“若手”の肩書きが外れた夜──達×進藤と山縣が掴んだCSの大舞台 10/15 ファイターズ振り替えり

1,大一番での成長 達×進藤バッテリー

この日の達×進藤バッテリーは、数字以上に“試合の支配力”が際立っていた。
6回を投げて6安打・無失点・6奪三振(全て空振り)。序盤はフォークが浮き気味で初回に被安打2本、2回も走者を背負う場面があったが、3回以降は見違えるような尻上がり。球速帯は145〜151km/hを安定して記録し、フォークは137〜140km/h前後で、直球との球速差を最大15km/hほど確保していた。

特筆すべきは、「ストライクを見せて、ボールで仕留める」という一貫した戦略だ。
初球やカウント1-0から直球を見せ、打者の頭に“ストライクゾーンの高さ”を残した上で、膝下に落とすフォークや外へ逃げるスイーパーで空振りを奪う。三振6つのうち、高め直球が2つ、膝下フォークが3つ、スイーパーが1つと明確に分かれ、上下の目線操作が完全に機能していた。

5回には柳町に初球直球を打たれる場面もあったが、同じ左打者・栗原への打席ではフォークで見せてから148.7km/hの直球で詰まらせ右直。二巡目以降に合わせに来る打者へ、即座に配球パターンを切り替える修正力が光った。
6回には中村晃を低め変化球で意識を下げてから149km/h高め直球で三振、牧原を高め見せからのフォークで空振りと、完全に誘導して仕留める形。唯一の長打は今宮の二塁打(ゾーンに残ったフォーク)だけだった。

進藤はこの配球を支えるブロッキングで何度も膝をつき、「落として終わる」リードを信じて貫徹。6回の山川には迷わず敬遠を選び、リスクをゼロに抑えた。

数字の裏にあったのは、「ゾーンで勝たず、ゾーンを活かして勝つ」投球。
打者の目線とスイングを支配した結果、直球の見え方まで速く強く変わった。これが、データ以上に「尻上がりに良くなった」と本人が語った理由であり、進藤との呼吸が噛み合った証拠だった。

2,結果で表せない神プレー 山縣の視野の広さ

まずはこちらのプレーを見てほしい。

結果こそアウトにはならなかったものの「プロの中でもトップレベルの守備思考の速さ」を証明するプレーだった。
三遊間の深い打球を、まず捕球範囲の広さで止めている時点でかなりの技術。体の開きが少なく、腰の低さとグラブの出し方が安定している。
通常であれば深すぎて一塁は間に合わない打球だが、山縣は送球モーションの途中で瞬時に二塁へ切り替える判断をしている。これがまさに“守備脳”の高さだ。

ここで重要なのは、「あらかじめ二塁走者のスタートを視界に入れていた可能性」。捕る前から一塁送球だけを考える守備なら、体の向きを変える余裕はない。山縣は打球方向と走者位置を同時に把握しながら動いていた
送球を切り替えた瞬間の体のねじりや足さばきを見ると、判断の速さだけでなく、普段からの基礎練習で身体が反応するレベルまで落とし込まれているのが分かる。

ルーキーがCSの舞台、それも高い緊張感の中でこの判断を出せるのは異例。守備範囲の広さ、視野の広さ、判断の速さ、そして体の連動性。どれも“経験不足”では説明できない完成度だった。アウトにならなくても、「一歩目の反応」と「判断の転換速度」がプロの中でも上位にあると感じたプレーだ。

このワンプレーは、単なる守備の良さではなく、山縣という選手の野球IQがトップレベルに近づいていることの証明。日々の練習で培った「想定力」と「視野」が、CSという舞台で自然に表れた瞬間だった。

3,まとめ

投手と捕手、内野手。ポジションは違えど、共通していたのは“考える野球”の深化だった。
配球で打者を誘導し、守備で打者と走者を読む。点を取る以前に「試合を支配する力」が、確実にチームに根づいてきている。

若手という枠では語れない。彼らは「チャンスをもらった側」+「実力でその場をつかんだ側」としてプレーしていた。
CSという大舞台で“当たり前のように好プレーを見せる”ことこそ、チームが成熟に向かっている証だ。

後は結果だ。勝ち星を1つ挙げるだけでも大きく乗っていけると私は信じている。
去年からのCSファイナルステージの連敗を止めた時、ファイターズの野球はまた1段階進化するのでは。


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