読み始めたら止まらない!作家逢坂冬馬氏が描く現代社会のリアル
自動車期間工の本田昴は、Twitterの140字だけが社会とのつながりだった2年11カ月の寮生活を終えようとしていた。最終日、同僚がSUVブレイクショットのボルトをひとつ車体の内部に落とすのを目撃する。見過ごせば明日からは自由の身だが、さて……。以降、マネーゲームの狂騒、偽装修理に戸惑う板金工、悪徳不動産会社の陥穽、そしてSNSの混沌と「アフリカのホワイトハウス」――移り変わっていくブレイクショットの所有者を通して、現代日本社会の諸相と複雑なドラマが展開されていく。人間の多様性と不可解さをテーマに、8つの物語の「軌跡」を奇跡のような構成力で描き切った、『同志少女よ、敵を撃て』を超える最高傑作。
TV番組「あの本、読みました?」でも取り上げられた本作は、『同志少女よ、敵を撃て』で初めて逢坂冬馬さんという作家を知った私が、Kindle版を購入した作品です。
ご存知のように『同志少女よ、敵を撃て』は、第11回アガサ・クリスティー賞を受賞したデビュー作であり、2022年の「本屋大賞」を受賞した作品でもあります。その作品の強烈な印象は今も忘れられません。
さて本作は、『同志少女よ、敵を撃て』とは全く違った切り口で描かれています。
多くの書評を読んだり、番組で聞いた情報からそう感じていましたが、題名にもなっている「ブレイクショット」というSUV車が、8つの個人と世界を繋ぐ形で描かれています。また、その8つの物語が入れ替わり描かれるという手法をとっているため、先を読みたくてつい読み進めてしまう、そんな仕掛けになっているように感じました。
描かれている個人と世界も、現代社会が抱える問題がテーマとなっており、さらりと書かれているため、読み手も抵抗感なく読み進めることができました。
直木賞候補作にもなったそうで、著者の今後の活躍から目が離せません。
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