大人のための絵本に初挑戦しました――「ハラスメントの街で」
こんにちは、Bell note です。
前回、noteクリエイターページを刷新し、私の創作コンセプト「非日常のキリトリ線」をあらためて掲げました。
日常の中からほんのひと欠片を切り取り、非日常の光がそっと差し込む。
このコンセプトで作品として体現してみたのが、今回挑戦した 「大人のための絵本」 です。
絵本に込めたもの
現代社会は、マニュアルやルールで溢れています。
それ自体は必要なものですが、過剰に縛られることで、人は本来の柔らかさや人間らしさを失ってしまう――。
今回の絵本『ハラスメントの街で』は、そんな現代を寓話的に風刺しながら、「休むこと・緩むこと」の大切さを描きました。
少し不思議で、少し笑える。でも最後には「なるほど」と思ってもらえるような、大人の寓話を目指しました。
それでは、絵本をご覧ください。

人々は本ばかりを見つめ、前を見なくなっていました。
けれど、ベルノートは少しだけ違っていました。
――彼は“非日常”を知っていたから。

手からこぼれ落ちたのは――
一冊の“コンプライアンス・マニュアル”。

ベルノートは落ちた本を拾い上げ、 差し出しました。
けれど、その男の表情には―― どこか不穏な影が、よぎっていました。

『ハラスメントだ!』 空が裂け、雷鳴が街を震わせました。

目も開けられないほどの閃光の中、 彼は苦しげに叫んびました――

スーツは破れ、 文明の影は消えていく――。
そこに現れつつあったのは、 牙をむき、野生に戻った原始人の姿でした。

背後からは、怒りに燃えた原始人の足音が、地面を震わせて迫ってきます。

『ハラスメント!』 稲妻がまたたき、人々は次々と原始人へと姿を変えます。
混乱の渦は、止まることなく広がっていきました。

ベルノートは必死に走ります。 背後には、怒りに燃えた原始人の大群が――!

港は怒りの原始人で埋め尽くされ、海に落ちる者もいました。
船が岸を離れると、ようやく――ひと息つけました。

港に目を向けると、原始人たちが積み重なり、 ひとつの巨大な影を形づくっていました。
その姿は、まるで怪獣でした。

無数の怒りをまとった、ひとつの怪獣。
それは、人々の叫びが作り出した化け物でした。

だが、怪獣となったその姿は、海をも越えて迫ってきました。
ベルノートの船を追って――怒りの波が立ち上がりました。

だが安心している暇はありませんでした。
海の向こうでは、まだ怪獣が追ってきているのだから。

白い砂浜が揺れ、ヤシの木も震えました。
だが――島の人々は、まだ笑っていました。

『大変だ!みんな、逃げろ!』 けれど、南国の人々は笑顔で答えました。
――『テイク・イット・イージー』

『だいじょうぶ。だいじょうぶ。』
その声は、嵐のような恐怖をやわらげ、 波打ち際に広がっていきました。

その足音は地面を震わせ、波を荒れさせます。
だが、人々の顔に恐怖はありません。
――笑顔のまま、ただ陽の光を浴びていました。

怪獣の体はまばゆい光に包まれ、 大きな影はみるみるうちに縮んでいきました。
怒りは、太陽のような光に溶けていきました。

そこに立っていたのは、あの時ぶつかった男でした。
もう『コンプライアンスマニュアル』を抱えてはいません。
代わりに、南国の空気に似合う姿で、 静かに微笑んでいました。

そこに立っていたのは、すっかりリゾート仕様に変わった“ひと”。
浜辺の人々と肩をならべ、笑っていました。
その光景に、ベルノートは思わず目を丸くしました。

ベルノートがつれてきたのは、リゾートという“非日常”でした。
人は元の姿をとりもどし、笑いあいます。
ベルノートもまた、子どもからヤシの実ジュースを受け取り、肩の力をぬきました。
――非日常は、だれにでも必要です。
最後に
物語のラストでは、怪物と化した人もリゾートで笑顔を取り戻し、ベルノート自身もひと息つきます。
「非日常」は、逃避ではなく、人が人らしくあるために必要な時間。
この絵本は、そんな思いを寓話のかたちにしたものです。
忙しい日々の中で、あなた自身も“非日常のキリトリ線”を持っていますか?
大人のための絵本、はじめての挑戦でした。
いかがでしたでしょうか?
感想やひとことを頂けると嬉しいです。
これからも少しずつ形にしていけたらと思います。引き続き宜しくお願い致します🙇
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