【LAWドキュメント72時間】反論理的思考のすすめ
■ビジネスで論理的思考力が求められる背景
ビジネスでは常に新しい問題が発生したり市場の環境が移り変わったりするものです。
次々と発生する問題の原因を分析し、解決に導いていくためには論理的思考力が必要です。
ビジネスにおいて論理的思考力が求められる理由は以下のとおりです。
・日常的に発生する問題を適切に解決するため
・的確な順序で問題を解決するため
・前例のない状況でも合理的な意思決定を行うため
■ビジネスや日常生活での具体例
▶ビジネスで論理的思考が役立つシーン
・問題が発生したとき、論理的に原因を分析して解決に導く
・プレゼンテーションで、主張と根拠を論理的に解説して相手を説得する
・生産性を上げるにはどうすれば良いのか論理的に考えて、業務を効率化する
▶日常生活で論理的思考が役立つシーン
・時間の使い方を考えて効率化し「やりたいこと」を達成しやすくなる
・なぜその商品を買う必要があるのかを考え、浪費を防ぎやすくなる
・相手の意図や気持ちを察しやすくなり、人間関係が円滑化する
■トリプルシンキング
論理的思考・批判的思考・水平思考の3つはトリプルシンキングと呼ばれ、いずれもビジネスにおける重要な思考法です。
批判的思考とは、主張の根拠や得た情報に疑問を持ち、客観的な視点で思考する方法です。
思考における前提条件や根拠の精査、先入観の排除などに役立ちます。
水平思考に対して論理的思考を「垂直思考(バーティカルシンキング)」と呼ぶ場合もあります。
■ロジカルシンキング(論理的思考法)とは?
17世紀半ば、デカルトにはじまる近代合理主義のなかで生まれ、20世紀のパックス・アメリカーナの時代に地位を確立したと思われる論理的思考法で、現在・過去・未来のできごとのほとんどは、論理の力で解明で可能です。
このロジカルシンキングとは、物事を結論と根拠に分け、その論理的なつながりを捉えながら物事を理解する思考法です。
日本語では「論理的思考法」といいます。
■論より詭弁
21世紀に入り、IT革命によって世界が目まぐるしく変化する中で、100年に1度の厄災が多発し、世界が不安定期に突入すると同時に、論理的思考は、過去に対する後付け解釈にしか通用しなくなったのではないかと推定される。
【参考図書】
「そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?」深沢真太郎(著)

「論理的思考とは何か」(岩波新書)渡邉雅子(著)

「「論理的思考」の文化的基盤 4つの思考表現スタイル」渡邉雅子(著)

「新装版 アブダクション 仮説と発見の論理」米盛裕二(著)今井むつみ(解説)

「問いの編集力 思考の「はじまり」を探究する」安藤昭子(著)

とはいえ、約350年の歴史のエッセンスを有効活用しながら、ドラッカーが示してくれている以下の点にも注意を払いながら、
「デカルト以来、重点は論理的な分析に置かれてきた。これからはこの論理的な分析と知覚的な認識の両者が必要とされる。」
既に、経済学においては、
「人間は合理的な生き物」
である、という前提の上に、
「数学的な美しさ」
のみを追い求める時代が終わり、
「心理学との融合」
が図られており、
「行動経済学が最強の学問である」相良奈美香(著)

さびついた論理的思考を、本書に示される思考力をアップして、
「思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践」波頭亮(著)

「地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」」細谷功(著)

「論より詭弁」の本書の思考も、積極的に取り入れてみてはいかがだろうか。
■読書メモ:「論より詭弁~反論理的思考のすすめ~」(光文社新書)香西秀信(著)

[ 内容 ]
著者は、論理的思考の研究と教育に、多少は関わってきた人間である。
その著者が、なぜ論理的思考にこんな憎まれ口ばかりきくのかといえば、それが、論者間の人間関係を考慮の埒外において成立しているように見えるからである。
あるいは(結局は同じことなのであるが)、対等の人間関係というものを前提として成り立っているように思えるからである。
だが、われわれが議論するほとんどの場において、われわれと相手と人間関係は対等ではない。
われわれは大抵の場合、偏った力関係の中で議論する。
そうした議論においては、真空状態で純粋培養された論理的思考力は十分には機能しない。
[ 目次 ]
序章 論理的思考批判
第1章 言葉で何かを表現することは詭弁である
第2章 正しい根拠が多すぎてはいけない
第3章 詭弁とは、自分に反対する意見のこと
第4章 人と論とは別ではない
第5章 問いは、どんなに偏っていてもかまわない
[ 問題提起 ]
レトリックの第一人者による反・論理的思考のすすめ。
[ 結論 ]
論理的思考が通用する場面は、ディベートのように両者が対等な立場にある場合に限られ、実際は偏った力関係の中で説得の手段を見出さなければならない。
著者は詭弁というのが勢力のない側が使った場合にそう呼ばれるだけで、普通によく用いられていることを示す(「あなたは平和憲法の改悪に賛成ですか?」)。
その上で、定義からの議論と因果関係からの議論を両立させないほうがよいこと、論点のすり替えはより重要な問題への移行だとする意見、先決問題要求の虚偽は実際意図がみえみえで詭弁にもならないことをレトリックの教科書を参照しながら説明する。
共通するのは、議論は主張者が誰でも同じなのではなく、主張者の信条・態度・信頼度(エートス)を巻き込んだ上で説得力が生まれるということだ。
これは従来に論理的思考の本ではあまり触れられず、また触れられたとしても無碍に否定されていたことではないだろうか。
[ コメント ]
著者の書き方がすでにレトリックの教科書のようになっていて面白い。
新書で紙幅が限られているためだとは思うが、トピックが少なくて物足りないので、もう2、3章くらい多くてもよかったと思う。
