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#124 1ヶ月間の泊まりがけ病院実習  【医学生の日常】

こんばんは、バーラです。

実は今年の1月5日から、普段通っている大学病院とは別の病院(以下「S病院」)で実習をしておりました。
実習期間の1ヶ月が終了したので、今回の経験で得たものを振り返ろうと思います。



今回の実習はグループごとに行動する「ポリクリ」とは異なり、完全にひとりで行う実習です。実習先の病院や診療科も、自分の興味や志望科にあわせて個々人で選ぶことができます。
「どの病院の、どの診療科か」と選択肢は莫大ですが、将来の研修先や専攻に影響しかねない重要な選択です。

実習先の決定にあたって、僕には「環境を変えてみたい」という思いがありました。というのも、大学病院でマンネリ化を感じており、外病院で見分を広めたいと思っていたからです。
「やるからには徹底的に新しい環境に身を置こう」と考え、自宅から遠くて寮のあるS病院を実習先に選択しました。
診療科は、S病院が力を入れている循環器内科にしました。


S病院は学生が寮に泊まるのが許されているだけあって、市街地からかなり離れています。車を持っていない僕にとっては電車で下宿先に帰ることすらままなりません。毎週欠かさず行っていた飲食店のアルバイトは、1ヶ月間のお休みをいただくことにしました。
一緒にS病院に行くクラスメートもおらず、病院内でも学生がただ1人と超絶アウェーの状態です。

知り合いもおらず、家にも帰れない。
こうして日常から完全に隔離された中で、病院寮で寝泊まりする生活が始まりました。



最初の1週間は、本当にキツかったです。

見知らぬ土地で、自分以外全員医者という世界に放り込まれることの心細いことといったらありません。
先生方の話している内容も学生の僕には非常に難しく、何を言っているのか聞き取るので精一杯。
まるで言葉の通じない外国に1人で留学しているような気持ちでした。

また自分だけ明確な役割がなく、人の迷惑になっているだけだという暗い感情も頭をもたげ、孤独感に拍車がかかりました。


しかし、学生が1人しかいないことによる大きなメリットがありました。
それは、「多くのことを実際に体験させてもらえた」ことです。

大学病院での実習は見学やミニレクチャーが大半を占め、実際に診察や手技を経験できる場面はそう多くありません。学生の数も多いので仕方のないことではありますが。
ところがS病院では、入院患者さんの診察や、外来患者さんの心電図を見て疾患を考えるなど、実際に頭と体を使う実習が多かったのです。
研修医の先生と救急当番をしたり、カテーテル操作の体験もさせていただきました。ここには書ききれないほどのさまざまな体験をし、実習ならではの「実体験に基づく学び」を数多く得ることができました。

これまで勉強してきた理論と実臨床がリンクしたことで、医学の勉強もかつてなくおもしろく感じるようになってきました。前の晩に復習した治療法が翌日の臨床現場で出てきたときにはすごく嬉しかったです。
実習を通してさらに理解を深め、帰ってまた復習する、という良いサイクルができていたように思います。

先生方ともある程度専門的な会話ができるようになり、少しずつ自分の居場所ができ始めました。
自力では実習に楽しさを見出すことは難しかったと思うので、これはすべて僕を温かく迎え入れ多くのことを教えてくださった先生方のおかげです。


2週目・3週目は環境に慣れながらも、新しい刺激の連続でした。
特に救急外来では、大動脈解離や肺塞栓などの重要な疾患をたくさん経験しました。具体的なイメージを伴ってcommon diseaseの症候や治療法を理解することができたのは、僕にとって非常に大きな財産です。
医師の仕事に強い魅力を感じるようにもなりました。

最後の4週目は、自らの意志が試されるような1週間でした。
主要なカテーテル検査・治療は一通り経験していたので、カテ室以外の場所で自由度の高い実習を行うことができたのです。
実習の集大成として研修医の先生と一緒にカンファレンス発表をしたり、心房粗動に対するカルディオバージョンを見学したりと、これまた貴重な経験ができました。
自学習では循環器から派生して、呼吸器を重点的に勉強できました。肺水腫や肺高血圧など、循環器と関連する病態が多くて興味深かったです。


こうして、1ヶ月前までほとんど何も知らなかった僕が、今や循環器が得意と言えるほどにまで成長することができました。
もちろん病んでしまう時や中だるみなどもありましたが、全体を通して見れば、今までで最も医学を勉強した濃密な1か月間だったと思います。

また、僕がS病院で得たものは循環器の知識だけではありません。
医学への向き合い方までも、この実習は教えてくれました。
いろいろな症例を経験する中で、それまで理論として知っていた知識が実臨床につながっているのだと実感したとき、勉強に対する意識が劇的に変わりました。
これまで「資格を取るための勉強」だったものが、「良い医者になるための勉強」へと変わったのです。
エコーも心電図の読み取りもカテーテル治療もできるスーパーな循環器内科の先生方を見ていると、きれいごとではなく本気で良い医者になりたいと思えました。
医者になるべきか悩んでいた時期もありましたが、今は再び医者が第一志望です!

S病院の先生方には心から感謝しています。
あのときS病院を選んでよかった、そう思っています。


またすぐに大学病院での実習が始まります。
今までとは違う景色が見えるはず!楽しみ!



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