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旅の原点、式根島。

先日、過去の旅行についての記事を書いた。
昔の写真を見返しているうちに、忘れていた旅の記憶まで蘇ってきて、とても楽しかった。
あらためて、旅っていいよなと思った。

今年の夏も旅行に行きたいと思っているのだけど、一件予定が決まったので、今回はそのことについて書きたい。

行き先は、式根島。
私にとって、旅の原点みたいな島である。




小学生の頃、町の小さな塾に通っていた。
大手の進学塾とは違う、どこか自由な空気のある塾だった。
今思えば、先生も少し変わった人だったし、ここに通う生徒も(私も含め)どこか癖のある子が多かった気がする。
だが、学校とは違うこの場所は、私にとって居心地が良かった。

この塾では、夏になると式根島へ行くイベントがあった。
学年もバラバラの子どもたちが集まり、数日間のキャンプ旅。
年上も年下もいたけれど、アットホームな雰囲気だった。
引率の大人は、塾の先生ひとりだけ。
ボーイスカウトの経験はないけれど、たぶん似たような空気だったのだろう。

昼は海で遊び、フィンとシュノーケルを使って、簡単なスキューバみたいなこともやった。
子どもの私は、それだけで完全に冒険家の気分だった。




式根島は、伊豆諸島 のひとつである。
昔は「伊豆七島」と呼ばれていた地域だ。
伊豆七島という呼び名が有名だが、実際には島は七つではなく、今では九つあるらしい。

東京とは思えないほど海が綺麗で、子どもの頃の私は、それだけでもう別世界へ来た気分だった。

竹芝桟橋から夜に船へ乗り、翌朝に到着する。
私が子どもの頃に乗ったのは、たしか「かめりあ丸」という名前だったと思う。
あの「夜の船」が、私はたまらなく好きだった。

甲板に出ると、潮風が強く、東京の夜景が少しずつ遠ざかっていく。
子どもの私は、それを飽きもせずずっと眺めていた。
子どもたちはなかなか眠ろうとせず、みんなで騒ぎながら船の中を歩き回っていた。

知らない場所へ向かっている。
それだけで、胸が高鳴った。
そして帰りの船は、いつも少し寂しかった。

今思えば、あの感覚が私の旅の原点だったのかもしれない。



今年、その旅行に一緒に行っていた同級生と、何十年ぶりかに神田で再会した。
それぞれ家庭を持ち、それぞれに事情があり、別々の場所に住んでいる。
「ご無沙汰してます」なんて挨拶もそこそこに、話題は自然と式根島のことになり、「久しぶりに行ってみようか」という話になった。

気づけば、みんなそれなりの年齢である。
「こういう場所って、生きてるうちに、元気なうちにしか行けないよね」
誰かがそう言って、私も本当にそうだなと思った。

これから先の人生は、『再会』がテーマになる予感がしている。
新しい出会いもそこそこにあるかもしれないが、正直、そこまで期待はしていない。
自分がここまで生きてきた中で出会った人たち。
そんな人たちに、残りの人生で何人と再会できるのだろう。
終活と呼ぶには早すぎるかもしれないが、これからは、そういう時間が増えていく気がしている。




夜の東京を出て、船で徐々に日常から離れていく。
朝になれば、そこには島がある。

子どもの頃の私は、あの時間がたまらなく好きだった。

そして今、大人になった私は、もう一度あの旅を、あのメンバーで体験できることを、とても楽しみにしている。


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