【建築のタネ】緑化建築
緑化建築
─草木を放っておけば豊かな自然になる?─
No.102
自然は素晴らしい!という人は多いですが、その「自然」というのは、じつは極めて人工的な介入によって成立している場合がほとんどです。少し解説します。

■緑化建築と「自然」の定義
緑化建築と聞くと「自然」を連想しますが、そもそも「自然」とは何を指すのでしょうか?
人の手が一切入らない原生林のようなものか、それとも公園や庭園のように維持管理を前提とした緑地も含むのでしょうか?
サムネイルに描いた「アクロス福岡」(1995年竣工)は、「アクロス山」として親しまれ、建築と緑が調和する象徴的な存在となっています。竣工当初に植えられた木々だけでなく、鳥が運んだ種が芽吹き、年月を経て小さな森のような生態系が生まれました。

しかし、この「自然」は完全に放置されたものではありません。植物の成長に伴う構造負荷の調整、土壌の補充、排水機能の確保など、継続的な管理と技術的な工夫によって成り立っています。アクロス山は、細やかな手入れによって成り立っている素晴らしい自然環境なのです。
この物件が気になった方はこれを機にぜひ「エミリオ・アンバース」の建築をご覧ください!
■ 緑化建築の可能性と課題
近年、都市部での緑化建築は、生態系の再生や気候変動対策の一環として注目されています。しかし、実現には以下のような課題も伴います。
◇構造的な問題
・土壌や水分の重量が増し、建築が受ける荷重負荷が大きい。
・樹木の根が建築構造に影響を及ぼす可能性がある。
◇技術的な課題
・防水・排水・潅水システムの適切な設計が必要。
・生態系を維持するための土壌改良が求められる。
◇維持管理コスト
・放置すれば、計画的な緑地が荒廃するリスクがある。
・定期的な剪定や植生の管理が欠かせない。
こうした課題があるにもかかわらず、建築と自然が共生する姿は、大変魅力的な環境であり、建物が住民に愛されているケースは多いです。緑化建築は、持続可能な未来の都市デザインへのヒントを示しているのではないでしょうか。
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こちらも是非読んでほしいのですが、造園家の田瀬理夫 氏のインタビューです。アクロス福岡監修に関する背景を詳細に知ることができる素晴らしい内容です!
https://www.5baimidori.com/press/49.pdf (PDFが立ち上がります)
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緑化で大事なのは実はメンテナンス性への配慮だったりもします!ちょっとニュアンスは違いますが、大事な視点です。
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緑化建築を見たとき、私たちはつい「自然が増えてよいことだ」と言いたくなります。
ただ、今回の「建築のタネ」で扱った内容で興味深いのは、緑が増えるほどに「自然」という言葉の輪郭がむしろ曖昧になり、同時に“人工の責任”が濃くなるところです。
ここから先は、その曖昧さを設計の道具として扱うための「整理」です。
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