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世界遺産ミルフォードサウンドで働いて暮らした7ヶ月間

どうも旅するばななです!

今回は2025年10月〜翌年の4月まで働いていたニュージーランドの秘境、世界遺産ミルフォードサウンドについての記事になります。

私は年間200日雨が降ると言われるミルフォードサウンドで7ヶ月間クルーズ船のクルーとして働いていました。


ミルフォードサウンドってどんな場所?

ミルフォードサウンドはニュージーランド最大の国立公園、フィヨルドランド国立公園にある世界遺産のフィヨルドです。

フィヨルドというのは太古の昔に氷河によって削られたU字谷に海水が入り込んでできた地形のこと。海からほぼ垂直に切り立つ巨大な岩壁が特徴です。

ここは年間200日雨が降ると言われる世界でも有数の多雨地帯。そしてこの雨こそがミルフォードサウンド最大の魅力です。

大雨の日には普段は巨大な岩壁だった場所から無数の滝が一斉に出現します。

午前中のクルーズでは存在しなかった滝が午後には山全体に流れ始める。そんな異世界みたいな光景を、私は7ヶ月間毎日のように見ていました。

SNSではよく『晴れの日に来れてラッキー!』という投稿をよく見かけますが、個人的にはミルフォードは晴れの日に来る場所ではなく、雨の日にこそ来る場所だと思っています。

ミルフォードサウンドの本当の凄さは大雨の日にこそ分かります。

さらに面白いのが水の構造。

雨量が多すぎるせいで海水の上に数メートルの淡水層ができ、普通は深海でしか見られないブラックコーラル等が比較的浅い場所でも観察できる場所としても知られています。

フィヨルドの一番深いところはなんと水深300メートルにも及ぶそう😳

また、テアナウからミルフォードへ続くハイウェイも道も絶景そのもの。

ミラーレイクやホーマートンネルなど、氷河によってできた地形のスケールを感じながらのドライブは圧巻です。

コンディションが良い時だけに見られる
完璧なリフレクション

なぜミルフォードで働くことになったか

元々は国立公園で日本語を生かした仕事がしたいという夢がありました。

第一志望はマウントクックの老舗ホテルでしたが、『他にどんな国立公園があるんだろう』と調べていくうちに出会ったのが、ミルフォードサウンドのあるフィヨルドランド国立公園でした。

それからはGoogleマップで国立公園内にある宿泊施設やアクティビティ施設を片っ端から調べ、その中で私が興味のある会社を1件ずつチェック。各社のホームページから求人を探す、という超アナログな方法で情報収集を進めました。私が働いていた会社の求人を見つけたのは、掲載が始まってから約10日後のことでした。これまでの経験上、求人掲載から時間が経つと面接のチャンスが激減する印象だったので、今回は可能性低そうだな〜と思いつつも一応求人に応募。ガイド職、クルー、ゲストサービス等、自分の興味のあるポジション全てに応募しました。

同じ時期にマウントクックのホテルにもゲストサービス職の募集があったので応募、1週間で3件の電話面接をこなし、結果的に最も早く内定をいただいたミルフォードサウンドの会社でクルーズ船内でクルーとして働くことに決まりました。

ニュージーランドの仕事探しについてはこちらの記事をご覧ください!

クルーの仕事

私が働いていたクルーズ船内の主な仕事はこんな感じでした。

・船内の清掃
・お弁当やピクニックボックスの準備
・カフェ、ビュッフェでの接客
・キッチン補助(洗い物や野菜の下処理)
・着岸時のロープ作業等のサポート

働く船によりますが、1日に2〜3回クルーズがあり、基本的にその運行に合わせてカフェやビュッフェでの接客が主な仕事でした。

勤務時間は大体7:30〜16:00で、お昼休憩30分を挟んだ毎日8時間の安定したシフト。

仕事が始まってすぐは船の仕組みや緊急時対応(火災訓練・救助方法など)の研修が大量にあり、専門用語も多くて脳みそがパンクしそうな毎日でした。

週に1、2回はギャリーハンドと呼ばれるキッチンハンドとしてシフトが組まれ、数百個のブロッコリーやにんじん、玉ねぎの下処理や大量の洗い物を担当します。夏のピーク時はサンドイッチとお弁当を200個ずつ作ることもあり、まさに工場のような忙しさでした。

OBENTOと呼ばれてるのにびっくり!
数百個のブロッコリーを無心で切り続ける

ある1日のスケジュール

クルーとして働いた日のある日のスケジュールを紹介します。

7:30-9:00      予約分のお弁当作り
9:00-10:00    清掃、カフェの準備、備品補充
10:00-10:30  お昼休憩
10:30-11:00  乗船準備
11:00-12:40  クルーズ①
12:30-13:15  乗船準備
13:15-14:55  クルーズ②
14:55-16:00 片づけ、清掃、翌日の準備

毎日のクルーズ時間に合わせて働くので早上がりや残業がなく、祝日も必ず仕事があって給料も安定していました。

忙しさは働くクルーズ船や日によって違いますが、観光客の人数や国籍によってかなり変わるのも特徴でした。(アジア人のツアー客が乗るクルーズ船は戦場)

ロースターは10日連続勤務+4連休というサイクルで、半年先までシフトが確定していたので先の予定が立てやすかったのもお気に入りポイントでした。

ミルフォードサウンドでの生活の凄さ

ミルフォードにはスタッフだけが住める居住エリアがあり、ピーク時で約300人ほどのスタッフが生活しています。

ミルフォードサウンドで働くスタッフ全員が同じエリアに住み、同じ環境で働いています。ちなみに村で使われる電気はボウエンフォールという滝を利用して発電されており、飲料水も同じ水源から供給されるというとてもサステナブルな暮らしでした👀

ミルフォード村の入り口

①豊かな自然
まるでジュラシックパークの世界。仕事中は氷河が削った巨大な岩壁を流れ落ちる無数の滝を眺めながら働き、時にはイルカやオットセイ、時期によっては野生のペンギンが現れます。

家の周りでもkea、weka、ruru(フクロウ)、blue duck、kiwiなどニュージーランド固有の野生動物を見かけることがあり、夜にはGlowworm(土ボタル)が光っていました。

コンディションが良い日は空一面に満点の星が広がり、時にはオーロラが出現することも👀

しかもほとんどの観光客が日帰りでやってくるので、夜には観光客で溢れていたミルフォードサウンドから人が一斉に消え、嘘のように静まり返ります。

聞こえてくるのは雨音や野生動物の鳴き声だけ。観光客が帰った後の静けさとのギャップも印象的でした。

②強すぎる福利厚生
ミルフォードサウンドは最寄りのスーパーやガソリンスタンドまで車で片道約2時間かかる場所にあります。

ストームや雪崩の影響で唯一外と繋がる道路が寸断され、一時的に孤立することもあるまさに秘境です。

実際に私が働き始めた10月には、土砂崩れと雪崩のリスクにより道路が5日間封鎖され、クルーズに来ていたお客さんが数日間ミルフォードに缶詰になるという事態も起こりました。

ここに引っ越してくる前までは秘境=不便だと思っていましたが、実際に待っていたのは想像以上に快適な生活でした。

・食料事情
レントはオウンルームで週だったの120ドル(光熱費込み)。

さらに、会社が持つ食糧庫ターリスから、好きな食材をいつでも好きな時に無料で持って行けるという神システムで食料の供給がされていました。

肉、新鮮な野菜や果物、米、麺類、乳製品、調味料、缶詰、各種調味料、冷凍食品まで本当に何でも揃っていて、もはや田舎のスーパー並みの品揃えでした。

数日分の献立を考えながら買い物をする必要がなく、その日の気分で好きなものを自由に作ることができたのが、私のお気に入りポイントでした。

普段使わない食材や買ったことのない調味料も多く、お試し感覚で色々試すうちに料理の幅がどんどん広がっていきました。

しかもアジア系の食材まで充実していて、そば、うどん、お好み焼きソース、海苔、わさび、醤油、海苔、ネギ、大根、豆腐 等、本当になんでも揃っていました。

正直、こんな秘境で日本でも馴染みのある食材に囲まれて生活できると思ってなかったし、何でも揃っていて本当にありがたいなあと思う毎日でした。

なかなかの品揃え

唯一置かれていなかったのが海鮮でしたが、釣り好きの船長がよく採れたての新鮮な海鮮をお裾分けしてくれていました。

定期的に新鮮な刺身やクレイフィッシュ(伊勢海老)を持ってきてくれたので、手巻き寿司とクレイフィッシュの殻で味噌汁を作って日本を懐かしむことも。

また、無料で食材を自由に使える環境だったこともあり、シェアメイト同士で料理を振る舞い合う文化もありました。

中国人が作る本格中華料理、マレーシア・シンガポール人が作るラクサ、イタリア人が作るピザ等、秘境なのになぜか世界各国の本格料理が集まる不思議な環境でした。

・破格で使える会社のアクティビティ
会社とミルフォードサウンドのコミュニティのおかげで、ミルフォードにあるアクティビティは全て無料で参加できたし、他の都市のアクティビティにも破格の値段で参加できたので、休みの日もそれ程お金を使わずに遊ぶことができました。

無料で利用できたミルフォードサウンドでのアクティビティの例
・プレミアムクルーズ(389ドル)
・オーバーナイトクルーズ(689ドル)
・カヤックツアー(215ドル)
→ガイドにお礼としてビールを数本持って行く物々交換システム
・ミルフォード⇆クイーンズタウン間のフライト(749ドル)
→片道につきビール1箱をパイロットに献上する物々交換システム。パイロットによっては追加でチョコレートのリクエストも
・ミルフォード⇆クイーンズタウン間のシャトルバス
・ミルフォードトラック行きウォータータクシー

破格で利用できたアクティビティの例
・TSS(クイーンズタウンの蒸気船クルーズ)→9割引
・Glowworm caves→9割引
・Stewart island行きのフェリー→9割引
・Kiwi encounter tour→6割引
・Doubtful Soundのクルーズ→9割引
・Shortover rafting→9割引
・Kathmanduでのお買い物→4割引

こうしてみるとたくさんある👀

これまでの経験から、大企業ではこうした福利厚生をしっかり活用できることを知っていたのも会社に応募した理由の一つでした。

この会社のおかげで普段経験しないようなラグジュアリーな体験をたくさんさせてもらいましたが、特に印象に残っているのはミルフォードサウンドでのオーバーナイトクルーズとミルフォードサウンド⇆クイーンズタウン間のフライトでした。

私はタイミングと運が良かったので、両方2回ずつ参加できてとてもラッキーでした。

特にフライトは天候に左右されやすく、ミルフォード、クイーンズタウンどちらかの天気が少しでも悪いとキャンセルになってしまうし、人気路線なのでそもそも満席の場合が多いとか。

クイーンズタウン→ミルフォードのフライトはなんとお客さんが私1人で、贅沢にもパイロットと2人きりのプライベートフライトを楽しみました。

特等席、まさかのパイロット横

こういったアクティビティに自分でお金払ってまで参加することはないだろうし、全てが本当に忘れられないラグジュアリーな経験でした。

ミルフォードサウンドはクイーンズタウンから車で4時間も離れているけど、毎回の休みが4連休だから割とロードトリップやハイキングに行けてとても充実していました。

ただしミルフォードサウンドにあるす全ての会社が同じような福利厚生を持っているわけではありません。

私が働いていたのはミルフォードサウンドの中でも一番大きな会社で、その分福利厚生が最も充実していました。会社規模が大きいからこそ、さまざまなアクティビティや従業員向けサービスが整っていたのだと思います。

例えば、私たちの会社にはいつでも無料で利用できる食糧庫があり、週に2回新しい食材が補充されていました。一方で、会社によってはそもそも食料の提供がないところもあります。

またアコモデーションも会社ごとに大きく異なり、従業員全員で1つのキッチンをシェアするホステルのようなスタイルのところもあれば、食事付きでシェフが全員分の食事を用意するため、毎日決まったメニューを食べる必要があるところもあります。同じミルフォードサウンド内でも環境が全く違うのがとても興味深かったです。

③お金を使わない生活
ミルフォードサウンドは結構有名な観光地なのに、お金を使う場所がほとんどありません。

会社の福利厚生が充実していたおかげで、休みの日以外は本当に財布を開かない生活でした。

そのおかげでめちゃくちゃ遊んでいるのに自然とお金が貯まる環境でした。SNSでは『オーストラリアに比べて時給が低い』『物価が高くてお金が貯まらない』といった投稿をよく見かけますが、正直これは生活環境による部分が大きいと思います。

私の同僚の中には、年1回有給をまとめて使う時しかミルフォードを出ないという強者もいました😂

まさに貯金したい人にはぴったりの生活環境です。

ミルフォードコミュニティ

大自然に囲まれすぎたミルフォードサウンドには娯楽がほぼない!だからこそ村では色んなイベントが定期的に開催されていました。

イベント例
・フリーマーケット
・マラソン大会
・ヨガ教室
・陶芸教室
・トライアスロン大会
・ハンモックナイト
・ムービーナイト
・全裸でマラソン大会(参加費は環境保護に充てられるチャリティーイベント)
・誰かの誕生日パーティー
・ハロウィンパーティー
・年越しイベント
・クイズ大会
・カラオケ大会
・DOCのレンジャーを招いたトークショー

何もないからこそ全部自分たちで作る文化がありました。特にフリーマーケットはちょっとユニークで、タトゥー屋さん、ヘアカット屋さん、占い屋さん等ちょっと変わったお店も出店されていて、アイディア次第で色んなものがお金になるんだな〜と感心しました。

日本人コミュニティ

引っ越してきたばかりの頃は、こんな秘境に果たして日本人はいるのだろうかと思っていましたが、なんと私の他に3人もいました!

私の会社には私を含め2人、別のクルーズ会社に1人、ロッジに1人の計4人で、全員20代後半のワーホリでした。こんな秘境で日本語で雑談ができるの奇跡だし、そもそも日本人に会えると思ってなかったので一緒にハイキングに行ったりご飯を食べたりできてとても楽しかったです。

私が働いていた会社のクルーズはJTBやHISといった大手ツアー会社の旅程にも組み込まれているため、毎年夏の時期には日本人のワーホリスタッフが働いているようです。(去年も一昨年も1人しかいなかったようですが、今年はなんと2人)

本当はオフィスのレセプションが第一希望だったのですが、マネージャーが船内の日本語サービスを充実させたいという意向から、私がクルーとして働くことになったそう。

とはいえ、大手旅行会社のツアーには基本的に英語を話せる日本人ガイドや添乗員が同行しているし、クルーズ中もミルフォードサウンドについてしっかり解説しているので、正直なところ船内に日本人スタッフがいなくても大丈夫だよな〜というのが本音。

でも悪天候でクルーズが急遽中止になった際には、その旨を日本語でアナウンスする役割を任されたこともあるので、恐らくは緊急時の対応要員としての意味があったんだろうな〜

大変だったこと、残念ポイント

・SH94の孤立
ミルフォードサウンドに唯一繋がる主要道路がSH94と呼ばれるハイウェイです。

しかし、ミルフォードサウンドは雪崩が起きやすい山道を超えた先にあるため、春は雪崩、ストームで土砂崩れが起き、道路が寸断される事態も珍しくはありませんでした。

実際私が働いていた10月下旬はストームの影響で木々や土砂が道路を塞いでしまい、ミルフォードは5日間孤立状態になりました。

このサイトで道路の状況を確認

春は雪解けの影響で滝の水量が1年で最も多く、この時期のミルフォードサウンドが一番美しいと言われています。ただし、その分雪崩のリスクも高く、道路が通行止めになることもあり、旅程が崩れてしまうことも少なくありません。

実際に雪崩を目にしたのはミルフォードサウンドが初めてで、10月や11月にはミルフォード周辺で軽くハイキングをしている最中に、近くの山で雪崩が発生するのを何度も目撃しました。

・観光客対応のストレス
私は主にアジア圏からのツアー客が乗るクルーズ船で働いていましたが、特定の国からのツアー客のマナーの悪さに驚くことが多く、大して忙しくない日でも地味に疲れることがありました😂

世界中から観光客が集まるため、文化の違いもかなりカオスで、ビュッフェでは『え、これで食べ終わり?』と思うほど大量に残されていることも多く、フードロスに敏感な私にとってはビュッフェエリアで働くのが結構ストレスでした。

また、席を巡ってお客さん同士がトラブルになる場面も決して珍しくはなかったし、女子トイレは毎日ティッシュまみれになっていて、なかなかのカオス具合でした。

それに比べて日本人のツアーグループのお客さん達は静かにガイドさんの解説を聞いていて、なんで礼儀正しいんだと思うこともありました。

そんな日々も今となっては思い出すだけで懐かしいです。

・同僚と休みが合わない
私はこれがニュージーランドで初めての仕事だったので、ミルフォードの外に友達がいませんでした。

私たちは10日働いて4日休みのサイクルだったので、4日間の休みが被る人はごくわずか。この人とハイキング行きたいなと思っても休みが合わないし、仕事後の限られた時間でしか遊べなかったのが少し残念でした。

・どこに行くにも遠すぎる
最寄りの街まで片道120キロ、車で2時間走ってようやくテアナウという小さな街に到着します。

休みの日はロードトリップや泊まりがけのハイキングに行くことが多かったため、どこか遠くへ行く日は休み前日の仕事終わりにミルフォードを出発するようにしていました。
車で4時間走ってもまだクイーンズタウン😂と思っていたし、ガソリン代もそれなりにかかるのでもう少し近かったらな〜と思うことは正直ありました。

・想像以上に寒い
標高の高い場所に生息するオウムのkeaを家の周りで頻繁に見かけるほど山に囲まれたミルフォードは想像以上に寒く、日本から持ってきた夏服はほとんど出番がありませんでした😂

真夏のクリスマスなのに山の上にはfresh snow。クリスマスパーティーは会社の倉庫で行われたため、ダウンを着て参加しました。

一方で、同じ時期に北島のタウランガでワーホリをしていた妹は半袖・半ズボンで過ごしていたそうで、同じニュージーランドでもここまで違うのかと驚きました。

私が初めてニュージーランドに来たのは9月下旬。ミルフォードサウンドに近づくにつれて雪が降り始め、路肩にうっすら積もった雪が見え始めました。クイーンズタウンで車を買って運転してくるんじゃなかったと早々に後悔したのを覚えています。

引越し当日、どんどん白くなる景色にビビる

・サンドフライ地獄
サンドフライはニュージーランドに生息するコバエくらいの大きさの蚊です。

マオリの伝説に、あまりにも美しいミルフォードサウンドに魅了された人々がこの場所から離れなくなることを防ぐためにサンドフライが放たれ、人間が長く留まれないようにしたという言い伝えがあります。

実際、どこに行ってもサンドフライがいるため、天気の良い日に日向ぼっこをするのも至難の業でした。

私はハンモックで昼寝するのが好きなのですが、刺されたくないので屋外なのに毎回布団被って寝ていました笑(そこまでしてハンモックで寝たいか)

ハエなら全然問題ないのですが、刺されるとめちゃくちゃ痒いし、日本の蚊と違って痒みが数日続く地獄(市販の薬も虫除けも全然効かない)。

ユニークな経験

・DOCのボランティア活動
ニュージーランドに元々生息している哺乳類はコウモリのみで、人間がやって来るまでは鳥の楽園だったと言われています。

ハイキングをしていると、四角い箱のようなトラップを見かけることがあります。これはネズミやオコジョなど、鳥の天敵となる外来の小動物を捕獲するための装置です。中にはトラップが2つセットされており、卵のレプリカや餌に引き寄せられて侵入した小動物を捕獲する仕組みになっています。ニュージーランドにはこうした捕食者が数千万匹いるとも言われており、2050年までに国内から一掃するプロジェクトが進められています。

森の中に突然出現するトラップ

このトラップは定期的に人間が点検・管理する必要があり、私はそのボランティア活動に参加していました。

主な作業は3週間に1回程度トラップをリセットすることで、何か捕獲されていれば清掃→餌の交換→データベースの更新という流れです。実際に確認すると、捕まっているのはほとんどがネズミで、チェックの時にはすでに原型を留めていない痕跡だけが残っていることが多くありました。

ダミーの卵に引き寄せられてやってくるらしい

ミルフォードサウンドにはkeaという、鳥類の中で最も知能が高いと言われる珍しい鳥が生息しています。keaは5歳児ほどの知能を持つとも言われており、トラップは誤ってkeaを傷つけないように設計されています。(過去には器用にネジを外したり、小枝を詰めてトラップを妨害するなどのイタズラが報告されたこともあるそう)

また、人道的な観点からネズミなどの小動物もできるだけ苦痛が少ない形で処理される仕組みになっています。

もともと自然が好きだったこともあり、自分の住むミルフォードサウンドがより鳥にとって安全な環境になればという思いで取り組んでいました。外来種管理の仕組みを含め、自然保護の現場を実際に知ることができた貴重な経験でした。

・船の研修
クルーとして働くにあたり、船に関するさまざまな研修を受けましたが、その中には緊急時に備えてクルーズ船を実際に操縦する訓練も含まれていました。

私が乗っていた船は車のような大きなハンドルで操縦するタイプではなく、小指ほどの細さ・大きさの小さなレバーを左右に動かして操作する仕組み。最初は『こんなので本当に巨大な船が動くの!?』とかなり驚きました。

ほんの少しレバーを動かすだけで船がゆっくり向きを変えていく感覚が不思議で、なかなかできない貴重な体験でした。

さらに、クルーズ船の後方に搭載されているテンダーボートと呼ばれる小型ボートの操縦方法も学びました。

研修ではダミー人形を実際に水中へ落とし、テンダーボートで救助へ向かう訓練を実施。救助した人形を船まで搬送するところまで本番さながらに行いました。

研修の一部だけど、なんだかちょっと楽しい

ミルフォードで得たもの

・国立公園で働くという夢が叶った
もともとニュージーランドでしかできないような、ちょっと変わった仕事がしたいと思っていました。ニセコで働いていた観光業の仕事が本当に楽しくて、次はもっと自然に近い場所で働いてみたい。そう思った時に目に入ったのが、国立公園内のシーズナルジョブでした。

そこからは、国立公園で働くことに絞って仕事探しをスタート。都市部のように便利ではないし、スーパーも遠い。そんな不便さもありましたが、それ以上に『人生で一度来られるかどうか』という特別な場所で、毎日働きながら暮らせたことは本当にかけがえのない経験でした。

クルーズ船からはオットセイやイルカ、そしてタワキ(Fiordland crested penguin)を見ることができ、大雨の日には数千にも及ぶ滝が出現。地球の壮大さを肌で感じながら生活する毎日でした。

家の周りには土ボタル(Glowworm)、絶滅危惧種のKea、Blue Duck、Weka、Ruru(フクロウ)がいて、天気の良い夜には満点の星空やオーロラまで見える環境。

ニュージーランドには9種類ものペンギンが生息していて、タワキもそのうちの一種です。ペンギンは人生のほとんどを海で過ごすので、見られる場所も時期もかなり限られています。ミルフォードサウンド周辺でも、会えるのは1年のうちほんの数ヶ月だけ。

7ヶ月間、毎日2クルーズ乗船しても見られたのはたった10数回のみ。世界に約5000匹しかいないと言われているとても貴重なペンギンです。

そして2月下旬、私の誕生日の日。なんと6匹もの野生のタワキに出会うことができました。普段は見られても一度に2.3匹程度で、あまりの嬉しさに気づいたらちょっと泣いてました😂

・ないものは自分たちで作る精神
ミルフォードでの生活は、まさに秘境オブ秘境。欲しいものがすぐ手に入る環境ではなかったからこそ、“ないなら自分たちでなんとかする”精神が自然と身についていきました。

釣り好きの船長から生きたクレイフィッシュ(伊勢海老)を貰ったものの、当然そんなもの捌いたことなんてない。とりあえずYouTubeを開いて見よう見まねで調理しました。

他にも、クイーンズタウンで牛タンの塊がたった14ドルで売られているのを見つけて即購入。もちろん牛タンなんて人生で一度も捌いたことがなかったので、今回もYouTubeを見ながら下処理してみることに。結果、最高に美味しい牛タンを格安でお腹いっぱい食べることができました。

タンの薄切り難しすぎる

不便な環境だったからこそとりあえず調べてやってみる力がかなり鍛えられた気がします。

・観光地で働くということ
ミルフォードサウンドは、ニュージーランドを代表する観光地のひとつ。大手ツアーにも必ずと言っていいほど組み込まれる場所で、世界中からたくさんの観光客が訪れます。

そんな場所で働いていた7ヶ月間、たまたま旅行でニュージーランドに来ていた友達にミルフォードて再会したり、日本から家族が遊びに来てくれたりと、色んな人と再会する機会がたくさんありました。会社からクルーズのフリーチケットを貰えたのもとてもありがたかったです。

また、クルーズ中にはお客さんから『どこに住んでるの?』『ここで生活してるの!?』と聞かれることも本当に多くて、ミルフォードでの暮らし自体がちょっとした話のネタになっていました。

逆に、自分が休みの日にロードトリップやハイキングへ行って『ミルフォードサウンドから来たよ』と話すと、かなり驚かれることも。改めて、この7ヶ月間ここを“ホーム”と呼べていたなんて本当に凄いことだったなと実感しました。

世界中の人が訪れる場所で、ただ旅行するだけではなく働きながら暮らす。あの7ヶ月間は振り返るたびに本当にすごい場所で生活してたな〜と思います。

びっくりしたこと

・滝の多さ
多くの観光地は晴れてこそ最高!というのが普通ですが、ミルフォードサウンドだけはちょっと違います。

大雨が降った日には数千個もの滝が現れ、雨が止むと少しずつ滝の数が減っていきます。逆に晴れの日が何日も続くとほとんどの滝が姿を消し、氷河によって削られた巨大な岩壁が美しい景色へと変貌を遂げます。

驚くべきことに、ミルフォードサウンドで一年を通して常に存在している滝はたった2つだけ。それ以外は、天気次第で現れたり消えたりする期間限定の滝です。

晴れの日にはただの岩壁だった場所に、雨の後現れる無数の滝。その変化を日常的に見られるのはミルフォードで暮らしているからこそであり、晴れと雨の両方の景色を知っているからこそ感動がより大きくなります。

大雨の日
快晴の日

午前中のクルーズでは存在しなかった滝が、午後になると急に姿を現す。その光景は何度見ても異世界のようでした。

正直なところ、仕事の日は晴れより雨の方がテンション上がります。

ニュージーランドといえば美しい山々というイメージがありますが、正直それなら日本にもたくさんあります。でもミルフォードサウンドのように、天気ひとつで景色が180度変わる場所は、世界中を探してもそう簡単には見つからないのではと思います。

・リアルにジュラシックパーク&鳥の宝庫
ニュージーランド全体にも言えることですが、恐竜がいた時代からほとんど姿を変えていないような植物や虫が、今でも森の中で普通に見られることがあります👀

さらにミルフォードは鳥の宝庫でもあって、絶滅危惧種であるKea(南島の山岳地帯にしか生息しないオウム)も家の周りで普通に見かけていたし、生活圏内に貴重な野生動物がいる感覚は、日本ではなかなか味わえないものでした。

Keaは個体管理されていて、足のタグを見れば名前や性格まで分かります(この子はタグなし)

・働いて初めて知ったニュージーランドのルール
これがニュージーランドで初めての仕事だったのですが、日本やオーストラリアとは違う点が多くてかなり驚きました。
私は勤務日数に応じて有給が付与される雇用形態だったのですが、その有給を使うと日給よりも高い金額が支給されていてびっくりしました。

調べてみると、ニュージーランドでは有給休暇は基本的に『過去の平均賃金(average daily pay)』で支払われる仕組みになっているため、祝日で日給が高かった日やいつもより多く働いた時期があると、その分平均日給が上がって支給額が増える仕組みになっているそう。

また、6ヶ月働くとシックリーブがまとめて10日付与されるのも驚きました。オーストラリアのパースで働いていたときは、働いた時間に応じて少しずつ積み上がっていく仕組みだったので、まとまった日数が付与されるのはシンプルで分かりやすくていいなと感じました。

さらに、ニュージーランドの酒類販売ルールも面白くて、祝日にアルコールが販売できない日があることにも驚きました。2026年4月に一部ルールが緩和されたとはいえ、今でもキリスト教文化の影響で特定の日はお酒の提供や販売に制限があるそうです。

こういう細かい制度の違いも含めて、同じ“働く”でも国が違うと全然違うんだな〜と実感しました。

最後に

晴れると滝は姿を消し、雨が降ると数千本の滝が現れるミルフォードサウンド。

同じ場所なのに、天気ひとつでまったく別の世界に変わるこの場所で過ごした7ヶ月間は、人生の中でも特別な時間でした。

ミルフォードを離れた今でも、世界中の観光客が“一生に一度”と訪れる場所で生活していたことが、どこか夢だったように感じることがあります。非日常が日常になる、不思議な毎日でした。

ミルフォードサウンドの地形を作った氷河は今も残っていて、晴れた日にはクルーズ船からその雄大な姿を眺めることができます。ただ、地球温暖化の影響であと30年程で残り全ての氷河が溶け出してしまうと言われています。

また、ミルフォードサウンドで見られる滝のうち、一年を通して常に存在している滝はたった2つだけで、そのどちらも氷河が溶けた水によって成り立っています。さらにそのうちの1ヶ所は発電や生活用水としても使われており、氷河が完全に消えてしまえば、この場所での暮らしも大きく変わってしまうと言われています。

ニュージーランドで暮らしたことで、自然の美しさだけでなく、それがとても繊細で限られたバランスの上に成り立っていることを、よりリアルに感じるようになりました。

この記事が、ニュージーランドで働きたいあなたの背中を押すきっかけになりますように!

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