見出し画像

言葉の世界に触れた本との出会い。

私が吉本ばななさんの本に出会ったのは
20代前半の頃…

それまで、学生時代の書籍は別として
本という本を、じっくり読んだことがなかった。

その日は、どうしても職場にいたくなくて
仮病を使って、早退した。

すごく暑い夏の日で、ちょうど13時頃退社し
このまま家にも帰りたくなくて
向かった先は、なんとなく書店だった。

店内に入った途端に、エアコンの効いた空間と
真新しい紙の匂いにひどく癒されて

なんだかその時に、久しぶりに深呼吸したような気がした。

本との出会いは
必然だと聞いたことがあるけれど

確かにそうかもしれないと思うほどに
ゆっくりと、なんの目的もなく

店内を歩いていたはずなのに
ピタリと止まったその棚には
吉本ばななさんの書籍が並んでいた。

ただ…ホントに、
直感が背中を押したのだろうと思うけど

今回紹介する「悲しい予感」を手に取り
ページをめくり始めた。

そして私は、冒頭から
吉本ばななさんが紡ぎ出した
最初の言葉からもう既に

物語の世界へ…吉本ばななさんの世界へ
しっかりと足を踏み出し
後ろ手に扉までしっかり閉めていたのだった。


『悲しい予感』     吉本ばなな

☘️あらすじ

 
主人公の弥生は、
幼い頃から「自分にはどこか不思議な力がある」と感じながら生きてきた。

それは、人の気配や
見えないものの存在を感じ取るような
説明のつかない感覚。

ある日、長く離れて暮らしていたが
叔母であるゆきののもとで
過ごすことになる。

ゆきのはどこか現実離れした
静かで透明な雰囲気を持つ女性だった。

一緒に暮らす日々のなかで、弥生は次第に
ゆきのの持つ深い孤独や
言葉にならない想いに触れていく。

そして、
自分自身の中にある「予感」の正体にも
少しずつ向き合っていくことになる。

やがて訪れる出来事は
決して大きな声では語られない。

けれど確かに、心の奥に波紋を広げていく……
そんな静かな物語だ。


☘️あの日…心に居座った言葉の魅力を
感想に代えて


この物語を読み終えたあと
胸の奥に、名前のつかない余韻が
ふわりと残った。

それは「悲しい」という
言葉だけでは足りなくて
でも確かに
どこかにやさしい温度も含まれている。

人はときどき
説明のつかない「予感」を
抱えながら生きているのかもしれない。

まだ起きていない出来事の気配や
言葉にならない誰かの感情を
そっと感じ取ってしまうような瞬間。

弥生とゆきのの関係は
はっきりとした形を持たないまま
ただ静かに寄り添っている。

その距離感が、とてもリアルで
そして少し切ない。

私は読みながら、
「人と人が本当にわかり合うことって、どこまで可能なんだろう」と考えていた。

全部を理解することはできなくても
ただ隣にいること
同じ時間を過ごすこと……
それだけで
救われることもあるのかもしれない。

この作品の好きなところは
大きな出来事よりも、「空気」や「気配」を
大切にしているところ。

静かな部屋、ふとした視線、言葉にしない会話。

そういうものが積み重なって、
読んでいるこちらの心まで
そっと揺らしてくる。

「悲しい予感」というタイトルは
未来に対する不安のようでいて
同時に
何かを大切に思う気持ちの裏返しにも感じた。

大切だからこそ
失うかもしれない気配に気づいてしまう。

そんな繊細な心の動きを
やさしく包み込んでくれる物語だった。

読み終えたあと
少しだけ静かな場所にいたくなる。

そして、自分の中にある小さな「予感」に
そっと耳を澄ませたくなる…そんな一冊だった。


最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
あなたの元にも
素敵な本との出会いが訪れますように…

いいなと思ったら応援しよう!

Rie_note メッセージだけでも嬉しいのに、なんだか気持ちが温かくなりますね🍀*゜ 今後も、私らしいnoteを、みなさんにお届けしたいと思います٩(ˊᗜˋ*)و♪