Story16-『群青』
『報われない、と知りながら。それでも今日も、私は歌を録る。』
今日も、歌を録りました。
誰に頼まれたわけでもない。締め切りがあるわけでもない。 それでも私は、機材の電源を入れて、マイクの前に立ちました。
正直に言います。 昨日投稿した曲の再生数は、ほとんど伸びていませんでした。 スキの数も、フォロワーの数も、私が費やした時間の量とは、まるで釣り合っていません。
活動をしていても、売れない。 その事実が、今日はいつもより重く、胸にのしかかっていました。
嗚呼、手を伸ばせば伸ばすほどに 遠くへゆく 思うようにいかない 今日も また慌ただしくもがいてる
※YOASOBI「群青」より
この歌詞を初めて聴いたとき、私は自分のことを歌われているのかと思いました。
届けたい。もっと多くの人に聴いてほしい。 そう願って手を伸ばすほど、なぜか「届く場所」は遠くへ逃げていく。 踏み込むほど、苦しくなる。痛くもなる。
好きだから、始めたはずでした。 好きだから、本気になった。 なのに、その「好き」の分だけ、報われなさは深く突き刺さってくるのです。
数字は、残酷です。 それは私の努力の量を知らないし、私がどんな夜を越えてこの曲を作ったのかも知らない。 ただ、冷たい数字だけが、そこに並んでいる。
正直、今日は心が折れかけました。 「もう、意味がないんじゃないか」と。 誰にも届かないものを、なぜ私は作り続けているんだろう、と。
——それでも。
私は今日も、歌を録りました。
理由なんて、うまく説明できません。 「報われるから」でもない。「いつか売れるから」でもない。 そんな保証は、どこにもないから。
ただ、マイクの前に立つと、私の身体はまだ、歌おうとするのです。 報われないと、頭では分かっているのに。 それでも足が、この場所へ向かってしまう。
もしかしたら、それだけでいいのかもしれない、と今日は思いました。 報われることと、好きでいることは、たぶん別の話だから。
私はまだ、この報われなさの真ん中で、手を止めていない。 明日、状況が変わる保証なんてない。 きっと明日も、私はまた数字を見て、落ち込むのでしょう。
それでも、明日もきっと、私は歌を録る。
報われないまま、それでも歩いている。 今の私に言えるのは、ただそれだけです。
でも、もし今これを読んでいるあなたも、 手を伸ばすほど遠くへゆく苦しさの中にいるのなら。 報われないまま、それでも今日を歩いているのなら。
私たちは、同じ場所を歩いています。 それだけは、どうか覚えていてください。
「私は、光り輝く完璧なスターにはなれないかもしれない。でも、絶望を抱えたまま、この『終わらない旅』を続ける姿を見せることはできる。それが、私なりの『救い』の形。」
Story16-『群青』
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