Vol.17 【引っ越し編】プラントエンジニアの完全敗北。戦略ゼロの「移住」ドキュメンタリー
「ママ! 俺たちにはもう時間がない! 考えるな、とにかく箱に詰めるんだ!」
「私もうだめ、倒れそう……限界……」
「くそー、トラックが来るまであと2時間しかない! こうなったら、全部放り込むしかない!」
こんにちは、ビーヅクリです。
これまで、このブログで「メンパ(メンタルパフォーマンス)の最適化」だの、「目的からの逆算」だのと、いかにも仕事ができるプラントエンジニア風に、偉そうに戦略を語ってきた私ですが……。
今回は、そのメッキが全て剥がれ落ちます。 戦略的とは遥かに遠い、我が家の「泥縄式・引越し地獄」の記録です。
いやー、引越しってもう地獄ですね(笑)。
もう一生、2度とやりたくないです。
新居の引き渡しから引越しまで、丸々1ヶ月の猶予があったんですよ?
そもそも、家を建てて引越すことなんて1年半も前から分かっていたんですよ? それなのに、なぜ人間という生き物は、ここまで事前準備ができないのでしょうか。
「まだあと1ヶ月あるし、週末ごとにやれば余裕でしょ」
「あと2週間……まあ、俺プロジェクトマネージャーだし、段取り組めば一瞬で終わるさ」
「あと1週間……ヤバいけど、まあ有休取ればいけるか」
「あと3日……徹夜すればなんとかなるっしょ!」
こんな「夏休みの宿題を8月31日に泣きながらやる小学生」みたいな精神状態で、引越し当日を迎えました。今回は、ただの嘆きの記事になるかもしれません。私の完全敗北の記録を、どうか笑ってやってください。
■ 49㎡の部屋に潜む、物理法則を無視した「モノ」の量
改めて、我が家の状況をお話しします。 私と妻、そしてこの春に小学2年生になる娘の、計3人家族。 つい先日まで住んでいたのは、都内にある「49㎡の2DK」の賃貸アパートです。
皆さんは引越しの時、どれくらいの荷物がありましたか?
我が家の結果発表です。
引越し用ダンボール:80箱
捨てたゴミ袋(45L):30袋以上
さらに、事前に廃棄した大量の粗大ゴミたち。
「とにかく新居にゴミは持ち込まない! 整理整頓して、いらないものは全て捨ててから身軽に行こう!」夫婦でそう固く誓い合っていたはずなのに、最後は完全に時間切れでした。
あの狭いアパートの、一体どこにこんな質量が隠されていたのでしょうか?押入れの奥から出てくる、絶対に一生使わない謎のケーブル類の束。
いつか着るだろうと取っておいた服。
娘の思い出の品々や幼稚園で作った芸術作品?の数々。
まるで四次元ポケットから無限に湧き出てくる物質を前に、私のロジックは崩壊しました。
足の踏み場もなくなり、天井まで届きそうなダンボールの壁に囲まれた部屋は、まさにメンパ(心の余裕)最悪の空間。タイムリミットが迫る中、目を血走らせながら、要るか要らないかの判断を放棄して手当たり次第に箱に突っ込む夫婦の姿は、とても読者の皆様には見せられません。
■ 唯一の救い:エンジニアの「事前仕込み」
そんな戦略ゼロで自滅した我が家でしたが、1つだけ、過去の自分を強く抱きしめて褒めてやりたい「戦略的ファインプレー」がありました。
それは、引き渡し(2月末)から引越し(3月末)までの「1ヶ月の空白期間」をフル活用したことです。
これからBESSの家を建てる方に、絶対に誤解してほしくない事実があります。 BESSの家には、「収納」があるようでないんです。
正確に言うと、「収納スペース(空間)」はたっぷりあります。 しかし、一般的なマンションのように「最初から棚板やハンガーパイプ、引き出しが綺麗にセットされたシステムクローゼット」はありません。 そこにあるのは、ただの「無垢の木で囲まれた、がらんどうの空間」です。
ここに気付いていた私は、引越し前の1ヶ月間で、週末を利用して以下のミッションを密かに遂行していました。
1. 収納の「骨組み」の先行構築
新しく購入する家具やメタルラックを、引越しのトラックが来る前に新居へ搬入し、収納の「受け皿」を完成させておきました。メタルラックは、見せる収納用と、裏に隠すガチ収納用の2種類を戦略的に配置しました。
2. カップボード(食器棚)の自力組み立て
キッチンの背面収納としてリクシルのカップボードを購入したのですが、コストダウンのために「本体のみ」を購入し、組み立てと壁への固定は全て私がやりました。 「プラントの図面引いてる俺なら、家具の組み立てなんて一瞬でしょ」と舐めてかかっていたら、これが想像以上に難易度が高く、めちゃくちゃ苦労しました……(この格闘の記録は、また別の機会で紹介させてください)。
3. 造作本棚への「紙媒体」の先行移送
以前の記事(Vol.11)で熱く語った「寝室の巨大な造作本棚」。あそこに、狂気的な量のかさばる本類や書類だけを、車で何度かピストン輸送し、先に収納してしまいました。あの狭い部屋で段ボール地獄になることはわかっていたので少しでもスペースを確保しようと思いました。
この「事前の受け皿づくり」がなかったらと思うと……本気でゾッとします。 引越し当日に、あの80箱のダンボールが到着しても、しまうための「棚」がなければ、新居のワンダーデバイスも即座にただの巨大なダンボール倉庫と化していたでしょう。
BESSの家に引越される方は、「新規で購入する家具家電の搬入と、収納棚の構築は、絶対に引越しの前に済ませておく」ことを、血の涙を流しながら強くお勧めします!
■ 「移住」という名の、見えないタスクの山
そして、今回はただの引越しではありません。都内から、つくば方面への「移住」です。 物理的な荷物を運ぶだけならトラックに任せればいいのですが、それ以外に「見えないタスク」が山のように降ってきました。
まず、娘の転校(新入学)手続き。 都内のアパートでは、幸いにも娘はたくさんの友達に恵まれました。連日のようにお別れ会を開いていただき、親としては本当に嬉しい悲鳴でしたが、その裏でスケジュール管理は完全にカオス状態に。娘の心のケアとご近所への挨拶は妻に任せ、私は家のことに専念するという役割分担で乗り切りました。
次に、「車」の購入。 都内の駅近賃貸では全く不要だった車も、つくば方面での生活では必須のインフラです。車探しからディーラーとの契約、納車手配、保険、そして地味に面倒な車庫証明の手続き。
さらに、行政の手続きラッシュ。 役所での転出・転入届、マイナンバーカードの書き換え、住民票の移動。
極め付けは、時期がモロに被った「確定申告」と「会社への手続き」。 住宅ローン減税の準備、会社への住所変更や新しい通勤経路の申請、そして家の登記手続きや銀行でのローンの最終決済……。
これらを全て、プラントエンジニアとしての激務の「本業」をこなし、日本中を飛び回りながら、並行処理しなければなりませんでした。 「事前準備って大事だな……」と痛感しつつも、初めての家づくり、初めての移住なのだから、何が起こるか分からないのは当然といえば当然です。
いやーほんと、世の中の先輩方は、一体どうやってこの「引越しと移住のコンボ」を乗り切っているのでしょうか。 私のキャパシティが異常に狭いだけなのか、タスク管理能力が欠如しているのかと、深夜のダンボールの山の中で何度も心が折れそうになりました。いや、折れてました笑
■ そして、最高の無駄を楽しむ新生活へ
そんな、寿命が縮むような地獄の数週間を経て。
まだ引越してきてから数日しか経っていませんが、ダンボールの山が残るリビングの真ん中で、ふと深呼吸をした時。
「あぁ……BESSの家って、本当に素晴らしいな」
「めっちゃ良い家ができたな…(自画自賛)」
細胞の隅々まで染み渡るような、木の香り。 自分が何ヶ月も悩み抜き、窓を削り、土間を広げ、ロジックと感性をぶつけ合って建てた家。 その空間に、今、自分たち家族が立っている。
なんとも言えない熱い感情が込み上げてきて、これからの生活を想像するだけでワクワクが止まりません。
あそこの壁に棚もたくさん作りたいし、DIYで机も作りたい! 暖かくなってきたから、広いウッドデッキで早くBBQもしたい!
メンパが最高に高いこの家で、最高の無駄を楽しむ。 これ以上の贅沢は、きっとこの世にありません。
引越しは本当に地獄でしたが、今こうしてBESSの家で朝を迎えられることの幸せを、毎分毎秒、噛み締めています。 娘も、新しい環境が楽しいからか、毎日やたらと早起きして私を叩き起こし、「朝練」という名の近所の散歩に駆り出される日々です(笑)。
……でも、あのダンボール詰めの日々は、もう一生、2度と過ごしたくありません!!
これから引越しを控えている皆様。 どうか、どうか1日でも早くダンボールに手を付けてください。 そして、「いつか使うかも」という幻想を捨てて、1秒でも早くいらないものを選別して捨ててください。 私からの、切なる、切なる願いです。
あなたの引越しの「地獄エピソード」や「やっておいてよかった事(やらかした事)」があれば、ぜひコメント欄で教えてください! ここで傷を舐め合いましょう。
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次回になるかどうかはわかりませんが、私が新居に向けてひたすら買い集めていた「メンパ爆上げグッズ(設備・アイテム)」の実録レビューもお届けしたいと思っています。 新生活編も、引き続きお楽しみに!
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