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新宿を彷徨い歩く


大人になったから、言葉が前より出てこない。
かわりに、新宿を彷徨い歩く。
初めて撮った長編映画が、新宿の映画館で上映される。そのチラシを持って彷徨い歩く。
東口、ルミネの前の広場からテアトルに向かって、煙草吸って、また花園神社から歩いた。
今日はお祭りやってた、祭りの匂いは好きです。映画の上映も祭りだ、また酔っ払いそうになるから一回ひとりで外の空気を吸う。
お金は無い、未来の確約もない、自分にあるのは夢だけ、この映画をちゃんと形にしないと、お腹に彫った天使たちが私を見てる。
成り上がり。
歌舞伎町の電話ボックスにチラシを置く、願いを込めて、というよりはいたずら心で。
誰かが朝方に項垂れていて、その横にこのチラシが落ちてたらいいなって思った。
街に落ちてる缶とか、ゴミ、自分みたいだなって思ってた。
この映画が必要な人って誰だろう。
そんなこと考えずにとりあえず撒けばいいのに、正直そんなことばっかり考えてしまうし、女の子たち、歌舞伎の人たち、これ観てどう思うんだろってもっとリアルになれなかった自分を恨む。
9時から6時まで会社で働いて、その後、映画館に向かう。
この街にはどこにも向かう場所がない人もいるはずで、私はどこにも向かう場所がない人だったから、映画館が好きだった。
5/28.29.30 テアトル新宿が、この街の誰かの向かう場所になるといいな。
そこで、会えるといいな。
うまく喋れるかわからないけど、うまくやる必要も意外となかったりするのだ。
自分にとっての宝物の「天使たち」は、誰かにとってはゴミかもしれない。
だけど、自分にとっては宝物だってこと、そしてそれを宝物だって扱ってくれる家族みたいな友達たちがいるってこと。
リアルはここにあるよって、自分で自分に言ってあげる。

5/23 の新宿の路上から
木村ナイマ

「天使たち」公開まであと5日

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