Vol.15 【人生戦略】モノづくりの原点にして頂点、「日産GT-R」開発責任者・水野和敏に学ぶ非常識な本質論
あの日の衝撃を、私は一生忘れないでしょう。
エアコンの効いた会議室。 配られた資料。 壇上に現れた、一人の男。
その男が口を開いた瞬間、私のモノづくりエンジニアとしての「常識」は、音を立てて崩れ去りました。
こんにちは、ビーヅクリです。
前回は、BESS創業者・二木浩三氏の「市場ではなく人間を見る」という哲学についてお話ししました。 ですが、私という人間の「モノづくり魂」を形作った人物は、もう一人います。
今回は、私の人生の根幹を叩き直し、私のモノづくりの、そして今の「ビーヅクリ流・家づくり」の原点となった、伝説の男について語らせてください。
常識を疑い、本質を見極め、世界中の自動車業界を震撼させたレジェンド。 元日産GT-R開発総責任者、水野和敏氏です。
「え、家づくりブログで車の話?」 そう思うかもしれません。
でも、聞いてください。 「家づくりも、車づくりも、そして人生づくりも、本質は全く同じ」なんです。
インスタで流行りの設備を入れる。
みんなが良いと言っているから選ぶ。
資産価値や偏差値の高い家を目指す。
そんな「世間のモノサシ」で家を建てて、本当に楽しいですか?
大事なのは、自分を見つめ、家族を見つめ、暮らしの本質を見つめること。 カタログのスペック表ではなく、あなた自身の感性の奥深くに潜ること。
今日は、私がなぜ「窓を捨て」「エアコンを吹き抜けの上空に設置」ような変態的な家づくりに至ったのか。 その思考の源流にある、熱いドラマにお付き合いください。
■ 20代の生意気なエンジニアが、言葉を失った日
水野氏との出会いは、私がまだ20代の頃。 会社の研修で、彼の講演を聞く機会がありました。
当時の私は若く、知識もなく、そのくせ生意気でした。
「なんだ、この偉そうなおっちゃんは?」
最初は、そんな失礼なことしか思っていませんでした。
腕を組んで、斜に構えていたと思います。
しかし、彼が語り始めた途端。 私はその圧倒的な熱量と、狂気じみた論理に引き込まれ、金縛りにあったように動けなくなりました。
メモを取る手すら止まりました。
彼が語ったのは、これまでの自動車業界の常識を、ハンマーで叩き割るようなストーリーだったからです。
「君たちは、スペックのためにモノを作っているのか?」
彼は問いかけました。
当時のスポーツカー開発の常識は、「軽量化」でした。軽くすれば速くなる。軽くすれば燃費が良くなる。それが常識でした。
しかし、水野氏は違いました。
「GT-Rは、速く走るために重くした」と言うのです。
会場がざわつきました。 彼は続けました。
「軽い車は、路面を掴む力が弱い。 私は、タイヤを路面に押し付けるために、あえて車体を重くした。 そうすることで、雪道でも雨の日でも、誰が運転しても安心して走れる『絶対的な信頼』を作ったんだ」
そして、こう言いました。
「ポルシェは時速350kmで世界最速を目指した。だがGT-Rは、時速300kmで走りながら、助手席の恋人と楽しく会話ができる車を目指した」
(※当時の記憶なので数字が間違えていたらごめんなさい)
……頭を殴られたような感覚でした。
速さ(スペック)ではない。 その先にある「人間(家族)がどう感じるか」。 そこから逆算して、物理法則(エンジニアリング)を組み立てる。
他にも、
「人・モノ・金・時間は半分。だからこそ、知恵を出して世界一を獲った」 「チームに優秀なエリートはいらない。欲しいのは、雑草魂を持ったはみ出し者だ」
彼の言葉の一つ一つが、私のエンジニアとしての未熟なプライドを粉砕し、同時に、心の奥底にある種火に、油を注ぎ込みました。
「カタログスペック(数値)を作るな。ドラマ(感動)を作れ」
その言葉は、あの日以来、私の魂に深く刻印されています。 その夜、私は水野氏の著書を買い、朝まで読み散らかしました。
「俺は、何のためにエンジニアになったんだ?」と、自問自答しながら。
そしてワクワクしながらエンジニアとしての見える景色が一変した気がしたんです。
■ 「本質」とは、顧客の喜びから逆算すること
水野氏の哲学の根底にあるもの。 それは、徹底的な「目的合理性」です。
「数値」や「効率」はあくまで手段に過ぎない。 真の目的は、ユーザー(人間)が何を感じ、どう喜ぶか。 そこから逆算して、ロジックを組み立てる。
例えば、エンジンの話。 世間の常識では、「3気筒エンジンは安物で振動が多い」とされています。 しかし、水野氏は言います。 「1気筒あたりの容量を最適化すれば、熱効率が上がり、街乗りで最も力強く走れる。だから3気筒がベストだ」
世間の評判や前例に流されず、 「お客様にとって本当に価値あるものは何か?」 「ユーザーの人生をどう豊かにするか?」 その一点だけを見つめ、一切の妥協をせずに考え抜く。
これが、私が学んだ「真のエンジニアリング」です。
今、私が仕事で生産性や効率性を追求するのも、すべてはお客様の喜びのため。 そして、この家づくりで「窓をなくす」「エアコンを吹き抜け上空に設置」といった、一見すると奇行にも見える決断をしたのも、すべては「家族の笑顔(メンパ)」のためです。
世間一般で「良い」とされる常識を疑い、 「私の家族にとって、本当に必要な機能は何か?」 を突き詰めた結果なのです。
■ 家づくりも、GT-Rづくりも同じだ
家づくりにおいて、最終ユーザーは誰でしょうか?
融資をしてくれる銀行員ですか?
リセールバリューを査定する不動産屋ですか?
「いいね」をくれるInstagramのフォロワーですか?
違いますよね。 「自分」であり、「家族」であり、「未来の暮らし」です。
水野氏の教えを、家づくりに翻訳してみましょう。
1. 「良い家」の定義は、偏差値で決まるのか?
断熱性能(UA値)や耐震等級。もちろん大切です。 でも、数値が高いだけの家が、最高の家でしょうか? ポルシェより速い車を作ることだけが正解ではないように、数値競争の先にある「家族が帰りたくなる空気感」こそが全てではないでしょうか。
2. 「重さ(不便)」は悪なのか?
水野氏は、車の「重さ」を「タイヤを押し付ける力(トラクション)」に変えました。 では、BESSの家の「不便さ」はどうでしょう? 隙間風がある。木が割れる。毎年塗装が必要。火災保険もやたら高い。 カタログスペックで見れば、欠点だらけの「重い家」です。
でも、私はこう考えます。 その「手間(メンテナンス)」こそが、家族の思い出を地面に押し付け、愛着という名のトラクションを生むのではないか、と。
スイッチ一つで快適になる家も素晴らしい。 でも、手間をかけて、家族で薪を割り、壁を塗り、家を育てていく。 その「負荷」があるからこそ、私たちは「生きている実感」を得られるのではないでしょうか。
BESSの家には、数値では測れない「心地よさ」「ワクワク感」、そして「野性」が詰まっています。 私がBESSを選んだ理由。 それは、水野氏が目指した「数値を超えた感動」が、この家にはあると確信したからです。
■ 読者の皆様へ:自分のハンドルを握れ
水野氏の生き様は、私にこう語りかけているように聞こえました。
「お前の人生のハンドルを、他人に握らせるな」
家づくりは、人生最大のプロジェクトです。 数千万円という借金を背負い、数十年という時間を過ごす場所を作る。 そんな一大プロジェクトのハンドルを、「世間の常識」や「営業マンの言いなり」に預けていいはずがありません。
一生懸命、考えるんです。 自分自身を見つめ、家族を見つめ、 「私たちは、どんな瞬間に幸せを感じるのか?」 その問いから逃げずに、脳みそがちぎれるほど考え抜く。
その苦悩と決断の先にしか、「Best Answer(納得のいく家)」はありません。
「こんな家、変だよ」と笑われるかもしれません。 「資産価値が下がるよ」と脅されるかもしれません。結局は、全て自己満です笑。
でも、その先にはきっと、家族の笑顔があります。 そして、その笑顔を見たあなたが、一番嬉しいはずなんです。
だって、世界で一番幸せなのはサンタさんですから。 プレゼントをもらう子供よりも、 「どうやったら喜ぶかな?」と必死に考え、プレゼントを渡して、その笑顔を見たサンタさんの方が、絶対に幸せなはずですから。
私がそう思うように、 あなたも、あなただけの「GT-R(最高の家)」を創り上げてください。 常識というガードレールを突き破って、その先にある景色を、家族と一緒に見に行きませんか。
【最後に】
今回の記事は、少し熱くなりすぎたかもしれません(笑)。 でも、テクニックやノウハウ以前に、この「マインドセット」こそが、後悔しない家づくりの土台だと信じています。
間違えたって良いんです。『これからどうするか』を考え前向きに行動すれば良いんです。結局、人生はそれしかないんです。
あなたの家づくりの「譲れないこだわり(本質)」は何ですか? 「変だと言われても、これだけは譲れない!」というポイントはありますか? ぜひコメント欄で教えてください。
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今回は私の「エンジニアとしての原点」に触れさせていただきました。モノづくりの考え方や価値観を少しお伝えできたかと思います。
私には夢(他のB創り)があります。 でもまだまだ準備段階です。それは時が来たら、全力で語らせていただきます!
次回もお楽しみに!

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