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産休2ヶ月のフィリピンで、私が見た「生き生きと働くママ」の理由

フィリピンに住んで10年。ここで3人の子供を出産しました。

フィリピンに来る前の私は、育休は長ければ長いほどいいものだと、なんとなく思っていました。子どもとたっぷり時間を過ごせる。職場のことを忘れて、育児に集中できる。

長女を妊娠した時、初めて知ったフィリピンの出産における法律(Maternity Leave)。その短さに、とてつもない不安を感じたのを覚えています。

あれから10年、フィリピンで働きながら子育てをしてきた今、感じることを書きたいと思います。


産後2ヶ月で、職場に戻った。

フィリピンには、日本のような育児休業制度がありません。私が1人目を産んだ2017年当時、産休は60日ーたったの約2ヶ月でした。

頼れる両親もフィリピンにいない状況で、たった2ヶ月で職場に戻れるものなのか?現実味がなく、ただ心配だけが募っていきました。

会社の制度を調べると、復帰後2ヶ月間「ならし期間」として、週3日だけの出社を申請できる制度がありました。上司と相談し、その制度を活用することにしました。また、3日のうち1日だけは在宅勤務も許してもらえました。

当時はコロナ禍となる前。まだ在宅が一般的ではなく「特別な対応」をしてもらえたと思います。だからか、同僚から妬みの陰口を言われていたようです。

その後、2019年に法改正があり、現在は105日(約3ヶ月半)に拡大されています。それでも日本と比べれば短い。でも実際に経験してみると、見えてくるものがありました。


「おめでとう!」の一言で、変わったこと。

私自身にも、忘れられない場面があります。

2017年、転職先の内定を受諾した直後に、1人目の妊娠がわかりました。入社してまだ1週間。上司に告げるとき、最悪クビになるかもしれないと覚悟していました。

でも返ってきた言葉は——

“Congratulations!” (おめでとう!)

育休中、迷惑をかけることになるので、’I'm so sorry” と謝りましたが、上司は「どうして謝るの?おめでたいことじゃないか!」と、祝福してもらえたんです。

その瞬間、自分は本当に日本人だな。子供ができたことを「申し訳ない」なんて思ったらダメだ!と、肩の力がすとんと抜けた気がしました。フィリピンで働くということの意味を、あのとき初めて実感しました。


でも、職場に戻れる理由はそれだけじゃない。

画像はイメージです

フィリピンの職場で最初に驚いたのは、会社に授乳室(Lactation Room)があったことです。私が今まで勤めてきた会社では、当たり前のように用意されていました。

私の場合、ランチタイムになると搾乳室に行き40分ほどかけて授乳していました。毎回、授乳室には同じようなママが数名いましたが、見えないようにパーティションで分けられていたので、周りを気にせず搾乳できました。

冷蔵庫も用意されていて、搾乳した分を保存して家に持ち帰ることもできます。

搾乳室があるのは、「母乳で育てたい」というママの気持ちを汲み取った素晴らしい取り組みだと思います。そしてそれは、フィリピンが女性の活躍を社会全体で支えようとしている姿勢の表れでもあると感じました。

女性管理職も多く、世界的にも女性が活躍する国として認められています。制度は整っていませんが、それを文化が補っていると感じました。

授乳室(Lactation Room)について
私が今まで勤めてきたのは、外資系企業だったため授乳室が当たり前のようにありましたが、フィリピンにある日系企業では、ない場合が多いようです。


もうひとつの支え。ヤヤ(ベビーシッター)という存在。


もうひとつ、フィリピンのママたちを後押ししているものがあります。ベビーシッター、こちらでは「ヤヤ」と呼ばれる存在です。
 
日本ではベビーシッターに頼るのは高額で、現実的でない選択肢ですが、フィリピンでは比較的手の届く費用で頼むことができます。

私の場合は、出社する月曜から金曜、朝7時から夕方6時まで来てもらっていました。

もちろん、ヤヤが体調を崩したり、家族のことがあると休んでもらわないといけないこともありましたが、その時は旦那さんにも頼って出社していました。
完璧ではないけれど、頼れる手段がそこにある。それだけで、前を向けました。

ただし、ヤヤの存在は頭を悩ませることも。日本のように「整った」システムではないので、信頼できるヤヤを見つけることが大切です。もちろん支払うお給料の交渉も必要で、時には「お金を貸して」と言われることも。

私自身、日本のような保育園があったらなんて良いんだろう、と思ったこともありますが、現状はフィリピンでは国が提供する保育園というものはありません。


育休が長いことの、影の部分。

 日本の育休制度は本当にすごいと思います。子育てに集中できる時間を、社会が守ってくれています。それは本当に大切なことです。
 
でも一方で、こんな声も聞こえてきます。

復帰が怖い」「キャリアがリセットされた気がする」「浦島太郎みたいだった」。長く休むほど、職場との糸が細くなっていく感覚があるようです。実際、復帰してみると元のポジションに戻れなかったという友人も見てきました。
 
フィリピンのママたちには、その「断絶」がありません。2〜3ヶ月で戻るから、その間は同僚に仕事をカバーしてもらい、戻ったら元の仕事にスムーズに戻ることができます。

職場は変わらずそこにあります。慌ただしいけれど、キャリアは続いていきます。

また、経済的にも良い面がありました。キャリアを途絶えさせなかったことで、変わらず家族に金銭面からも貢献し続けられる。自分の存在価値を、仕事を通じて確認し続けられたことは、ママとしてだけでなく、一人の人間としての自信にもつながりました。


正解は、ひとつじゃない。

 育休の長さが、ワーママの幸せを決めるわけじゃないと思います。長く休める制度も大切です。でも、戻れる空気があることも、ヤヤのような現実的な手段があることも、同じくらい大切なのかもしれません。
 
フィリピンで10年過ごして、私が学んだのはそういうことです。完璧な仕組みがなくても、「大丈夫だよ」という空気と、頼れる誰かがいれば、ママたちは前を向けます。
 
日本とフィリピン、どちらの方がいいか、というのを言いたいわけではありません。

どちらに住んでいても、ママとして苦悩や葛藤があると思います。そんなママたちの背中を押せるような記事になったらいいなと思っています。

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