【連載:クリエイティブ人材とは?】No.001.思考を整理しよう──いきなりコンセプトの話なんて無理でしょ!!──
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あの人は
なんであんなに優秀なんだろう…???
…という人って周囲にいませんか?
単純に「知識がある」とかではない異質さを持った人。いわゆる頭がキレる人。
あるいは
知識が武器の形をしている人
…といいますか。
そんな人にどうやったらなれるのか?
企業はどうやったらそういった人材を育成できるのか?
そんなことを日々考えております…BEAVERの中の人、のののです。
この連載は「クリエイティブ人材」に関する話をしていくものです。
実は今まで、クリエイティブな「思考」に関する記事は何度か出していますが、体系的には説明していませんでした。そもそも体系的にまとまったものが無いのも実情かもしれません。少なくとも、極めて情報が少ない。
おそらく、この分野でもっとも有名な書籍はこちらですね。
「思考の整理学」

著者:外山滋比古
出版:ちくま文庫
初版:1983年(筑摩書房)
「東大・京大で一番読まれた本」
として、約40年以上に渡りロングセラーになっています。
実際、「思考すること」への関心自体は強いのです。
でも、体系化されていない気がします。
学問体系としては、認知心理学や行動経済学、論理学・情報科学・哲学に含まれてはいますが、分散しており、体系化されているとは言い難いです。
BEAVERでは建築に絡めつつ、
「思考することそのもの」
…に関する記事をいくつか織り交ぜて配信しています。
今までの該当記事は
#クリエイティブ思考_bn というタグにまとめています。
( _bnはBEAVER NETWORKの意味の固有タグです )
しかし、内容にあまりピンとこない人が多いとも思っています。

今回はこれについて、連載にて回数をかけてしっかりと解説したいと思っています。
※一部有料記事にするかもですが、大事な部分はちゃんと説明しますね。

世の中には様々な大学があり、様々な学科があります。
とりわけ、
「建築学科」という魔窟
がありましてですね…
特に意匠設計…いわゆる建築のデザインを志す研究室はだいぶ個性的、というか百鬼夜行みたいになってます(偏見)。
…で、彼らに求められることが多いのは
「この建築のコンセプトを考えて!」みたいな要求なんですよ。
これは建築設計に携わった学部生であれば必ず触れているはずの課題です。ここで設計課題に大きな差が出るのです。

明暗を分けるのは、「コンセプト」などという理解不能なものを「深掘り」したかどうか。それだけです。
まず「コンセプト」って何?から始まり…
うんうん、なるほどなるほど…と、時間をかけて調べることで…
あらためて
「コンセプト」って何なの?????????
…ってなるんです。

そういうものです。つらいのよ…!
ですが、ありがたいことに今はAIに教えてもらえるんですよ!
良い時代になりました。
せっかくなので、ちょっとチャッピー(ChatGPT)にきいてみましょう!
チャッピー:
一般的にいう「コンセプト」とは、物事の中心にある考え方・発想の軸のことです。
(中略)
一言でまとめると
コンセプトとは、すべての判断の拠り所になる「考え方の芯」です。
長いので省略しますが、実際にきいてみてください。
…理解できました?
おそらく、なんとなーく…はわかるのですが、これを「使う」側にまわるとなかなか難しいんですよね。
更に突き詰めると、そのうち…
「建築とは何か?」
みたいな話に発展しますが、今回は建築に限らない話にしたいので、割愛します…。これはこれで大事なんですけどね。

私たちが出会う「知の体系」には4種類あります。
一般的にそう言われているのではありません。そう理解すると物事が整理しやすいという提案と捉えていただきたいです。私の戯言です。
それが、

この4つです。1つずつ解説しますね。
2-1.一般教養
「義務教育」というものがあります。
これが必要なのはなぜでしょうか?
日本での義務教育は中学生卒業までですが、高校まではあまり専門知識に偏らせることもなくバランスよく勉強をすることが求められます。
少なくとも、大学までの勉強体系は一般的に、「学問の基本をおさえる」ことに特化したものです。
これが
「一般教養」とよばれるものです。
「一般教養」という言葉は、どこか無難で、浅くて、誰でも知っている知識の寄せ集めのように聞こえるかもしれません。
しかし、一般教養とは、社会や世界を理解するうえで、これ以上削ると判断が不安定になってしまう最低限の知の集合です。適度にそぎ落とされています。
専門性や独創性に進む前に、多くの人が共有しておくことで、安心して思考を進められる「共通の足場」と言えます。だから義務教育下でここを根固めするのです。共通言語を得るために。
この構図は、医療の世界で使われる「標準医療」という言葉とよく似ています。標準医療も、平凡な治療を指しているわけではありません。
十分な検証と実績を経て、多くの人に勧めても「大きく外しにくい」と合意された医療が、標準医療として位置づけられています。
「一般」や「標準」とは弱さの印ではなく、多様な状況に耐えられることが確かめられた結果につけられる名前なのです。
過去の蓄積を編纂して体系化してきた、人類の英知。それが一般教養です。
このあたりの「過去の蓄積」については次の論文の話にも繋がります。
2-2.論理的思考
高校を卒業した頃…
優秀な人は既に出会うことになるかもしれませんが、
続いて出会うのが、論理的思考。
大学では「論文」というものに出会います。
ここでつまずく人が多いんですよね。大学卒業時点でもしっかり身についていない人もたくさんいます。
まず、「事実」と「解釈」を分けること。
ここは徹底する必要があります。
1次情報とは何か?2次情報とは?という、情報には品質があるということについて叩き込まれます。その「事実とされるもの」の質が問われるのです。
そして、その価値についても。
信頼性の高い情報を論理的に組み上げ、
そこから新しい知見を導き出して提示すること。
それが「論文を書く」ということ。
この論文を書く過程で得られる(ことが多い)能力が
論理的思考です。
これを一言でいうと 「筋道を立てて考える力」です。
正直、多くの方が様々な方法で論理的思考について説明していると思いますので、ここで詳しく語る必要はないとは思っています。
ただ一つだけ…
「事実」ってすごいんですよ!
ということは言わせてください。
私たちが今「事実」だと思っていることの多くは、
実は突然ポンと現れたものではありません。
これらは、世界中の研究者たちが書いてきた、膨大な数の論文の積み重ねによって、少しずつ形づくられてきた成果です。
たとえば、「風邪をひいたら安静にして水分をとると回復しやすい」という話。
これも誰かの思いつきや経験談だけで決まったものではありません。
体の仕組みや免疫の働き、治癒過程を調べた、数えきれない研究結果が積み重なって、「そう言ってよい」と判断されてきた知見です。
これは、原理が完全に把握されていなくとも、サンプル数で判断される場合もあります。だから「そう言ってよい」なのです。
ここで大事なのは、これらの研究が「なんとなく」集まったわけではない、という点です。
仮説を立て、検証し、結果を整理し、反論にさらし、それでもなお筋が通っているかを確かめる。そうしたプロセスを経てはじめて、知識は「事実」として扱われるようになります。
つまり、「事実」とは感覚や印象の集まりではなく、論理的に考え、筋道を立てて確かめてきた結果だということです。
この検証プロセスこそが論理的思考です。
今、目の前にあるすべての「事実」は、
「論理的思考」に基づいて、人類が時間と労力をかけて築き上げてきた、かなりすごい到達点
なのです。
ここを理解していることは新たな何かを思考することの原点になります。「論理的思考」は、間違いのない積み重ねをしていく基盤となる思考能力になのです。
2-3.創造的思考
続いては、創造性について。
すぐ「苦手です!!」って思っちゃう人はちょっと待ってください…!
これは日頃より絵を描いている人や、選んだ職業によって左右されるため、非常に能力の個人差があるのは確かです。
創造というと、
天才性・センス・ひらめき
というものが挙げられそうですが、
これらは意図的に排除します。
再現性がなければ扱えないからです。そして必ずしもそれは必要ありません。
ここでは
創造的思考とは、
内的なアイデアや仮説を、外部に取り出し、試し、変形し、更新していく思考である。
と定義します。
「創造的思考」=「出力を司る思考」
と、そう理解してください。
いくら知識があって、いくらAIを使うのがうまくても、出力しなければ世の中には出ていきません。あなたの価値は示されません。
頭の中身を世の中に出すこと。
これは非常に大事な創造行為なのです。
では、「出力」というものを3つの軸で考えてみます。
①出力する(外在化)
創造的思考が弱い人は「考えが浅い」のではなく、出すまでが重いということが言えると思います。
日頃からよく使う、手に馴染むツールがあって、様々なソフトウェアやAIの知識を持ち、すぐに、あらゆる手段を持って、あらゆる媒体で、あらゆる形で出力できる能力。
これは「出力」する上で非常に重要な要素です。
② 仮のまま扱う(未完成耐性)
ここは少々、意外性がある内容かもしれません。
完成させなくていい、正しくなくていい、恥ずかしくていい
このような
「仮であること」を許容できるかが、創造的思考の分水嶺です。
ソフトウェア開発において、「MVP」という概念があります。
Minimum Viable Product(実用最小限の製品)を意味し、必要最低限の機能を持つ製品を素早く開発・リリースし、顧客からのフィードバックを基に改善を繰り返すことで、市場ニーズに合った製品へと成長させる開発手法。
最低限の機能…中核機能はどこか?
どこをおさえれば伝わってくれるか?の部分だけを重点的に作り込み、あとはさっさと出力してしまうのです。
これは才能ではなく、姿勢。誰にでも真似できます。
速度重視、回数重視、出力最重視!
それがこの考えの重要な部分です。
③ フィードバックを生かす(循環)
3つ目はフィードバックを生かして更新していく能力です。
他者からの反応、環境の制約、ツールからの返り、AIの出力…
これを、評価や正誤としてではなく、思考を更新する材料として扱うこと。
建築であれば、模型でボリューム模型を作ってみたり、3DCGで概形を作ってみたりして、アイディアをざっくり出力。その出力結果を目で見て自身にフィードバックするということをよくやります。
出力して手ごたえを得て、調整を加えてまた出力する。この循環を回すのです。
①出力する(外在化)
② 仮のまま扱う(未完成耐性)
③ フィードバックを生かす(循環)
この3つを合わせて、創造的思考と呼んでみます。ここに才能やセンスは必ずしも必要はありません。
2-4.メタ思考
さて…
高校までで「一般教養」を学び、大学で論文を書きながら、あるいは課題などを通して「論理的思考」を叩き込まれる。専攻や趣味によっては、絵を描いたり、プログラムを動かしてみたりした人もいるでしょう。その過程で、「創造的思考」が鍛えられている人もいるかもしれません。
…そしてその次の段階。
それが
メタ思考です。
メタ思考とは…
いま自分がどのように考えているかを一段引いて捉え、思考の前提・視点・使い方そのものを調整する力です。
この役割を一言で言えば
視点の制御と操作。
この思考は、答えを出すための思考ではなく、どの思考を使うべきかを判断するための思考とも言えます。
そのため、創造や論理と結びついたときに初めて力を持つのが特徴です。メタ思考は「賢くなる力」や「上位の才能」ではありません。
思考の前提や視点を自覚し、状況に応じて思考の使い方を選び直すための能力、と考えた方が適切です。
この能力は非常に汎用性が高い能力であると同時に、年齢を重ねたからと言って体得できるとも限らない能力であることがミソです。
いうなれば、
一般教養のような勉強の体系とは根本的に異なる学習体系がそこにあるイメージです。
場合によっては、人生で出会うことすらないこともある知の体系…あるいはその思考法。
漫画で言えば、
「HUNTER ×HUNTER」でいう「念」能力
「鬼滅の刃」でいう「呼吸」や「透き通る世界」
「呪術廻戦」でいう「黒閃」
…のような、主人公を大幅に強化するきっかけとなる能力に近いです。
大げさではなく、たぶん、極めて近い。
(私、残念ながら「念」は使えないんですけどね…)
でも「念は奥が深い」というように、会得すべきスキルの段階があります。体得してからもこのスキルを磨く必要もあります。使いこなすためには、必ず訓練が必要です。
ただ、その最初の一歩…きっかけさえあれば自分でその思考を深めることができるようになります。
でも、
きっかけが無いと出会うことすらない。そんな能力。
つまりこれは、
生きる上で全く持って必須ではないが、持っていると極めて有利なスキル
と言えるでしょう。
(何それ怖い…)
それが「メタ思考」のちょっと厄介なところです。
この考え方は、単体で考えるのではなく、他の思考との関係性の中で理解した方がいいかもしれません。
よって、ここまで出てきた4つの思考をおさらいします。

さて…ここまで、私たちが義務教育を経て、順番に出会っていく「知の体系」4つについて、1つずつ説明しました。
人によってはメタ思考の学習が先行する場合もありますが、「創造的思考」はセンスや才能だと諦めてしまったり、「論理的思考」と「メタ思考」には出会ったことすらない…そんな場合も多いです。特にメタ思考はそれが顕著かもしれませんね。
この4つの考え方は、
「創造的思考」で説明した「出力」を軸に考えると、かなり理解しやすくなります。
一般教養
→ 出力のための原材料・思考の基盤論理的思考
→ 出力を破綻させない能力メタ思考
→ どの出力を選ぶか制御・選択する能力創造的思考
→ 出力を発生させ、循環/改善する能力
こう整理すると「メタ思考」の役割が理解しやすいのではないでしょうか?
冒頭に述べたような
あの人は
なんであんなに優秀なんだろう…???
という疑問…その答えは、この4つの能力の体系を自覚してコントロールできるかにあるのです。ここに才能なんて不要です。きっかけと訓練。それだけです。

普通に生きるうえでは出会うことすらない能力。
でも知っている人は当然のように知っている能力。
そういったものが実はあります。だから、「優秀」な人はそもそも見ているものが違うのです。
ただ、あなたは縁あって、この文章を読んでいただけたと思いますので、きっかけの部分はクリアです。あとは訓練ですね。
さて、その訓練を進めるにあたって、冒頭の内容に戻りましょう。
「コンセプト思考」…とは?
の話へ。
正しく一気通貫した「コンセプト思考」は、これら4つの思考が高密度に統合されたときに“立ち上がる状態”です。
到達点というより、条件が揃ったときに起きる現象に近い。
少なくとも私は、そう位置付けています。
これを自在に使うようになるためには、極めて高い、情報の統合能力が必要です。それくらい難しいと思っています。
要するに、建築学科に入って段階的な説明なしに、「コンセプトを考えてみよう!」だなんて…それは無理ですよ…と言いたい!!
…とはいえ、形から入ることを強要されることで能力開花することはありますので一概に悪いとは言えませんけれどね。私もそのクチですので…笑
コンセプト思考は
全国規模の建築コンペに勝つ人には必須スキルであり、あるいは「クリエイティブディレクター」というクリエイターのトッププレイヤーみたいな仕事の根幹を成す能力でもあります。
そんなすごいスキルに
建築学科で意匠をガッツリ学ぶと、その程度はどうあれ、この「コンセプト」に触れざるを得ないのです。
だから冒頭で、建築学科を「魔窟」と呼んだのです。
無茶振りにもほどがある!!
(美大もその類かも…。)
だからこそ、「建築学科はいいぞ…!」って思います。
ここまでの話、全部理解できますもの!(頑張れば)

かなり長くなりましたが、ここが肝です。ずっと肝なんですが、特に肝な部分です(?)。
ここまでの考え方…ちょっと既に複雑ですよね?
読む人が読むと、よくまとまってる、とか思っていただけるのかな…?なんて思いつつ、いかんせん長い。
少なくとも、先ほども述べたように、思考の4要素に関しては「出力」を軸にすることでかなり理解が進むので、もう一度おさらいしましょう。
一般教養
→ 出力のための原材料・思考の基盤論理的思考
→ 出力を破綻させない能力メタ思考
→ どの出力を選ぶか制御・選択する能力創造的思考
→ 出力を発生させ、循環/改善する能力
これをどう理解し、整理し、活用していくか……
ここまでの内容をBEAVERなりに図案化したものがこれです。
「思考の三角錐」

構成としては、「一般教養」を底面とした正三角錐です。
そして「論理的思考」「創造的思考」「メタ思考」が各頂点の要素として、錐の頂部へと立ち上がり、統合される構図になっています。
縦軸(三角錐の高さ)は
・各思考の統合度合い
・使える思考の範囲
を示しています。
縦軸はLv.1~3の三段階で示しており、
・Lv.1:「部分的統合」
・Lv.2:「複合的統合」
・LV.3:「高密度複合領域」
としています。
この構成を覚えるだけで、
「思考」というものの形と必要なスキルセットが一通り理解できると思っています。そういう設計にしました。
この「立体的に整理」する、という案は「料理の四面体」という名著をヒントに考案したものです。内容自体は全然違いますので直接参考にならないとは思いますが、これは世の中に存在する…あるいはまだ存在しないもの含め、すべての料理を分類できる、超すごいモデルです!

著者:玉村 豊男
出版:中公文庫
初版:1980年
ただ、今回はここまでです!
この記事では、「考えること」に深く踏み込み、どうやったらそれを1つの文脈で整理し、理解できるかを考えました。
そして生まれた「思考の三角錐」モデル。このモデルを使うことで、世の中をどのように理解できるのか?その有効性を順次説明していきます。

次回はいよいよ本題です。
ここまで前段です。笑
次回は、この「思考の三角錐」を使って、
優秀に見える人たちの思考を分解して考えてみます。
論理は強いのに何も生まれない人。
出力は多いのに評価されない人。
そして、なぜかすべてが噛み合って見える人。
才能やセンスの話は一切せず、
なぜそう見えるのかを構造だけで説明します。
お楽しみに!

…とここまで書いたところで、
もう少し基礎的な部分から考えたほうがいいかも!
などと思い至り、1つシリーズを書き始めました!
「思考の地図」というシリーズです。
この記事が直接的に繋がる部分は下記になります。
ぜひご覧ください!
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