【映画ログ #46】どんな過去があろうとお前はただのクソだ。佐藤二郎主演「名無し」は救いを徹底的に排除した怪作映画だった。
こんにちは。BECK Studio [Division ONE] 代表 BECKです。
映画の「名無し」を観てきました。
感想としては救いを排除した怪作サスペンススリラーでした。とにかくどこまでも救いがなく、変な救いを求めていない人には刺さると思います。
上映時間が82分間しかないので、観る前は「そんな短い時間でサスペンスが成立するのかな?」と疑問だったのですが、とても上手くコンパクトにまとまっていて、ストーリーが破綻しているとかも無かったですよ。上映時間が短いので無駄なシーンが全く無かったです。逆に、短いからこそ成立していた作品と言えるのかもしれません。
右手に持ったものが見えなくなる(触れたものが生物だった場合はそのまま死ぬ)能力のある男・山田太郎が見えない凶器で連続大量殺人を重ねていくストーリーで、その山田太郎を佐藤二郎が演じています。
佐藤二郎といえばアドリブなどでかなりクセのある演技が目立ちますが、この「名無し」では、「顔をヒクヒクさせる」と言う特徴はありつつも、セリフがほぼないのでクセはかなり抑えめになっています。
どこまでも山田太郎の話なのですが、山田太郎が主役というより、作品全体を覆う「理不尽さ」そのものが主役という感じがしました。
「なぜ触れたものが見えなくなるのか」は説明されませんし、この作品には特に説明はいらないかなと思います。
山田太郎には理不尽で悲しき過去があるのですが、全然共感できない物語構成になっています。山田太郎を追う刑事の国枝(佐々木蔵之介)も山田太郎に「どんな過去があろうとお前はただのクソだ」と吐き捨てています。(実は国枝も理不尽な過去を抱えています)
凶器が見えない、というだけでここまでパニック感を増せるのだなと、綿密な演出に感心しました。
ちょっとご都合主義的な箇所もなくはないのですが、そこまで気になるほどでは無かったです。
エンドロールで流れるNovel Coreの「名前」も作品の悲哀を表した、とても作品に合った曲に仕上がっていました。
佐藤二郎原作で漫画版もあるので、機会があれば読んでみようかと思います。
劇場でパンフレットとステンドグラス風しおりを買いましたよ。

公開終了前に是非、劇場で観てみてください。
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