【雑記/紹介/応援】大正浪漫に食と死を。神喰いの花嫁#創作大賞感想
ファンタジーが続いたのでホラー! でも、これファンタジーでも良い気がする。
名瀬口にぼし🍳さんは軸足をカクヨムに置かれている本格派の文章をお書きになる方です。アイコンからも名前に🍳が入っているところからも察するに、料理に対する並々ならぬ執念を感じます。作品の料理描写も、そこらのブロイラー🐤には描けぬ鮮やかさです。
昨年の創作大賞授賞式の参加報告記事でも美味しそうなオードブルを撮影されていたのが印象的。
「この美しい神さまを食べる私は、きっと世界で一番幸せな女の子だ」
神喰いの花嫁。それは神に嫁ぎ、神の肉を食べて死ぬ少女の呼び名である。大正時代風の世界を舞台に、死と再生を繰り返す神とその花嫁に選ばれた少女が出会い結ばれる。
生まれも育ちも違う四人の花嫁が、それぞれの幸福を見つけるジャポネスク・ジャズエイジ・ファンタジー。
そして章立てはこんな感じ。
1.桜の章 ―虐げられた少女―
2.菫の章 ―売り払われた少女―
3.椿の章 ―与えられた少女―
4.葵の章―死に損なった少女―
終章―神様を食べた少女―
ええ、そうです。お気づきですね。ヘビーっすよ。虐げられたり売り払われたり死に損なったりしてますからね。箸休めに骨皮筋衛門とか新米メイドとかを挟むことをお薦めします。が、挟んだ後には是非とも読んでいただきたい。
料理描写だけではないのですよ。全体的に風景・状況描写のレベルが高く、アニメを観ているように鮮やかに映像が浮かびます。確立された世界観の中に大正ロマンを感じます。この描写力だけで白飯三杯いけるやつです。
4つの章はそれぞれ主人公が異なり、同じ世界の短編として読むことができます。それぞれのあらすじをお伝えするとこんな感じです。
1.桜の章 ―虐げられた少女―
主人公の桜良は、格式ある武家の家の愛人の子。当主の父と生みの母が亡くなった後も使用人として家に残り、継母に辛く当たられる。ある日、神祇省の役人から桜良が神喰いの花嫁に選ばれたことを告げられる。
平たく言えばキラキラ度の少なすぎるシンデレラストーリーなのですが、ダークファンタジー過ぎてディズニーにはNGをくらうやつです。
2.菫の章 ―売り払われた少女―
育ててくれた祖母が亡くなり、叔父に売り払われた少女、菫玲。幼い頃から歌が上手く、都市の歓楽街で歌姫として名を上げた。歓声も、綺麗な衣装も、豪華な食事も、地位のある男性も、望むまでもなく貢がれる。多くの物に囲まれながらもどこか虚しさを抱える彼女のもとに、神祇省の役人がやってくる。
全体を通して思っていたけど、この章は特にアニメ版攻殻機動隊を彷彿とさせます。アニメ化するならプロダクションI.Gがいいな。
3.椿の章 ―与えられた少女―
椿咲は建築家の父を持つ、裕福な家庭の娘。何よりも食に対する執着が強く、美味しいものを食べるために生きている。神喰いの花嫁に選ばれたと知り、喜んでその日を迎える。
可愛らしい少年の神様を見ながら捌かれる様を想像できるなんて神経イッテんな、と思うはずなのだけど、そう客観視させない没入感のある文体です。
4.葵の章―死に損なった少女―
村の外れの鉱山が開拓されたことにより、次第に流行り病で村人が全滅。その中で葵依は他の村に住むヤブ医者に助けられる。後遺症はあるものの、静かに暮らしているところへ、神祇省から手紙が届く。
この話が、終章へと続く大切な布石となります。
実は最終章、つい1章が終わった後にチラ見しちゃったんですよ。当たり前だけど意味がわからなかったんですよ。ここまできて読むと、分かる。解脱だ。むしろ主人公はそっちか! と膝を打つのでした。
なんでこんなにスキが少ないのか謎な良作はこちらからどうぞ。
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