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見た目で判断される、不憫な"職質男子"が爆誕した日

善良な市民の方には全く縁がない話かもしれない。あなたは「職務質問」を受けたことがあるだろうか。


僕は、何度もある。


いや、断じてそっち側にはいないタイプの人間なのだ。むしろどちらかと言えば憧れていた。『特攻の拓』『今日から俺は!』『カメレオン』『GTO』など、ヤンキー漫画を買い揃えていた青春時代だ。


だが僕は、そっち側ではない。


中学時代。街なかでリーゼントに絡まれた時は、隙を見て全力で逃げ切った。
高校時代。食堂で上級生に絡まれた時は、トイレに連れ込まれて "フクロ" にされた。
やられる側の思い出しかない。

当然、見た目も華奢なのだ。
背も高くなければ、体重もずっと50kg前後。
試しに久々に体重計に載ったら47kgだった。
40過ぎても変わっていない。
30代までは仕事先のお客さんから「学生さん?」と言われることが多かった。
童顔だ。

つまり、圧倒的に弱そうだ。



『東京リベンジャーズ』のマイキーに憧れる人生だった。華奢に見えるのに、強くてカリスマで、総長だ。

(C)和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会


現実の僕は、拓ちゃんが一番近い。見たまんま、華奢で弱くて、たまに気合いブリバリ。

『疾風伝説 特攻の拓』講談社
原作:佐木飛朗斗 漫画:所十三


なのに、だ。

職務質問を何度も受けたことがある。
大きな理由としては、池袋に住んでいたことがあるからだ。

池袋と言えば、IWGP『池袋ウエストゲートパーク』だ。ブクロサイコーだ。

『池袋ウエストゲートパーク』Paravi公式サイトより


ドラマに出てくる、東西を繋ぐ池袋大橋。20代の頃。僕は通勤で、毎日あの陸橋を歩いて渡っていた時代がある。


いったい何度、職質を受けただろう。


想像してみて欲しい。
朝、会社に向かっている途中で、2人組の警官にその歩みを止められるのだ。


「すいません、ちょっとご協力願えますか」


願いたくない。
休日ならまだしも、こちとら「遅刻しまい」と、早歩きで闊歩している最中なのだ。逆に「ちょっとご勘弁願えますか」である。

ごくたまになら良いのだが、ひどい時には週に2回も3回も呼び止められた。
何か事件でもあったのだろう。当時の池袋とはそういう街だった。


──いや?


確かにそれもある。それもあるのだろう。


が。


池袋を歩く人など、計り知れないほどたくさんいる。その中でのこの頻度は、あまりにも高すぎやしないだろうか?

ある日、本当に遅刻しそうな時に呼び止められて、温和な僕でもさすがに食い下がったことがある。


「通勤の途中なんで、またにしてもらえますか!?」


僕は歩みを止めず、早歩きしながら言い放ってみた。心の中では「"御意見無用"」「だぜ……?」と、吹き出しを2つに分けている。


「そういうわけにもいかないんで。ちょっとだけ、ご協力お願いします。」


そういうわけにいかなかった。早歩きに平然と併走してくる警官は、もはや新宿のキャッチと変わらなく思える。


「いや、遅刻しそうなんで。タイムカード押してからにしてもらえます?」


マジでそう思っている。出社スタンプ後なら、いくらでも付き合おうじゃないか。


「そこを何とか。すぐ終わらせるんで。お兄さん、ご協力お願いします。」


"お兄さん" 呼ばわりしてくるので、いよいよ国家権力を纏ったキャッチにしか思えない。


「マジで遅刻しそうなんですよね…」
「すみません。すぐ終わらせますので。」


強気でさらに歩いてみたが、彼らは決して諦めなかった。一瞬、これからハンター1次試験を開始しようかと思ったが、心の奥にそっとしまうことにした。

『HUNTER×HUNTER』 集英社
作者:冨樫義博


前方に信号が見えて来たので、僕はその場所で彼らを1次試験合格にしてあげることにした。
ワンチャン、赤信号待ちで済むことを期待したのだが、さすがに信号は2巡した。


──さて。


「職務質問」とは何が行われるか。いろいろなケースがあると思うが、僕が嫌というほど受けたのは「所持品検査」である。
ポケット、バッグ、ボディチェック、財布の中身を広げて見せなければならない。

幾度となく受けてきた検査だ。
僕はたまらず、これまでに感じていた疑問をぶつけてみた。


「つい先日も受けたばかりなんですけど、なんでオレなんですかね?……見た目で判断してるんですか?」

「ごめんねえ。見た目で判断するしかないんだよねえ。お兄さんみたいなのが、結構いろいろ持ってるんだよねえ。」


見た目。


そう──職質の警察官は「見た目」で判断するのである。問題は、その対象として複数の警官センサーに引っかかっているということである。


納 得 が い か な い




僕はギリギリで会社に着くと、先輩や同僚に聞いて回ってみた。「最近、職質やたら多くないですか?」と。同じ勤務場所にいる仲間たちだ。駅からは皆、ここまで歩いて通勤してくる。

全員から「職質など受けたことがない」という答えが返ってきた。職場に仲間などいなかった。



どうにも腑に落ちない僕は、休日に通っていたスクールでも愚痴を漏らしてみた。
そこで若手だった僕は、もっぱら「好青年」という印象を持たれていたからだ。
だが、一人の先輩が衝撃の一言を放った。



「あー、くまジュニアくん、パッと見、不健康そうに見えるもんねー。」

!?



絶句した。



だが、腑に落ちてしまった。
そうだ。僕は決して、悪そうにも、強そうにも見えない。

しかし年齢の割には華奢で、痩せていて、色白で、にこにこヘラヘラしていて、それはつまり……


クスリ、やってそうってこと?




工エエェェ(´д`)ェェエエ工




こっちなの、オレ?

『哲也-雀聖と呼ばれた男』講談社
原案:さいふうめい 漫画:星野泰視


「記事にAIが…… 」
「透けて見えるんだよ……」


見た目と雰囲気で、あらぬ疑いをかけられて職務質問を受けまくる。

不憫な「職質男子」が、爆誕した日である。


この記事は、下記のアルロンさん主催企画に応募させて頂きました。


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