【解答】No.007:おすすめの惨劇
はじめに
この記事は、解答編になります。
問題にチャレンジしたい方はリンクの方を先にご覧ください。
【問題】
女は夜、自室でくつろぎながら、いつものようにSNSのショート動画を眺めていた。
ふと目に留まったある動画を再生した数秒後、女は絶望し、そのまま命を落とした。
一体、なぜ?
【解答】

流れてきた動画に、「今まさにスマホを見ている自分の後ろ姿」が映っていたから。
女がSNSをスクロールしていると、自分の部屋と間取りがそっくりな家を映した動画が流れてきました。
「よく似た家もあるものだ」
と興味本位で眺めていた次の瞬間、画面の中にはスマホを操作している「自分自身の後ろ姿」が映し出されました。
それは似ている部屋などではなく、今まさに背後に潜んでいる何者かがリアルタイムで撮影・投稿した映像だったのです。
一人しかいないはずの部屋に「もう一人」いることを悟った時には、すでに手遅れでした。
■ 思考のロジック:デジタルが暴く「物理的な死角」
この問題の面白さは、「画面の中の情報」が「現実の危機」に直結するタイムラグにあります。
1. 「ショート動画」という舞台装置
SNSのレコメンド機能(おすすめ)は、本来ユーザーの好みに合わせた楽しい動画を運んでくるものです。
しかし、このパズルではそのシステムが「死の宣告」を運んでくる装置として機能しています。
2. 客観視の罠
人は画面の中に自分と似たものを見つけたとき、最初は「他人の空似」や「加工」を疑います。
しかし、服装、間取り、そして自分が今まさに画面をスクロールした指の動きまでもが一致した瞬間、「デジタル(動画)」と「アナログ(現実)」が同期します。
3. 絶望の正体
「動画が投稿されている」ということは、自分の背後には「カメラを構え、投稿ボタンを押した人間」が確実に存在しているということです。
数秒というわずかなタイムラグが、彼女に「抵抗する時間」ではなく「自分の死を理解する時間」だけを与えたのです。
■ 編集後記:アルゴリズムの残酷な「おすすめ」
「プライバシーは、画面を閉じれば守られる」
私たちは心のどこかで、そう信じていないでしょうか。
今回の記録を整理していて、一番ゾッとしたのはタイトルの意味です。
SNSのアルゴリズムは、私たちが興味を持つものを正確に選び出し、「おすすめ」として提示します。もし、誰かがあなたの死をプロデュースし、それをリアルタイムで世界に発信していたら……。
システムは忠実に、それをあなた自身に「おすすめ」してしまうかもしれません。
スマホの光に夢中になっている間、私たちはあまりに無防備です。
画面の向こう側の世界に没入しすぎると、物理的な「背後」という死角が、文字通りの命取りになる。
今夜、SNSを眺めているあなたの背後は、大丈夫ですか?
ふと流れてきた動画の中に、もし見覚えのある服を着た後ろ姿が映ったら……。
その時は、どうか振り返らずに、全速力で逃げて。
また、次の謎でお会いしましょう。
