ロジラテ思考のマネジメント「起業のためのイノベーション発見術」#C03
新しい事業を起こそうと考えている人。
新たなアイデアを求められている人。
いずれも共通して求められていることは、イノベーションを起こすことです。
しかし、世の中には簡単に成功したように見えるスタートアップ事業が沢山ありますが、実際はそんな簡単なことではありません。
彼らは顧客のデマンドと現実のギャップからイノベーションの種を見出し、事業化したから成功したのです。
イノベーションの種を見つけることは、起業する方にとっては最も重要なことです。今日はその方法をお話したいと思います。
1.イノベーションの種の見つけ方
イノベーションの種の見つけ方は、「現実」と「目指す姿、お客様の要求」のギャップを見つけ出し、そこから「核となる課題」を見出すことです。
きっと読者は「そんな話は、他のビジネス本にも書いてあるよ。分かってます!」と思われたのではないでしょうか?
しかし、例えば「現実」と「目指す姿、お客様の要求」のギャップは見つけたけど、そこから「核となる課題」を見出す方法まで書いてある書籍はあまりないのです。
何故なら、その種のビジネス本の著者は、殆どがコンサルタントだからです。彼らは人にイノベーションを起こさせるプロですが、自らイノベーションを起こすプロではありません。
今日は、現実的なイノベーションの起こし方を、私の経験に基づいてお話したいと思います。
2.イノベーションの種をみつけるには「変化の分析」が必要です。
そもそも人は見たこともないことや、新しい変化を見たとき、何を考えるでしょうか?
驚いいたことを友人に面白おかしく伝えて終わり。後は忘却の彼方という方もいらっしゃいます。
しかし、イノベーションを起こす人は、ちょっと違う思考をします。
これは何だろう? 何故こんなことが起こっているんだろう?
⇒「何が起こったのか?」「何故それが起こったのか?」
自分が知っている類似の事と比べて、何が違っているかな?
⇒相違性の分析(仮説)
これひょっとして、今あるこのパターンの変化系か?
⇒共通性の分析(仮説)
だとしたら、自分の知ってるマーケットには当て嵌まるか?嵌まらないか?
⇒関係性の発見(課題の設定)
それをビジネス化したら顧客はいるのかな
⇒新たなマーケットの発見(目指す姿の発見)
こんな感じで考えていくはずです。
皆さんはこの中で、最も重要なプロセスはなんだと思われますか?
ずばり4番目の関係性の発見です。
人が何かを理解しようとするときは、異なった二つ以上の事柄の間に様々な仮説を用いて、何らかの関係性を見出そうとします。
これができたとき、人は物事を理解し、イノベーションを発見したことになります。
私の他の記事をお読み頂いた方は、お気づきだと思いますがこのプロセスこそロジラテ思考そのものなのです。
次項は、私がロジラテ思考ノートで実際に起こしたイノベーションについてお話していきます。
3.実例)イノベーション発見
下の図は、私が現役時代に使っていたロジラテ思考ノートです。
国別にその月にあったこと、メンバーからの報告を「何が起こって」「何故起きて」「何をする」に整理して記録していました。

このロジラテ思考ノートから、各々の国の問題点を抽出すると以下のようになりました。
【インドネシア市場情報】
●販売店は、タイの代理店から買っている
●当社製品は、すぐ壊れるとの苦情が多発
●正規代理店でない国内代理店が扱っている製品は偽物ばかり
【タイの市場情報】
●タイの代理店に、インドネシアからクレーム品が返品されている
●返品を調べると、偽物が殆どだった
●インドネシア向けの輸出が増えている
【中国市場情報】
●中国は、偽物工場が多い。
●摘発した工場を調査したらインドネシア向けインボイスが多数見つかった
以上の情報をラテラル思考(水平思考)で分析すると、以下のような共通性、関係性が見つかりました。
これが「核となる課題」でありイノベーションの種です。
●インドネシアの販売は増加傾向
●タイ、インドネシア両国ともに偽物製品に悩まされている
●中国の偽物工場が大きく影響している
4.実例)イノベーションを起こす
インドネシアは成長市場であることはわかった。これをさらに成長させるには上記の「核となる課題」を解決すれば良い。
とった戦術は、以下の3点
1)インドネシアに正規代理店を置く
2)正規品と偽物製品の性能差をPRする(ネガティブキャンペーン)
3)中国偽物工場摘発の推進
この結果、業績は15%も伸びました。
つまりこの戦略戦術は、「何が起こって」「何故それが起こって」「何をする」に整理して、ロジラテ思考ノートに記録したもの中から導き出したイノベーションなのです。
※ロジラテ思考とは、ロジカル思考(垂直思考)+ラテラル思考(水平思考)を組み合わせた思考法。詳細は「ロジカル思考の罠。『ロジラテ』思考で成果をあげる行動論 #A05|飯田利男|note」をご参照ください。
