【建築のタネ】視線の方向
視線の方向
─視線スイッチで空間を操ろう─
No.062
日常の視線は水平に流れるもの。でも、ふとしたきっかけで上下に切り替わる瞬間があります。階段や吹き抜けといった仕掛けを上手に活かすことで、空間に驚きや発見を与えることができるのです。

■人の視線は「環境」で変わる
広大な草原では、自然と水平線をなぞるように視線が動きます。けれど、螺旋階段が現れたら? 目は否応なく上下に誘導され、空間の高さや奥行きを意識し始めます。 こうした「視線のスイッチ」は、空間を操るヒントそのもの。設計の初期段階から意識しておくと、空間体験がぐっと豊かになります。

画像:PR TIMES より引用
特にこのような地下空間は天井がそこまで高くできないので非常に水平性の高い空間になる。しかし、この写真のように適切な位置で天井高さを切り替えることで、場所が切り替わっていることを暗に示すことができる。サインと照明の配置もよい。
■「階段」と「吹き抜け」の活用
階段は、単なる移動のツールではありません。 むしろ、視線を上下に動かす「装置」として捉えるべき存在です。 例えば、階段を上りながら自然と目に留まる位置にアートや小窓を仕掛けると、移動の過程そのものが特別な体験に変わります。 吹き抜けもまた、視線の方向を変える強力な装置。 大胆な素材を壁に使ったり、天井に意外性のあるデザインを施したり。上を見上げた瞬間、心を奪われるような仕掛けを潜ませるのも一つの手です。

設計:原 広司
写真:スカイビル公式WebPage
エスカレーターは特に演出性が高い空間。立ち止まるしかないので、どうしても視線がまわりに移る。上昇しているときは、ついつい上を見てしまう。そんな場所です。
■まとめ
視線のスイッチを意識すると、空間の表情がぐっと多彩になります。 階段や吹き抜けといった「視線誘導の装置」をうまくデザインに組み込み、印象に残る空間づくりに挑戦してみましょう。
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