う弾薬です。
高貫通のライフル弾と比べると、正面から装甲を抜いていく弾というより、近距離での扱いやすさや連射性を活かす弾という印象があります。

しかし現実世界で見ると、9x19mm は非常に重要な弾薬です。

なぜなら、9x19mm Parabellum、あるいは9mm Luger と呼ばれるこの弾は、20世紀以降の拳銃弾の標準の一つになった弾だからです。

このシリーズでは、Tarkov に登場する9x19mm弾を、単なるゲーム内性能ではなく、現実世界の弾薬史や武器の発展と絡めて見ていきたいと思います。

「どの弾が強いのか」だけではなく、
「なぜそのような弾が存在するのか」
「どのような武器や任務と結びついて発展したのか」
という視点で見ていくと、Tarkov の弾薬表はかなり違って見えてきます。

9x19mm はいつ生まれたのか

9x19mm Parabellum は、1901年ごろにオーストリア出身の銃器設計者ゲオルグ・ルガーによって開発された弾薬とされています。

もともとは7.65x21mm Parabellum という弾薬をもとに、より大きな9mm弾として発展したものです。ルガーは、ドイツ軍がより大口径の軍用拳銃を求めたことを受け、最終的にP08ルガー拳銃につながる9x19mm弾を開発したとされています。

名前にはいくつかの呼び方があります。

9x19mm Parabellum。
9mm Luger。
9mm Para。
9mm NATO。

厳密には規格や用途によって呼び方に違いがありますが、Tarkov の中で9x19mmとして扱われている弾薬は、この大きな系統に属するものと考えてよいと思います。

ここで少しだけ規格の話をしておきます。

弾薬には、「この弾はどの寸法で、どの圧力範囲で、安全に使えるものなのか」を定める規格があります。
ヨーロッパには、銃器や弾薬の規格を扱う国際機関として C.I.P. があります。正式には Commission Internationale Permanente pour l'Epreuve des Armes à Feu Portatives といい、日本語にすると「小火器の試験を扱う常設国際委員会」といった意味になります。

ものすごく簡単に言えば、C.I.P. は銃や弾薬の安全性・規格を扱う国際的な機関です。

そのC.I.P.の規格上でも、9mm Luger は 9mm Para や 9mm Parabellum といった名称と結びついて扱われています。

つまり、9x19mm Parabellum、9mm Luger、9mm Para という呼び方は、まったく別々の弾を指しているというより、同じ系統の弾薬を異なる名前で呼んでいるものと見てよさそうです。

Tarkov のアイテム名だけを見ていると、弾薬名はただの記号に見えます。
しかし現実世界では、こうした名称や規格の背後に、製造国、採用された武器、軍や警察での運用、国際的な標準化の歴史が重なっています。

拳銃弾に求められたもの

9x19mm が生まれた時代の軍用拳銃に求められていたのは、ライフルの代わりになることではありません。

主力火器はあくまで小銃です。
拳銃は、将校、砲兵、騎兵、後方要員などが携帯する副武装としての意味が強いものでした。

つまり拳銃弾には、ライフル弾のような遠距離性能よりも、携帯しやすさ、撃ちやすさ、信頼性、そして近距離で最低限相手を止める力が求められます。

ここで9x19mmは、非常に都合のよい位置にいました。

大きすぎない。
弱すぎない。
反動が強すぎない。
拳銃に入れやすい。
弾数も確保しやすい。
後にはSMGにも使いやすい。

このバランスの良さが、9x19mmを単なる一つの拳銃弾ではなく、長く残る標準弾へと押し上げていきます。

Tarkov の中で9x19mmを見ていると、どうしても「ライフル弾より弱い弾」に見えてしまいます。

しかし現実世界の成立過程から見ると、9x19mmは「弱い弾」ではありません。
最初からライフル弾と同じ仕事をするために生まれた弾ではない、というだけです。

“Parabellum”という名前

9x19mm Parabellum という名前も印象的です。

Parabellum は、ラテン語の “Si vis pacem, para bellum” に由来するとされます。
意味としては、「平和を望むなら、戦争に備えよ」という言葉です。

この名前は、ドイツの兵器メーカーDWMの商標とも関係しています。

弾薬の名前に、当時の軍事技術、国家間競争、近代ヨーロッパの空気がそのまま残っているようで、個人的にはかなり面白い部分です。

Tarkov では、弾薬は単なるアイテムとして表示されます。

しかしその名前や規格をたどると、なぜその弾が作られ、なぜ残り、なぜ多くの国で使われるようになったのかという歴史が見えてきます。

9x19mm は「強さ」ではなく「運用」で広がった

9x19mm が長く残った理由は、一発の威力だけでは説明できません。

もっと強力な拳銃弾は他にもあります。
より大きな口径の弾もあります。
貫通力だけを見れば、ライフル弾には当然かないません。

それでも9x19mmは、世界中で使われる標準的な拳銃弾になりました。

理由は、総合的に扱いやすかったからです。

拳銃で扱える。
反動が比較的軽い。
装弾数を確保しやすい。
弾薬を大量生産しやすい。
多くの国やメーカーが対応できる。
後にはSMGにも使える。

つまり9x19mmは、最強の弾だったから広まったのではなく、多くの場面で“使いやすい弾”だったから広まったのだと思います。

この視点は、Tarkov の9x19mmを理解する上でもかなり重要です。

Tarkov では、弾薬表を見るとどうしても「貫通力が高いか」「ダメージが高いか」という見方になります。

もちろんゲームとしては、それも大事です。
しかし現実世界から見ると、9x19mm の価値は「単純な強さ」ではなく、拳銃やSMGという武器と組み合わせたときの扱いやすさにあります。

Tarkov で9x19mmが弱く見える理由

Tarkov で9x19mmを使うと、ライフル弾と比べて頼りなく感じることがあります。

特に装甲を着た相手に正面から撃ち合うと、5.56mmや7.62mmのようなライフル弾との違いを強く感じます。

しかし、それは9x19mmが無意味な弾だからではありません。

9x19mmは、そもそも正面からあらゆる装甲を抜くための弾ではないからです。

近距離で使う。
扱いやすい武器で使う。
反動の軽さを活かす。
連射性を活かす。
弾数を活かす。
必要なら狙う部位を変える。

このように、9x19mmは「威力で押す弾」ではなく、「運用で活かす弾」と見た方が分かりやすいと思います。

現実世界で9x19mmが残ってきた理由も、まさにそこにあります。

一発の威力だけで評価すれば、もっと強い弾はあります。
しかし、撃ちやすさ、携行性、装弾数、武器との相性、補給や生産のしやすさまで含めると、9x19mmは非常に優れたバランスを持っていました。

拳銃だけで終わらなかった弾

そして9x19mmの面白いところは、拳銃弾として生まれながら、拳銃だけで終わらなかったことです。

9x19mmは、後にSMG、つまり短機関銃でも広く使われるようになります。

これは非常に重要です。

拳銃で撃つ場合、9x19mmは副武装の弾です。
しかしSMGで撃つ場合、同じ9x19mmが近距離で連射するための弾になります。

同じ弾でも、使う武器が変わると意味が変わる。

ここが、9x19mmという弾を理解する上でとても面白いところです。

たとえばFN Herstalのような現代の銃器メーカーも、9x19mm NATO弾薬について、9mm自動拳銃と9mm短機関銃の両方で使われる弾薬として説明しています。

つまり9x19mmは、現実世界でも拳銃とSMGをつなぐ弾薬として扱われてきたわけです。

第1回のまとめ

9x19mm Parabellum は、圧倒的な威力を持つ弾として生まれたわけではありません。

むしろその強さは、バランスにありました。

拳銃で扱える大きさ。
強すぎない反動。
近距離で必要な威力。
装弾数の確保。
生産と補給のしやすさ。
そして、後にSMGにも広がっていく柔軟性。

この“ちょうどよさ”が、9x19mmを世界的な標準弾へと押し上げていきました。

Tarkov の中で9x19mmを見る時も、単に「強いか弱いか」だけで見ると、この弾の意味は少し見えにくくなります。

9x19mmは、ライフル弾のようにすべてを貫く弾ではありません。
しかし、近距離で扱いやすい武器に入れ、反動の軽さや連射性を活かすことで意味を持つ弾です。

次回は、この9x19mmが拳銃だけでなく、なぜSMGにも広がっていったのかを見ていきたいと思います。

拳銃弾を連射するという発想は、どのように生まれたのか。
そしてSMGの登場によって、9x19mmという弾の意味はどのように変わったのか。

Tarkov の9x19mm SMGを考える上でも、ここはかなり重要な部分になりそうです。

第2回はこちら:公開前の場合があります。


※ この連作で書いている内容の背景や、実際のプレイ中に何を考えているかについては、Twitch でほぼ毎日行っている配信 でも触れています。
文章だけでは伝わりにくい部分も、配信を見ると少し雰囲気がつかみやすいかもしれません。
なお、過去の配信アーカイブは YouTube チャンネルにも残しています ので、興味があればそちらも覗いてみてください。
▶ 配信はこちら: B.K. Gaming チャンネル
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