ロジラテ思考のマネジメント「イノベーションで成果をあげる方法」 #C02
前編#C01ではイノベーションの種の見つけ方についてお話しました。今日は、イノベーションの種を成果に繋げる方法についてお話しします。
1.青天の霹靂、知識知見のない業界・製品の海外営業部長に赴任。何をすればいいんだろう?
これからお話する事は、2014年に海外営業の経験もなく、知識知見もない製品を扱う海外営業部長に就いたときのお話です。
このとき部下となった人達はその道のプロフェッショナルです。当然のことながら私は市場や製品の知識知見など足下に及ばず、お客様のところに行っても、話しがさっぱり分からない状態でした。
そんなとき、私が考えていたことは「知識知見がないことは仕方が無いさ。でも自分ができることは、マネジメントを通してイノベーションを起こすこと」でした。
2.まずは変化を発見しよう!
当時の海外営業部は、代理店の要望を聞いて販売するというスタイルで、現場に足を運ぶことは少なく、代理店の情報で戦略戦術をたてていましたが売上げは上がりませんでした。
そこで市場の変化を見極めるために、様々な国の現場に足を運び、自らの目で市場の変化を見るスタイルに変えてから、面白いことに気づきました。

3.3カ国に跨がる「顧客の悩み」
【タイの代理店での出来事】
タイの代理店に訪問したときのことです。売上げは好調だということで、ミーティングを終えた後、倉庫を見に行ったとき驚くべきものがあったのです。それは、当社製品の返品の山でした。よく見ると、なんと大半が偽物。社長は、インドネシアの客から偽物と分かっていても勝手に返品してきて困っているとのことでした。
【インドネシアの出来事】
当時、この国には正規代理店はなくタイの代理店から輸入していました。販売店にいくと半分以上は偽物を公然と売っている店で、彼らの話を聞くと正規品を売りたくても、買えるとことが少ないと嘆いていました。また偽物はすぐに壊れてしまうので、ユーザーから苦情を受けて困っているとのことでした。
【中国の出来事】
当時、中国は世界の偽物工場でした。私は偽物工場の摘発も担当していましたので、いくつもの偽物工場を閉鎖させてきました。そのときタイとインドネシア向けのインボイスが沢山出てきたことを覚えていました。
4.「顧客の悩み」をロジラテ思考で分析したらイノベーションが見えた
3カ国の顧客の悩みをロジラテ思考で分析するとこんな感じになります。
1)何が起こったのか
●偽物のクレーム品が勝手にタイの代理店に返品されている
●偽物を買ったエンドユーザーは、すぐに壊れるので困っている
●インドネシアでは正規品が買えない
●偽物の大半は中国から入っている
2)何故起こったのか
(仮説)
●騙されて偽物を買わされ、偽物が蔓延している。正規品が買えない。
●偽物と分かっていても、販売している悪質な代理店がいる。
●偽物工場が野放しにされている
(課題)
●インドネシア国内で、正規製品を買えるようにする
●正規品と偽物の性能差を知らしめる
●偽物工場の閉鎖
3)何をする(戦術)
●インドネシアに正規代理店を置く
●「偽物を使うとすぐ壊れる」というネガティブキャンペーンを行う
●偽物工場の摘発と閉鎖活動実施
5.イノベーションとは何か
この戦術のお陰で、インドネシアの2015年の売上げは15%も上がりました。
会社とすれば、「めでたし、めでたし。成果が上がった!」となりますが、私はこれが成果だとは思わなかったのです。それを以下のグラフが証明してくれています。

確かに売上げは15%あがりました。でもこれは景気の影響もあります。では成果とはなんだったのか?
前回の記事(#B16)で、マーケットに掛ける時間を12%(1時間)増やしたことを説明しましたが、私達はこの時間を「問題」、「課題」の議論に充てました。
その結果現れたことは、上記の折れ線グラフです。これは「問題」、「課題」を解決するため、メンバーと話し合って出した実践プランが568件(198%)と2倍に増えています。
この中から業績向上に最も効果的な実践プラン(戦術)を選び出して業績アップ(15%)に繋げました。
つまり本当の成果とは、業績向上に向けた実践プラン(戦術)568件で、これは景気に左右されない誇るべき成果です。イノベーションの種はこの中にあり、ここからイノベーションが生まれるのです。
だからインナーコミュニケーションはとっても大事なのです。
これからの世の中は、直接顔を合わさない働き方が進んで行きます。企業はこのようなマネジメントを求められると思うのですが、皆さんはいかがお考えでしょうか?。
※ロジラテ思考とは、ロジカル思考(垂直思考)+ラテラル思考(水平思考)を組み合わせた思考法。詳細は「ロジカル思考の罠。『ロジラテ』思考で成果をあげる行動論 #A05|飯田利男|note」をご参照ください。
