【建築のタネ】ラインの生き死に
ラインの生き死に
─線に宿る感情─
No.036 #建築 #建築設計 #建築学生
#思考の拡張_bn
建築のデザインプロセスでは、初期スケッチに描かれる自由なラインが、やがて整えられ、精密な図面へと変化します。しかしその過程で、初めにあった勢いや感情が失われていないでしょうか。

■フリーハンドに宿るもの
たとえば手描きスケッチや模型に現れる自由なラインには、設計者の感情やリズムが宿っています。ですが、CADやベジェ曲線で清書を行うと、精密さを得る代わりに、そのエネルギーや個性が薄れてしまうことがあります。これは、道具の選択やテクノロジーの進化が、設計表現に与える影響とも言えるでしょう。
■ラインの再現性と意図の継承
ラインの「生きた感覚」を維持するためには、どうすればいいのでしょうか?初期に込めた意図や感覚を、どのように再現・継承していくか…?
デジタルとアナログの橋渡しを意識しながら設計を進めることが重要です。
その具体例がフランク・O・ゲーリーの事務所で採用されていた「CATIA」という技術です。これは今でいう模型を3Dスキャンする技術ですが、これを導入したのが1991年。
驚くべきことに、日本にインターネットが普及したとされる1993年よりも前の話なのです。

グレッグ・リンによるリック・スミス(3DCAD技師)へのインタビュー記事より

写真:Wikipedia(Photograph taken by User:MykReeve)
この技術は模型という手仕事による複雑極まりないラインを、正確にスキャンすることで建物として実現可能なものに落とし込む技術でした。模型から生きたラインを抽出するという、技術的な背景が、かの有名なビルバオ・グッゲンハイム美術館を生み出したのです。
…とはいえ、所長であるゲーリー自身はこういった先端技術を軽視する傾向があったようで、技師のリック・スミスはゲーリー事務所に1991年に入所して技術的に貢献するも10年後に解雇されてしまっています。
■まとめ
ラインは空間を生み出す原点であり、その「生き死に」に敏感であることが、建築における豊かなデザインの鍵となります。初期の線が持つ生命力を、建物として実現させるという最終形までいかに保ち続けられるか。その意識が、設計者にとって重要な問いとなるでしょう。
そのためには、技術鉄器な壁や素材の選定知識まで、あらゆる障壁を乗り越える必要があることでしょう。
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