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「アンダー・ザ・メルヘン」1

あらすじ
 「裏」に住むトラグスはある日、変な女と出会う。面白がって関わった結果、恐ろしい事態に巻き込まれていく。

 その1  プロローグ
 BY トラグス

 俺に向かって銃が放たれた。放たれたでいいのかな。まあいいや。弾が真っ直ぐ俺に向かって飛んで来る。スローモーションだ。
 ああ、前にこんな映画観たなあ。え?ああ、いや違う。本家のやつじゃない。パクリのやつだ。そう、映画ファンなら誰もが軽蔑する、いわゆるクソ映画ってやつだ。そういうの、一度や二度は観た事あるだろ?
 でも、俺にはこっちの方が合っている気がする。何故って、色んな意味で駄目人間の俺に似ているからなのかもしれない。
 そんな謙遜を、と思うかもしれないが、このまま俺の話を聞いてくれればその事がよく分かると思う。
 話が飛んで申し訳ないが、・・・いや、悪いがこれから先、何度も話は飛ぶ。

 人間の脳というのは思ったよりもずっとすごいらしい。まあ、俺のはあんまり良く働いちゃくれなかったが。今の状況を考えればその事がよく分か・・あ、さっき言ったな。え、言ってない?ああ、まあ今はんな事どうでもいいや。

 人は寝ている時、冷たい物に触れると、それまでのストーリーを瞬時に作り上げて冷たい物に触れる夢を見るんだそうだ。
 人間は普段20パーセントも自分の脳を使ってない。だからその他の80パーセントの部分でそんなすごい事をやってのけるんだろう。

 目の前に迫ってくる銃弾によって、俺の脳の80パーセントが触発されたのか知らないが、俺は今まさにこの瞬間、何でこんな事になってしまったのか、その全てが思い起こされた。
 死ぬ前ってこんな感じなのかなあ。走馬灯ってやつだな。
 改めて見せられると、俺の人生最悪だな、本当に。

 それはいいが、ここどこだったっけ。ああ、廃倉庫だ。後ろにも目があるんじゃないかって位、色んな物がよく見える。


   

 その2 マイライフ アズ ア ラビット
        BY トラグス


 ある日の事だ。俺は偶然ここのサイトにアクセスしてしまった。ここの・・・って分かる訳ないか。まあそれは後で言うから。
ともかくだ。んん・・・、まあ、それに関して言うと、偶然っていうか、必然っていうか、意図的って言うか、その当時は少しだけヤバイ仕事もしてたから。仕事。いい言葉だよな。これを出した途端に大義名分という自己防衛本能が働く訳だから。
でも当たり前だけど、今の方がヤバいのかな。まあそんなこんなで、俺は色んな所から色んな情報を頂戴していた。情報だよ。幾分金になる類のやつ。さらに時々堅い事言う奴が出てきてやめなさいって言うやつ。
 そんな頃だ。それはふと見つけたサイトの残骸だった。何故か気になったんだよな。あるだろ?そういうの。
どこでも見た事あるんだけど、どこでも見た事ないような。かなり特殊な感じがした。匂いだ。普通の人が見たらただのエラーにしか見えないんだろうけど、その中に暗号があった。俺にはお手の物だ。パズルみたいなもんだな。まあ、結構手こずったけど。
 こういうのは知識があってもなかなか解けないんだけど、時々解いてしまう人もいる。ここでいい気になっても駄目だ。裏の人間と接触すると二度と覗こうなんて気もなくなるから。
 そりゃそうだろうな。本当に怖いから。だって裏で生きる事になったのは俺の他にも何人かぐらいしかいないって事だ。あ、これ格好つけの自慢じゃないよ。ただおかしいだけだから。え?何がって、頭がだよ。言わせんなよ。
 すごい暗号が解けたんだから、頭がいいと思う人もいるだろうが、(前言った?)そうでもない。ただこういうのが好きなだけだ。好きこそものの・・・ってやつだな。
 忘れるんだよな。出会いの元になってるものが何なのかって事。そこに着いた時はもう決まったようなもんだった。
 そこの匂いで分かった。
 ここは俺のいる場所だ。
「ここ」に関しての補足。俺の定義じゃそこは部屋じゃない・・呼べない・・んだけど(訳のわからない言い方で奴らは部屋って言ってたけど)、一応ね、便宜的に言う意味での「部屋」に通されたって訳。だって聞いても答えてくんねえんだもんよ。
 腐臭だ。壊れた人間特有の。
ドアの鍵穴から匂ってくるみたいな。その生臭さがもう何とも堪らなかった。ああ、答えてくれなかったのは、「ここはどこだ」じゃなくて「これ何だ」っていう聞き方が分からなかったのかな。

 事の始まりっていうとそんな感じかな。
というか走馬灯が多すぎて何から話したらいいのか分からないな。
 ああそうか。話を始めるとしたら、それよりも俺の事を話さないといけないか。言っとくけど、今までの言葉は全部俺のだから。
 
 俺には、いや、「裏」に住む人間には誰でもなんだが、皆それぞれコードネームというものがある。
 コードネーム。かっこいい感じで言ってはいるが、そんないいもんじゃない。馬鹿げてるだろ?俺もそう思った。
言っちまえばガキの遊びか中二病ってところだ。ごっこみたいな。何せ壊れた人間につけられる記号の様なものだから。
 でも最近になって考えてみるとよく分かる。これは俺たちには合ってる。まあ、野良犬に勝手に名前をつけるみたいな感じだな。

 俺はもしかしたら世間的にはもう死んでるかもしれない。知った事じゃないけど。まあ、そうじゃないにしても「表」には俺の居場所は今の所ないだろう。んん、まあ、あまり気にしないでくれ。とりあえずだから。
 ああ忘れてた。俺のコードネームはトラグスだ。
 最初はうさぎだったんだよな。これは、何でも俺の顔がうさぎに似ているからだそうだ。まあそれでもいいんだけど、なんだかそのまますぎて俺が勝手に変えた。
 この名前、俺のお気に入りのやつの学術名か何かから頂戴した。

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