「序曲の旋律」と旋律

人には、それぞれ
「最初に鳴った音」がある。

何かを始める時。
一歩踏み出す時。
まだ何者でもない自分が
世界に向かって立ち上がる時。

私の中にも
そうした瞬間を告げる
音がある。

私はそれを
「序曲の旋律」と呼んでいる。



いつの頃からか
音楽鑑賞が習慣になった。

邦楽、洋楽。
歌ものだけでなく、インストも聴く。

インストを好きになった原点は
ゲーム音楽だった。

とりわけ強く残っているのが
国民的RPG
『ドラゴンクエスト』

その音楽を手がけた
すぎやまこういち氏の言葉がある。

「ゲーム音楽というのは
 何回聴いても飽きない
 聴き減りしないものが良いのだ」



その時、旋律に触れた。



振り返れば
ゲーム音楽の中で
この思想を浴びて育っていた。

だからだろう。
自分で曲を作るようになった時
自然と
「ループ」「反復」「構造」
に惹かれていった。

派手さよりも
持続する感覚。
一度きりの快楽よりも
何度でも戻ってこられる場所。

「聴き飽きない」
「聴き減りしない」

そのポリシーは
確かに
私の作曲の根幹にあった。


そして今。


note に文章を書いていて
同じ感覚を覚える。

私の文章は
“読む” というより
“流れに身を預ける”
という体験に近い。

意味を追うというより
リズムを辿る。
結論に向かうというより
旋律に浸る。

行間にあるのは
説明ではなく
余韻だ。

その根底を流れているのは
今も変わらず
あの音。


画面の向こうで
剣を掲げる
勇敢なる冒険者たちを
讃える

あの
序曲の旋律。

私の文章は
あの音楽の
延長線上にある。


だから
私は
今日も書く。

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あなたの
“冒険のはじまり”
になることを

どこかで信じながら。


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田畑智|旋律エッセイスト あなたの一拍が、次の旋律を動かす

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