【建築のタネ】既成概念を壊す
既成概念を壊す
─新しさの追求は“壊す価値”の把握から─
No.068
建築設計において、新しいことを求められる場面によく出くわしますが、場合によっては今ある状況を「壊す」ことも必要になります。今回は、この「既成概念を壊す」ことの意義と注意点を考えます。

特にそれを「時の試練」に耐えてきたと表現することがあります。
■ 「車輪の再発明」に注意
建築設計では、常に「新しさ」が求められます。 そのため、「これまでの常識を打ち破るデザインを!」と意識することは多いでしょう。
しかし、既成概念には長い歴史の中で培われた合理性があります。むやみに壊そうとすると、逆に非効率で使いにくいデザインになってしまったり、これまでの技術的な経緯を知らずに同じものを発明してしまうことも多々あるのです。

©News Dog Media
例えばこれ…1916年ごろの写真なのですが
どこかで見たことありませんか??(リンクは文末にて)
■ 「壊す」ことは目的ではない
イノベーションを生み出そうとする際、「既存のものを否定すること」が目的になってしまうことがあります。
例えば、伝統的な瓦屋根は単なる装飾ではなく、断熱性や耐久性に優れた機能を持っています。これを「古臭いから」と取り払ってしまうと、気候に適した優れた技術を失うことになりかねません。
長い期間、「時の試練」に耐えてきた事実は大きな実績なのです。
■ まとめ─壊すときこそ、その構造を知ろう
新しいアイデアを生み出すには、まず「何が問題なのか」を明確にしなければなりません。 既存の建築技術やデザインの意図を理解した上で、そこに潜む課題を見極め、必要な部分だけをアップデートするのが賢いやり方です。そしてその部分がもっと大きな枠組みの中にあることにも頭に入れておく必要があります。

思わぬ事態を招くことがあります…!
4o Image Generation
「既成概念を壊す」のではなく、現状を把握して「進化させる」視点を持つことが、新しさを生み出す鍵になるでしょう。
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その課題は「建築の射程範囲内なのか?」という、新しい取り組みの最初の部分は、こういった根本的な部分が非常に大事になります。
また、今後登場する「アウフヘーベン」という弁証法の一種の概念も、「現状を把握して進化させる」という考えに通じる部分がありますので要チェックです!
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冒頭の方で触れた、昔の電動スクーターに関しては下記の記事が詳しいです。燃費が非常によく、一時期は重宝されたようですが、車体が45kgあったためその取り回しの悪さや、犯罪で使われるケースが増えたために徐々に廃れた経緯があるようです。
また、事故が多発したために当時も物議を醸していたようで、それがその一因だったとも書かれています。
一般的に、車輪が小さくなると安定性が低下すると言われています(ジャイロ効果・トレール・質量分布等の兼ね合い)ので、こういった過去の状況や技術的な裏付けを知っているかどうかで、アイディアの質はその説得力に大きな差が生まれるのです。
なにごとも、まずはよく調べましょう。
