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⏱️タイムトラベルフォトブック|振り返り🚃伊豆旅の記録

こんにちは、Bellです。
いつもこんなふうに、昔の写真を一枚ずつめくるようにして、旅の記憶をたどっています。

さて、今回の舞台は伊豆。
しかも──あの「ハトヤ」のCMが似合うような、昭和の香り漂う伊豆の旅です。

「伊東に行くならハトヤ、電話はヨイフロ♪」
子供の頃、テレビでこのCMを見かけるたびに、不思議なときめきがありました。海の中にあるガラス越しの大浴場、回転するレストラン、魚と一緒に泳げそうなホテル。まさに夢のリゾートでした。

実際に家族旅行で訪れた熱海や伊豆のホテルも、今思えばどこかこのハトヤの世界観に通じるものがありました。高度経済成長期の日本が、レジャーという言葉に浮かれていたあの頃──
館内にはお土産屋が並び、演歌のカラオケが聞こえ、エレベーターガールがいた時代の名残を、子どもなりに感じていたのかもしれません。

今回の旅は、そんな「昭和の伊豆」を彷彿とさせる、ちょっと懐かしい夏の記憶です。
2007年の夏、妻とともに訪れた西伊豆・土肥(とい)。そこには、今もどこか“あの頃の伊豆”が息づいていました──


最初の写真に刻まれていた日付は、2007年8月4日(土)。そして最後の1枚は翌日、8月5日(日)のもの。
つまりこの旅は、土日を使ったシンプルな一泊旅行でした。

きっかけは、久々にダイビングがしたいね、という話から。とはいえ、遠出するほどの余裕はなく、なるべく近場で潜れるところを探した結果、伊豆の土肥(とい)に決まりました。
都内からも比較的アクセスしやすく、それなりにポイントもあると聞いて、迷わず出発。ところが──

肝心の海は、想像以上に濁っていました。最初の写真に写っていたのも、そんな視界不良の中でのダイビングの様子。この写真を見た瞬間、ああ、そうだった……と記憶がよみがえってきました。
たしか、出発の少し前に台風が通過していたはずで、その影響で海中がかき混ぜられ、透明度はほぼゼロ。手を伸ばしても、自分の手のひらが見えないほどの濁り具合でした。

視界ゼロ

あまりに視界が悪いため、インストラクターの方がタンクを金属の棒でコンコンと叩きながら誘導してくれるのですが、それがなければ海中で見失ってしまいそうな状況。横も上も下もわからなくなってきて、正直なところ、楽しさよりも不安や怖さのほうが勝っていたのを思い出します。

そんな状態では、海の青さも魚たちの姿も楽しめるはずもなく……結局、1本だけ潜って、あっさりとダイビングを切り上げることになりました。

せっかくの旅なのに、思ったより早く予定が空いてしまい、さてどうしようかとホテルの部屋で妻と作戦会議。
当時はガラケーのみでスマホも持っていなかったと思います。結局、ホテルのロビーでもらった観光案内パンフレットが頼りでした。

泊まっていたのは「土肥マリンホテル」。
昭和感が色濃く残るその佇まいは、どこか懐かしく、まさに“伊豆らしいホテル”。館内には大浴場に卓球台、売店にはひと昔前の土産物が並び、どこかハトヤを思い出させる雰囲気が漂っていました。
このホテル、創業は1970年代とのことで、かつては家族連れや団体旅行客でにぎわったそうです。海水浴やダイビングを目的とした旅行者の拠点として、今もなお根強い人気があるとのこと。

ただ、歩いて行ける範囲に何があるかといえば──正直、あまり多くはありません。
唯一目を引いたのが、ホテルの目の前にある「土肥金山」でした。

土肥金山は、江戸時代から昭和初期にかけて操業していた本物の金山で、最盛期には佐渡金山にも匹敵する産出量を誇ったといいます。
今では観光施設として整備されており、当時の坑道を模したトンネルを歩ける見学コースや、砂金採り体験、資料館などが充実しています。館内には大きな金塊も展示されていて、ちょっとした写真スポットにもなっています。

「せっかくだから、行ってみようか」と、ぶらぶら歩いて入館。
坑道内は涼しかったような気がします。ダイビングの消化不良をちょっとだけ癒してくれました。
とはいえ、カップルで来て砂金採りというのは、なかなかのんびりしたレジャーで、こういう“時間を持て余す感じ”もまた旅の楽しさだったのかもしれません。


次の写真は、夕食の写真でした。
部屋食で、テーブルの上にはアワビのバター焼きと肉のステーキ。カニの甲羅に入った茶碗蒸しに、お刺身の盛り合わせ──そして、なぜかところてん。

アワビのバター焼き
牛ステーキ
蟹の茶碗蒸し
なぜか心太

全体的には、いかにも「伊豆の温泉ホテルらしい」食事。
豪華といえば豪華なのですが、どこか既視感のある、あの“旅館の夕食”という感じです。お品書きがなくても、たぶん7割くらいは予想できるようなラインナップ。

それでも、アワビや肉がちゃんと用意されていて、量もけっこうありましたし、当時の自分たちには十分ありがたく、満足感もありました。
特に印象に残っているのが、ところてん。おそらく箸休めの一品だったのでしょうが、しっかり酢が効いていて、思いのほか記憶に残っています。

旅先での食事は、味そのものも大事ですが、それ以上に「どんなふうにその時間を過ごしたか」が、あとから思い出として残るのかもしれません。
静かな部屋で、海の音をなんとなく聞きながら、ゆっくりと夕食を楽しんだ、そんな時間でした。


翌朝の写真は、朝食の風景でした。
内容は、いわゆる“ザ・日本の朝ごはん”といった感じ。焼き魚に納豆、少しのお刺身とおひたし、味噌汁に白いごはん。派手さはないけれど、こういう食事は旅先だと妙にありがたく感じるものです。

夕食と同じく部屋食で、まだ少し眠そうな顔のまま、窓の方をぼんやり眺めると、ちょうど目の前に海が広がっていました。
それほど広くはない海岸線ですが、窓を開けると潮の香りがして、「ああ、やっぱり伊豆に来てるんだな」と実感できるような朝の空気。

前日のダイビングはちょっと残念な結果でしたが、こういう静かな朝の時間があると、なんとなく旅らしい気分が取り戻せる気がします。


次に出てきたのは、ホテルの前からバスに乗るときの写真でした。
背景にうっすら「土肥温泉」と書かれた案内板が写っていて、そこから「ああ、そうだ、あのときは下田までバスで移動したんだっけ」と記憶が少しずつよみがえってきました。

とはいえ、当時の記憶は本当にあいまいで、正直、どこから乗ってどこで乗り換えたのか、はっきりとは覚えていません。料金も、乗車時間も不確かです。なので、こうしてエッセイを書くにあたって、今さらながらインターネットで当時のルートをたどってみることにしました。

調べてみると、土肥から下田へ向かうには、現在でも松崎での乗り換えが必要なようです。東海バスの路線を使い、土肥港から松崎まで行って、そこからさらに下田駅行きのバスに乗り継ぐ──たぶん、私たちもそうしたのだと思います。
写真にはバスの車窓から撮ったと思われる、のどかな海沿いの風景も写っていて、あのゆったりと揺られる感じは、なんとなく体に残っています。

記憶は曖昧でも、「バスに長く乗っていたなあ」という感覚と、「どこかでいったん降りて、待ち時間があった」という印象はあります。きっとその間にお菓子か何かを買って、ベンチで食べたような気もするけれど、それはもう曖昧すぎて、想像かもしれません。

いずれにしても、旅先でのこういう「のんびり移動する時間」こそが、今思うと贅沢だったなと思います。移動は目的ではなかったけれど、その過程がちゃんと旅になっていた──そんな感覚です。

やがて、伊豆急下田駅に到着。
駅前に立ったときの、もわっとした南伊豆特有の湿った空気と、どこか明るい街の雰囲気。写真からはそんな空気感まで伝わってくるようで、記憶の輪郭が少しだけ、はっきりしてくる気がしました。


下田駅に到着した私たちは、そのまま水族館へ向かいました。
たしか、駅前からタクシーを使ったような気がします。炎天下の中、バスを待つのもと思った、無難な選択だったのでしょう。

次の写真に写っていたのは、水族館の入口にある海水池。その中をゆっくり泳ぐ大きなウミガメの姿が、記憶と写真の両方に残っていました。

以降は、いかにも「水族館らしい」写真が続きます。
アシカのショーや、ペンギンとの記念写真、のんびり泳ぐラッコ、ねこざめやカクレクマノミの水槽、うつぼやクラゲなど──どれも定番といえば定番ですが、見ればそれなりに楽しかったことが伝わってきます。

当時は今のように写真を加工したり、動画をすぐ撮れるわけでもなかったので、たぶん「あとで見返したいな」とか「誰かに見せたいな」という気持ちでシャッターを切っていたんだと思います。
今あらためて見返しても、どれもわりと丁寧に撮っていて、自分たちなりに満喫していたんだなと感じます。

ペンギンとふたり並んで撮った記念写真が、この旅の最後の1枚でした。

そのあと、またタクシーで駅に戻り、電車に揺られて東京へ。
旅の締めくくりにふさわしいような、静かで、のんびりとした帰路だった……気がします。

実のところ、この旅の詳細をしっかり覚えているわけではありません。
当時は今のようにスマホでなんでも記録できる時代ではなかったし、わざわざ日記をつけるほどの熱量もありませんでした。
けれど、こうして写真と、微かな記憶、そしていまの自分の調べものを重ねていくことで、不思議と旅の輪郭が少しずつ浮かび上がってきます。

たった一泊二日の、近場の夏休み。
でも、どこかに“あの頃の自分たち”がしっかり映っていて、今の自分たちに語りかけてくるような気がする──
そんなささやかな旅の記録でした。


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