サッポロラガービールは熱処理ビール。パストリゼーションと日本酒の火入れについて…
ビールはコミュニケーションツールです。
先日、東広島市「西条」で弟子の高さんと達也と部屋飲みをしていた時のこと。
高さんが手にしていたのは、期間限定発売のサッポロラガービール缶でした。
通称「赤星」。
日本で現存する最も歴史あるビールブランドです。
1877年(明治10年)、開拓使麦酒醸造所から発売されて以来、多くの人に愛され続けています。
赤星の特徴の一つが、
「熱処理ビール」
であることです。
最近のビールの多くは熱処理を行わず、ろ過によって酵母を取り除く「生ビール」です。
一方、赤星は完成したビールを加熱処理することで品質を安定させています。
この工程を
パストリゼーション(Pasteurization)
と呼びます。
パストリゼーションとは、
おおよそ60~65度程度で加熱することで、微生物や酵素の働きを抑え、保存性を高める技術です。
名前の由来はフランスの科学者ルイ・パスツール。
ワインやビールが腐敗する原因を研究し、
「微生物が品質劣化を引き起こしている」
ことを科学的に証明しました。
その功績から、彼の名前を取ってパストリゼーションと呼ばれるようになりました。
ところが先日、
元アサヒビール専務であり、マルエフやスーパードライの開発に関わった醸造責任者の廣野辰彦さんの講演を聞いていた時のことです。
スライドに「パストリゼーション」という文字を見つけました。
そこで私は質問しました。
「これ、日本酒の火入れと同じようなものですよね?」
すると廣野さんは、
「そうですね」
と答えられました。
さらに横で聞いていた石川達也杜氏が、
「日本酒の火入れは、パスツールより何百年も前からやっていますよ」
と教えてくださいました。
日本酒で「火入れ」が始まった時期について…
廣野さんは三百年くらい前。
石川杜氏は四百年くらい前。
そうおっしゃっていました。
正確な年数はともかく、
少なくともパスツールが科学的に証明する何百年も前から、
日本人は経験的に知っていたのです。
酒を温めると傷みにくくなる。
腐敗しにくくなる。
品質が安定する。
だから火入れを行う。
科学的な理論はなくても、
長年の経験から得た知恵として、
酒造りの現場には受け継がれていました。
そして後になって、
それを科学が証明した。
私はこういう話がとても好きです。
なぜなら、
技術や文化というものは、
必ずしも理論から始まるわけではないからです。
まず現場がある。
まず職人がいる。
まず経験がある。
理論はその後から追いかけてくる。
ビールを注ぐことも少し似ています。
「なぜその注ぎ方なのか」
と聞かれても、
最初はうまく説明できません。
けれど繰り返しているうちに、
体が覚え、
感覚が磨かれ、
やがて理由が言葉になっていく。
日本酒の火入れも、
最初は現場の知恵でした。
そしてその知恵が積み重なり、
技術となり、
文化となり、
今日まで受け継がれているのです。
赤星を飲む時、
私はそんな歴史にも思いを馳せます。
150年前に造られたビール。
その裏側には、
多くの先人たちの挑戦と知恵があります。
グラスに注いだ一杯の向こうには、
長い時間の積み重ねがあるのです。
赤星を飲まれる方は、
ぜひそんな歴史にも乾杯してみてください。
日本初「ビール映画」日本の麦酒歴史(ヒストリー)
サッポロラガービール「赤星」の誕生物語
それは今から150年前のお話しです…

守破離「弟子への一言」
技術は本の中で生まれるのではない。
現場で生まれ、
人から人へ受け継がれ、
最後に言葉になる。
先に理屈を探すな。
まずは手を動かせ。
まずは続けろ。
理論はあとから追いついてくる。
麦酒百首
「熱を入れ 守りし酒の 知恵ありて 今に受け継ぐ 一杯の道」
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🍺ビールスタンド重富(銀山町本店)
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