「CPAが改善しました」を信じる前に。広告代理店のカモにならないための増分CPA
「CPAが1万円から5,000円に改善しました」
WEB広告の報告会でこう言われれば、多くの人は広告の成果が上がったと考えます。
しかし、本当にそうでしょうか。
確認すべきなのは、
広告の後に何人が買ったか。
ではありません。
広告がなかった場合と比べて、何人多く買ったか。
です。
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【CPAは「買った人」を数えている】
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100万円の広告費を使い、広告経由で100件の購入が計測されたとします。
100万円 ÷ 100件 = CPAは1万円
しかし、その100人の中には、広告がなくても買っていた人が含まれています。
例えば、
・すでに商品名を検索していた人
・何度もサイトを訪れていた人
・カートに商品を入れていた人
こうした人が80人いて、広告によって本当に増えた購入が20件だったとしましょう。
この場合の増分CPAは、
100万円 ÷ 20件 = 5万円
になります。
管理画面上のCPAは1万円でも、
新しい購入を1件増やすためには5万円かかっていた
ということです。
ここで重要なのは、
CPAが表すものと、
増分CPAが表すものは違うということです。
CPAは、
「広告成果として計上されたコンバージョンの単価」
増分CPAは、
「広告がなければ起きなかったコンバージョンの単価」
つまり、
「広告の後に買った人」と「広告によって買った人」は同じではありません。
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【CPA最適化は「買いそうな人探し」になりやすい】
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広告配信システムにCPA改善を求めると、コンバージョンしやすい人への配信が増えていきます。
ただし、コンバージョンしやすい人には2種類います。
・広告によって行動が変わりやすい人
・広告がなくても買う人
CPAだけでは、この違いを見分けられません。
そのため、
・指名検索
・リターゲティング
・購入直前ユーザーへの配信
を増やせば、CPAは改善しやすくなります。
もちろん、これらの広告にも、
・競合への流出防止
・購入の後押し
という価値はあります。
問題なのは、
増分を確認せず、接触後の購入をすべて広告成果として扱うこと
です。
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【最悪の場合、広告は「関所」になる】
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CPAと増分CPAの違いを理解していない企業は、
WEB広告代理店にとって扱いやすい顧客になります。
「CPAが改善しました」
「ROAS500%です」
「予算を増やしても採算が合います」
管理画面の数字だけで、広告の成功を説明できるからです。
最悪の状態になると、
広告は新しい客を連れてくるものではなくなります。
自然に商品を買う人が通る道に関所をつくり、
通過した人を
「広告で獲得した顧客」
として数え、
クライアントから通行料を徴収しているようなものです。
その関所がなくても、
客は店へ向かっていました。
それでも購入直前に広告を見せれば、
その売上に広告の旗を立てられます。
そして、
自然に発生した売上まで広告成果として報告し、
さらに広告予算を増やす。
もちろん、
すべての代理店が意図的に行っているという話ではありません。
問題は悪意ではなく、
評価の構造
にあります。
代理店がCPAやROASで評価され、
広告費に応じて手数料を得るのであれば、
「売上を増やすこと」より、
「管理画面の数字を改善すること」
が合理的になりやすいのです。
広告主が見るべきなのは、
関所を通った人数ではありません。
その関所があったことで、
店に来る人が何人増えたのかです。
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【「広告がなかった世界」と比べるコンバージョンリフト】
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その答えを測る方法の一つが、
コンバージョンリフト(Conversion Lift)
です。
Google広告のConversion Liftでは、
広告を表示するグループと、
広告を表示しないグループを比較し、
広告によって増えたコンバージョンを測定します。
例えば、
広告あり:1,200件
広告なし:1,000件
なら、
差分の200件が
増分コンバージョン
です。
通常の広告レポートが、
「広告成果として何件計上されたか」
を見るのに対し、
Conversion Liftは、
「広告によって何件増えたか」
を測ろうとする機能です。
ただし、
すべてのアカウントで利用できるわけではありません。
予算やコンバージョン数などの条件によっては、
十分な精度で測定できないこともあります。
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【CPAは運用に使い、増分で投資判断をする】
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CPAは無意味ではありません。
・日々の異常検知
・媒体やクリエイティブの比較
・入札調整
こうした運用では、とても便利な指標です。
ただし、
CPAをそのまま
事業への貢献
と考えてはいけません。
日々の運用はCPAで管理する。
定期的にコンバージョンリフトなどで増分を検証する。
その結果から、
広告予算を本当に増やすべきかを判断する。
広告代理店の報告を受けたら、
ぜひ一度、こう質問してみてください。
«「このコンバージョンのうち、広告がなければ発生しなかったものは何件ですか?」»
この問いに答えられない限り、
低いCPAは、
広告が優秀な証拠にはなりません。
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【まとめ】
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広告評価で最も危険なのは、
数字がないことではありません。
測りやすい数字を、知りたかった答えだと思い込むことです。
最後に、この違いを一文でまとめます。
CPAは「買った人を見つける効率」。
増分CPAは「買う人を増やす効率」。
この違いを理解するだけで、
広告の見方は大きく変わるはずです。
