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だってLOVEを入れてたもん

夫はカフェインがダメな人で、カフェではいつも決まってホットチョコレートを頼む。

「チョコレート感が足りない」
「ちょっとぬるいな」
「ホイップクリームがなかった…」

夫の注文はうるさい。ホットチョコレートに並々ならぬこだわりがあるようでいつも何かしら足りないらしく、おいしかったと聞く方が少ない。それでも毎回ラージサイズを頼み、スモールサイズの私のコーヒーがまだ半分くらいのところでもう飲み終わっている。そして最後はいつも決まって「あなたの作ってくれたホットチョコレートが一番美味しかったなぁ」と言う。

9年前、私の働いていたカフェに夫がふらりと立ち寄ったことで私たちは出会った。はじめて会った時からどこか懐かしい感じがして、私はすでにちょっと意識していたと思う。注文されたホットチョコレートを作っている間に少しだけおしゃべりをして、なんか良い人かも、なんてドキドキしながら仕上げのホイップクリームを気持ち多めにトッピングして…。今、思い出してキュン。

それからは常連客となった夫のホットチョコレートをつくりながら毎回少しずつ夫のことを知っていった。カフェインがダメなこと、この近くで働いていること、いちごのミルクシェイクも好きなこと。それまでのちょっと退屈だった毎日がうそのように一気に華やいだ。仕事に行くのが楽しみになった。

私の作ったホットチョコレートを一口飲んで「君が作ってくれるホットチョコレートが一番美味しい」と言ってもらえた時は心の中でガッツポーズをした。ちなみに日本語で書くと結構ガチな感じに聞こえるけど、こちらではわりとよくあるカフェでの褒め言葉。言われたのだって夫がはじめてではない。それでも当時の手帳に星マークで「例のあの人」なんてマークをつけるくらい嬉しかった。

「それは当然だよ、だってLOVEを入れてたもん」

夫を見つめる目をカッと見開きふざけた感じで夫のリップサービスに答える。それでも私は内心結構大マジである。

なぜなら夫が毎回絶賛してくれていた私の作っていたホットチョコレートは、高級チョコをミルクにとかしていたわけでも、カフェオリジナルのチョコレートパウダーを使っていたわけでもない、ただの市販のチョコレートミルクを温めたものだったんだから。

あい以外の隠し味はありません。そして、そのあいを感じ取れるくらいには夫も私のことがスキだったんじゃないのかい?どうなんだい?

夫にはハハハと笑って流された。


夫にはまだ真実を伝えていない



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Fried Green Tomatoes ここまで記事を読んでいただきありがとうございます。 いただいたチップは一時帰国のための資金として使わせてもらいます!そろそろエネルギーチャージが必要なので…